夏にも梅雨にも、クラシック。

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先月、バッハの『ミサ曲ロ短調』のコンサートに行ってきました。

ちょうど8年前に飛んでしまった来日公演、フィリップ・ヘレヴェッヘ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの鉄板プログラム…。こちとら耳は悪くなるばかりだし、人間一寸先は闇らしいし、命短し聴いとけオジン、というわけで向かったのはアムステルダムのコンセルトヘボウ。冒頭のKyrieの立ち上がりと4拍目の残響のふくよかさに、もう涙。ホールも楽器なのだなあと痛感しました。

さて、梅雨時のいやなジメジメの気分を変えるには、エクラ8月号のクラシック音楽の記事をどうぞご参考に。夏が舞台の曲、夏向きの曲などを6名の方からご推薦をいただきました。

「あら、雨には雨の良さがあるのに…」と思われた鷹揚な方には、ナルシソ・イエペスが奏でるフェルナンド・ソルの練習曲集をおすすめいたします(3枚目)。収録されているのは、いくつかのギター練習曲集から選ばれた24曲(※部分的な編曲あり)。10弦ギターで紡がれる音は淡然とした味つけで、実にしっとりと響きます。みな同じようでいて少しずつ異なる雨粒にシンクロするようで、ぼんやりと過ごす休日にはうってつけです。

ただし、1枚ものはすでに廃盤…。こういうパッケージ性の高い曲集は廉価版として残してもらいたいものです。中古で1500円程度なら、「買い」ではないでしょうか。新品では、20枚組の輸入盤ソロレコーディング全集(5000~6000円程度)に収録されています。


ところで、クラシック音楽が嫌われる理由として、作品名が無機質でわかりにくいことが挙げられると思います。しかし、そのなかでひとつ手掛かりになるのは「調」。作曲家が得意とする調や自分の好きな調の傾向が見えてくると、そこから芋づる式に楽しむことができます。

ベートーヴェンなら、「ハ短調」。突出して有名なのは交響曲5番「運命」とピアノソナタ8番「悲愴」ですね。そこからピアノソナタ5番、32番/32の変奏曲/コリオラン序曲/ピアノ協奏曲3番/弦楽四重奏曲4番/ヴァイオリンソナタ7番などが作品タイトルとして出てきます。さらに、交響曲3番「英雄」の2楽章やピアノソナタ13番の2楽章など、楽章単位の名曲にも、ハ短調あり。

また、先ほど挙げたソルの曲集やバッハの平均律など、練習曲集的な作品は、各調についての素朴な印象を持つ上で有用だったりします。こんなふうに好き勝手に掘り下げても確実に収穫があるところが、クラシック音楽の魅力と奥深さではないでしょうか。
(編集B)

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