【開高健のここがおもしろい】コラムニスト・泉 麻人のおすすめの一冊とは?

現在、コラムニストとして活躍中の泉麻人さんも、「開高健」の作品に心揺さぶられた一人。泉さんがこれまで読んだ開高健作品の中からおすすめの一冊をご紹介します。
【開高健のここがおもしろい】コラムニスト・泉 麻人のおすすめの一冊とは?_1_1
いずみ あさと●’ 56 年、東京都生まれ。移り変わっていく都市の風俗や各時代の人々の生態を40年近く描き続けてきた。近著に『東京23 区外さんぽ』『冗談音楽の怪人・三木鶏郎』など。

泉麻人さんが好きな一冊

『ずばり東京』(光文社文庫 ¥760)

完成したての首都高に頭上をおおわれ、川の汚れがピークに達していた日本橋から始まり、オリンピックの閉会式で終わるルポは、当時の東京を知る貴重な資料。約50年で日本はこんなにも変わったのかと驚かされる。
【開高健のここがおもしろい】コラムニスト・泉 麻人のおすすめの一冊とは?_1_2
「この一冊というと、やっぱり『ずばり東京』。’63年の秋から1年間、『週刊朝日』に連載されたルポルタージュをまとめた本です。東洋初のオリンピック開催を前に変貌する東京を毎週取材し、書いていく。表現が視覚的なうえ、半年後に消える佃の渡しの船頭の語り口とか、神宮外苑のおでん屋台の客の会話とか、時代の臨場感が伝わってくる。
文体も一編ずつ工夫されていてね。当時始まったばかりの人間ドック体験記は擬古文調で、谷崎潤一郎の『瘋癲老人日記』風。神田や大手町にあった屎尿処理場の見学記は、なんと小学生の日記の模写(笑)。
開高健という人は、アマゾンやアフリカで動植物を観察するように、町並みや人間を見つめる。ハングリーになんでも見てやろう、華やかなオリンピック前夜の東京を底辺から眺めてやろうというスタンスでね。だから、美化された回顧映像などからは伝わってこない、昭和30年代のリアルで生ぐさい東京が見えてくるんですよ。2度目のオリンピックを控えた今の東京と比較して読むと、さらにおもしろいと思います」
  • 作家・開高健ってどんな人? 3つのキーワードから読み解く人物像

    亡くなって30年が経った今も多くの人の心を魅了し続けている、開高健。芥川賞受賞作「裸の王様」をはじめ、多くの作品を生み出し、その中にはエクラ世代に響く力強い言葉が紡がれている。これまで彼が残した作品や言葉から、作家・開高健のルーツを読み解く。

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