<eclat1月号付録は山本容子カレンダー>山本容子×波多野睦美対談2「那須の風景から生まれた自由自在の時空表現」
長く親交を結ぶ、銅版画家の山本容子さんとメゾソプラノ歌手の波多野睦美さん。そんなお二人が、'19年10月10日に発売した2つの『プラテーロとわたし』においてユニークなコラボレーションを実現。作品が完成に至るまでのストーリーやちょっとした裏話を、お二人にたっぷり語っていただきました。
毎年大好評の山本容子さんの銅版画カレンダー。今年は、詩や物語といった文学の世界を月替わりで楽しめる。ぜひ、気に入った作品をお手元に!
山本さんの愛犬・ルカと一緒に。奥が作品制作のヒントとなった木立。
山本容子(右) Yoko Yamamoto
銅版画家。京都市立芸術大学西洋画専攻科修了。都会的で洒脱な線描と色彩の作品を手がけ、幅広いジャンルで活躍する。今回の詩画集刊行記念展を丸善 岡山シンフォニービル店で開催(’20年1/29~2/10)。3月にはジュンク堂書店 福岡店と丸善 名古屋本店にも巡回。
波多野睦美(左) Mutsumi Hatano
メゾソプラノ歌手。英国・トリニティ音楽大学声楽専攻科修了、シェイクスピア時代のリュートソングでデビュー。古楽から現代までレパートリーを広げ、国内外で多くのコンサート、音楽祭に出演。12/17には山野楽器銀座本店で大萩さんとのミニコンサート&サイン会を予定。
シルエットの内側と外側。自由自在の時空表現
山本 そして、ここ那須の土地でも、絵のヒントをもらえたのよね。
波多野 この詩は自然の描写が実に多いですよね。空の色の変化から、バラや松などの植物、虫まで。
山本 イメージは豊かなの。でも、壮大な春の朝の草原を詠(うた)ったかと思うと、それが一気に収縮して……。
波多野 最後は「紅ばらの芯の中」。
山本 本当に困っちゃう(笑)。ここではロバや黄色いアイリスといった詩の重要なモチーフに出会えたんだけれど、この窓の外の景色から絵の「仕掛け」をつくることもできたの。
波多野 絵の中に出てきますか?
山本 『メランコリー』がそうです。雑然とした木立の風景の中にも、近景、中景、遠景、奥の空とそれぞれの形をとることができる。それを銅版にして、画面に刻印していけば、一点透視的に描かなくても、ものの距離感や時間の経過を表現できそうだと気づいたの。シルエットの中と外、そのあわいとで遊ぶという感じかな。『ロンサール』では、画面におけるシルエットは木であり野原。ロバと詩人はその中にいるのだけど、耳と靴をちょっと外に出すだけでもその存在がリアルになる。
黄色いアイリスと木立。那須の風景から生まれた最初の一枚
切断した銅版を少しずらして刷ることで、一枚の画面の中に3つの空間を共存させた『メランコリー』。版のシルエットの外側にも色を差すことで、イメージはより重層的に。「135番目の詩を描いたこの絵を起点に、全体の構想を得ることができました」と山本さん
波多野 確かに! 実はこの詩人のイメージに重要な単語で、迷いに迷って訳したものがあったんですよ。
山本 あら、なんだろう?
波多野 帽子のつばです。直訳すると「短いつばの」なのですが、結局「簡素な」にしたら、容子さんが本当にイメージしたとおりの長さで描いてくださって、感激です。
山本 吟味された言葉が通じたのね。今回、私は改めて朗読のすばらしさを教えられた気がしました。詩の意味と言葉の音とギターの音とがあるから、最初はとまどう。でも、制作中に繰り返し聞いていると、波多野さんの淡々と語る言葉がふと入ってくる。それを次々と拾っていくうち、あるときすごい厚みをもって全体が広がるのよね。歯応えのあるものだから、少しいいかげんに、気長に付き合ってもいいと思う。大萩さんのギターもすばらしいね。
刷り見本を見ながら語り合うおふたり。この家は’19年の夏に那須の地に完成したもの。「完成記念パーティでバイオリンを弾いてくれた女性が、“音の響きがとても心地いい”とほめてくれました」と山本さん
波多野 そうなんです。『道端の花』の「夏の雲からの水を」という一節の最後に、水滴を思わせる柔らかいギターの音があって、これは一小節も揺るがせにできないぞと思わされました。朗読+BGMとはまったく違うテデスコの『プラテーロとわたし』、ぜひ山本さんの絵と一緒にお楽しみください!
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