“ニュージーランドのロマネ コンティ”との異名をとる「リッポン」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】

このピノ・ノワールは見逃せない! オーナーであり醸造家であるニック・ミルズ氏に、そのたぐいまれな魅力についてお聞きしました。
“ニュージーランドのロマネ コンティ”との異名をとる「リッポン」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】_1_1
「リッポン」のセラードアからは、“世界一美しいブドウ畑”が見渡せる。ワナカ湖は、太陽の光を集める鏡にもなり、日中、やわらかな光をブドウに与えてくれるという。
今、ワインシーンにおいて「進化が著しい」と評されるのがニュージーランドのピノ・ノワール。ニュージーランドでは「ピノ・ノワール セレブレーション」といった世界的カンファレンスが行われるなど、大きな盛り上がりを見せている。

なかでも注目を浴びている造り手がセントラル・オタゴの「リッポン」だ。

風光明媚なワナカ湖のほとりで、エレガントなスタイルのワインを生み出している。ソーヴィニヨン・ブランやリースリング、ゲヴュルツトラミネールなどの白品種も人気だが、熱狂的に支持されているのは、やはりピノ・ノワール。実は、「リッポン」のピノ・ノワールは“ニュージーランドのDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)”の異名を持つほど評価が高い。
“ニュージーランドのロマネ コンティ”との異名をとる「リッポン」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】_1_2
オーナーで醸造家のニック・ミルズ氏。1973年に父が初めてワナカにブドウの苗を植えたという。ニック氏は4代目。もともとはニュージーランドのスキーのナショナルチームの一員だったが、けがでオリンピックを断念。「ショックで、立ち上がれなかったのを救ってくれたのがブドウ畑の美しい風景だった」と、父の跡を継ぐことを決意。親日家で温泉も大好き。
これは、当主で醸造家のニック・ミルズ氏がブルゴーニュの「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」で修業したことに由来する。その味わいは果実味豊かで繊細、口当たりもシルキーで「上質のブルゴーニュのよう」と評する人は多い。

ミルズ氏はこう語る。
「なるべく手を加えず、自然な造りをしています。いいワインができるのは、人間にとっても気持ちのよい場所だけ。すべてはテロワールの賜物です」。

とはいえ、テロワールだけで決していいワインは生まれない。ミルズ氏は土地の歴史や畑の向き、光や風の当たり具合などを徹底して調べ上げ、ブドウの木を植え替えていったという。
“ニュージーランドのロマネ コンティ”との異名をとる「リッポン」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】_1_3
セントラル・オタゴは16000年前に地殻変動があった場所で、火山性土壌が強い圧力で成形されたシスト土壌(泥や岩が押し固められた変成岩)、ミネラルを豊富に含んでいる。畑はサザンアルプスからの吹きおろしの風にさらされる場所にあるが、湖に浮かぶ小島が風を緩和する役割を果たしてくれるという。

ニック氏は、この恵まれた条件の土地で、なるべくブドウにストレスがかからないよう、ビオディナミで栽培を実践している。

ここは「世界一美しいブドウ畑」としても有名で、セラードアから眺めるワナカ湖とブドウ畑、そして遠くに見るサザンアルプスの風景は、まさに圧巻。「リッポン」の魅力的な味わいのワインには、この美しい風景までもが反映されているのではないかと思えるほど。
“ニュージーランドのロマネ コンティ”との異名をとる「リッポン」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】_1_4
「リッポン “リッポン” マチュア ヴァイン ピノ・ノワール」750ml \5,700 ピノ・ノワール100%。「リッポン」のシグネチャーワイン。豊かな果実味とピュアな酸味。1973年に植えられたブドウで造られるワインは、奥行きがあり、エレガント。2010年には『ワインスペクテイター』において「ニュージー・ピノ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。
ニック氏はこう語ってくれた。

「先住民族のマオリの言葉に『TURANGA WAEWAE(トゥーランガ ワエワエ)』という言葉があります。トゥーランガは土地、ワエワエは足の意ですが、これは”足を土地につける”、つまりは土地に根差すということ。

