平和と希望のワイン「アスリナ」 南アフリカの黒人女性醸造家の“夢”とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】

ワインの世界において、女性醸造家はまだまだ数少ない。そんななか、自身のブランドをもつ南アフリカ初の黒人女性醸造家ヌツィキ・ビエラさんが話題となっている。本誌連載「飲むんだったらイケてるワイン」番外編として、ご紹介。

目指したいのは“平和のワイン”

 その後、2016年に独立、自身のブランド「アスリナ」を立ち上げた。「アスリナ」は、最愛の祖母の名前だ。そして、努力の甲斐あって、彼女が造るワインは高い評価を得、2018年には「ミケランジェロ・インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・アワード」で金賞、2019年の「ジャパン・ワイン・チャレンジ」でも銀賞を受賞するなど、世界的にも認知されるようになってきた。
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「アスリナ」のワインは、白はソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドタイプの4種だが、どれも彼女自身のパワーと南アフリカの大地のパワーを感じさせるような情熱的な味わいだ。果実味に満ちたその味はチャーミングで、彼女の人柄をしのばせる。

今、ヌツィキさんが考えているのは“次のステップ”だ。もっとおいしいワインを造るために自らの醸造所を持ち、後進のためのプログラムも考えたいと、力強く語る。
 「私は、南アフリカ初の黒人女性醸造家ということで、今、注目されています。これは当然のことでしょうし、今後も、そういう目でみられることは覚悟しています。でも、私を見て、ひとりでも新しいことに挑戦しようという後輩が出てきたら、とてもうれしい。黒人でも白人でも、あるいは女性でも男性でも、あらゆる若い世代を応援できたらと考えています」。
 最後に、彼女はこう言って満面の笑顔でこう語った。
「私のワインは平和のためのワインでありたい。そう願いながら造っています」。
ヌツィキ・ビエラさん

ヌツィキ・ビエラさん

「アスリナ」オーナー兼醸造家。ステレンボッシュ大学で醸造を学び、醸造家に。「デルハイム」でインターンとして、「ステレカイヤー」で醸造家として13年間ワインを造り、ブドウ栽培や販売まで携わる。2016年に「アスリナ」を設立、現在は自身のワインを世界中に届けるべく、飛び回る日々。「日本は本当に平和な国。人々がリスペクトしあうところに感銘を受けました」。
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    「アスリナ ソーヴィニヨン・ブラン」750ml \2,800 爽やかなハーブと柑橘類果実の香り。酸味が穏やかで、ミネラル感を感じる。ステレンボッシュ地区のブドウのみで造られる。

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    「アスリナ シャルドネ」750ml ¥3,500 グレープフルーツの香りで、クリーミーな口当たり。バニラの香りも。時間とともに広がる係の変化が魅力的。

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    「アスリナ カベルネ・ソーヴィニヨン」750ml ¥3,500 ブルーベリーやカシス、ユーカリ、コーヒーのニュアンス。豊かな果実味がありながらも、フレッシュで清涼感に満ちている。16か月木樽熟成。

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    「アスリナ ウムササネ」750ml \4,000 ボルドータイプの赤。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドをブレンド。ブラックベリーやナツメグのニュアンス。「ウムササネ」とはズールー語でアカシアの木のことで、人々を守り、幸福に導いてくれると言い伝えられている。彼女の祖母のニックネームだった。

問い合わせ=アリスタ・木曽 ☎0898-48-6578
取材・文/安齋喜美子

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