まず目に入るのが、ロングカウンターのラウンジ。天候がいいと大きな窓のガラスが一面開かれ、紅葉はもちろんのこと、新緑、真冬の雪景色など雄大な自然を感じられる。もともとこの建物は先代社長が建築家とともに全国の宿を1年間にわたり研究し、つくり上げたもの。藤のモチーフの照明、部屋ごとに異なる唐紙など、見れば見るほど豊かなしつらえだ。
もうひとつ特筆すべきは、30年以上前に考案された藤井荘オリジナル「ぽんぽん鍋」。特注でつくられた鍋を使い、きのこ、信州ポーク、りんごとあんず、薬用人参などをオイルフォンデュする、地元食材をダイレクトに味わえる料理だ。土地の美味とワインと景色。どんな高級レストランもかなわない、このうえないマリアージュがここにはある。