私は、この土地の文化までも感じ取ってもらえるようなワインを造りたいと思っています。ワインは人と人を繋げてくれるもの。皆さんが大切な方々とワインを楽しみながら、土地の空気感を感じていただけたらとても幸せです」。
“ニュージーランドのロマネ コンティ”との異名をとる「リッポン」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】_1_5
「リッポン “エマズ ブロック” マチュア ヴァイン ピノ・ノワール」750ml \9,500 ピノ・ノワール100%。単一畑のブドウのみで造られる。チェリーの香りが華やかで、果実味の奥にクールなニュアンスを感じる。タンニンがなめらかで、口当たりもシルキー。余韻も長い。
問い合わせ/ラック・コーポレーション☎03・3586・7501
Follow Us

What's New

  • 気取らぬもてなしににじむ、能登への深い愛『能登イタリアンと発酵食の宿 ふらっと』【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    『ふらっと』は能登イタリアンと発酵食の宿。オーストラリア人シェフのベンジャミン・フラットさんと、生粋の能登人、船下智香子さん夫妻が営む。宿特製のイカの魚醤「いしり」によって、唯一無二の奥深い味わいのひと皿に。アジや米などの発酵食「ひねずし」や「巻ぶり」ほか、絶滅の危機にある郷土食を上品に提供することで伝えている。また夫妻は震災で倒壊や解体した家屋から、手放さざるを得ない「輪島塗」を引き受けつなぐ活動も。ここにくれば、古きよき能登のくつろぎを味わえる。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • 自然美をひたすら一枚の和紙に映し出して『能登仁行和紙』【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    ジル サンダーのアートブックの装丁にも使われた『能登仁行(にぎょう)和紙』。戦後まもなく、初代が自然をそのまま紙に漉(す)く手法を考案。三代目の遠見和之さんは代々の美学を忘れず、山間の工房で黙々と製作に勤しむ。その姿は職人そのもの。「美しいかどうかがすべて」と、一枚の和紙に自然が息づく能登を描き出す。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • “能登饗藝料理”でこの地の食文化を未来へ『 ヴィラ デラ パーチェ』【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    西七尾湾に位置するオーベルジュ『 ヴィラ デラ パーチェ』。窓越しに広がる穏やかな情景が、心ほどく最初のひと皿だ。イタリア料理出身の平田明珠シェフは震災を機に能登への思いを深化し、食文化を紐解き、郷土料理を現代流に解釈した“能登饗藝(きょうげい)料理”を提供している。例えば能登野菜、沢野ごぼうの伝統料理「七日炊き」や、冬には能登の七面鳥も食材に。わざわざ訪れる意味がある、能登を未来へとつなぐ料理だ。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • 心整う能登島。有永浩太のガラスが生まれるのびやかな地【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    わずかに色の気配を感じる有永浩太さんのガラス。作品は能登島にある自身の工房『kota glass』で製作されている。取材時はボウル作りの真っ最中。淡々と、しかもまたたく間に。毎日10〜18時に集中。移住は現実的な理由だったが、火を扱い、同型を複数作る仕事には向いていた。意外に東京への移動も楽で、アートからソラキのダンスまでインプットにも事欠かない。「ルーツを知り、今を確かめる。自分の仕事を客観的に見ています」。雑念とは無縁の地で、感性を研ぎすませる。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • 『海辺の食堂 杣径』でのモダンな食体験【「金沢・能登」心ほどく大人旅】

    塗師の赤木明登さんの漆器で、北崎裕さんの日本料理を提供する『海辺の食堂 杣径(そまみち)』。輪島の山中にオーベルジュを開いて程(ほど)なく被災。海沿いの輪島・門前に移転し、ランチをメインに営業する。この地の野菜をかつお節は使わず、昆布や干し椎茸などで炊き上げる。まさに土地をそのまま味わう料理だ。ともすれば地味に映る料理が、端正な赤木さんの漆器と出会い、美意識が響き合う食体験に。店近くで美しい夕景を見ることも。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

Feature
Ranking
Follow Us