ロスチャイルド家の“ファミリーのためのシャンパーニュ” 「バロン・ド・ロスチャイルド」が紡ぐ幸福な時間【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】

ロスチャイルド家のスペシャルなシャンパーニュ「ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ 2010」。今回、オーナーファミリーが揃って来日、その魅力と誕生の秘密を語ってくれた。
ロスチャイルド
歴史あるメゾンがひしめくシャンパーニュの世界で、2009年の初登場以来、“ニューカマー”ながら多くのシャンパーニュファンを魅了し、ここ10年で確固たる地位を築いたのが「バロン・ド・ロスチャイルド」だ。2005年、コート・デ・ブラン地区のヴェルテュ村に醸造所を構え、プロジェクトをスタートさせた。コート・デ・ブランは石灰質土壌が最良のシャルドネを産出する土地で、シャンパーニュは繊細でエレガントなスタイルに仕上がる。まるで、“白亜の館の貴婦人”といった趣なのだ。
名前からもわかるように、オーナーはロスチャイルドファミリー。ボルドーの5大シャトーのひとつ「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」を所有する「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド」、同じく5大シャトーの「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」を保有する「ドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルド」、そして金融業を営み、「シャトー・クラーク・ロスチャイルド」のオーナー「バロン・エドモン・ド・ロスチャイルド」の3つのファミリーが集結、「ロスチャイルド家にふさわしいシャンパーニュを」という思いからシャンパーニュ造りを決意したという。
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ボルドーの5大シャトー「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」(メドック第1級)。芳醇で、熟成ごとに優雅さを増すスタイル。
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こちらもボルドーの5大シャトー「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」(メドック第1級)。ふくよかさの中に繊細さが感じられるスタイル。かつて、ポンパドゥール夫人に愛飲されたこで知られる。
今回、フランスからフィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏(「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」)と、エリック・ド・ロスチャイルド氏(「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」)が揃って来日したが、実はこれは初めてのことだと、フィリップ氏は語る。
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左がエリック氏、右がフィリップ氏。
「エリックと私は、子どもの頃から仲の良い従兄弟。一緒に日本に来ることができて、本当にうれしく思っています。世間では、“シャトー・ラフィット”と“シャトー・ムートン”はライバル同士と思われることが多いのですが、実はファミリー同士は交流があり、とても仲が良いのです。親族の誰かの結婚時には、必ず双方のシャトーのワインが出ますからね(笑)。そういった時、『ファミリーで乾杯できて、また、世界各国からのゲストをもてなす時に、ファミリーのシャンパーニュがあったらいいね』という話から、エリックの指揮のもと、このプロジェクトをスタートさせたのです」。
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フィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏(「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」オーナーファミリー)。1963年、前オーナーのフィリピ―ヌ・ド・ロスチャイルド夫人とフランスの有名俳優ジャック・セレイスの長男として生まれる。ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得、現在「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド」の監査役員会会長として活躍。
「15年前ほどのことでしょうか。それからは、ファミリーで集まる機会も増えました。皆の思いが一致していたのは“ザ・ベスト”のシャンパーニュを造ること。その後はフィリップがリサーチやブドウの調達など、いろいろ動いてくれました。だから、このシャンパーニュは、まさしく“ファミリーの結束”を象徴するものなのです」とエリック氏は微笑む。
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エリック・ド・ロスチャイルド氏(「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」オーナーファミリー)1940年ニューヨーク生まれ。チューリッヒ工科大学を卒業。今回の「バロン・ド・ロスチャイルド」の誕生の中心的役割を果たしている。
「シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド」は、ノン・ヴィンテージの「シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ブリュットNV」、シャルドネだけで造られたノン・ヴィンテージ「シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ブラン・ド・ブランNV」、作柄が良い年のシャルドネだけで造られた「シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ」、赤ワインをブレンドした「シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ロゼNV」など、バラエティ豊かなラインナップがあるが、どれもが、ブドウ本来のピュアなうまみが生きて、優雅さが感じられる味わいだ。だが、今回、特に”大のシャンパーニュ・ラバー”に紹介したいのが、「ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ 2010」なのだという。
「まず、香りを嗅いでください。フローラルな香りの中に、ハチミツやヘーゼルナッツのニュアンスがあるでしょう? これは、よい熟成を重ねた証なのです。2010年はブドウにとって素晴らしい年でした。ふくよかな果実味を感じていただけると思います」とフィリップ氏。
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コート・デ・ブラン地区クラマンの畑。石灰質土壌が広がり、ピュアな酸味と厚みのあるミネラル感を持つブドウが育つことから”シャルドネの聖地”と評される。
実はこの「ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ 2010」のリリースは、世界に先駆けて日本が初めて。これには、ファミリーの日本へのリスペクトがあった。エリック氏は言う。
「私が初めて日本を訪れたのは1970年代のこと。ようやく、日本にワイン文化が根付いた頃のことでした。私は『シャトー・ラフィット・ロスチャイルド』のオーナーでもありますから、ワインを純粋に愛する人以外にもラベルで飲む人々がいることも知っていました。でも、私がその時に出会った日本の皆様は違った。味を理解し、私たちの哲学を尊重してくれました。以来、私は日本という国が大好きになったのです。2006年のシャンパーニュの初リリースの時も、真っ先に日本でお披露目をしたくらいです(笑)」。
二人の話からは、ファミリーへの深い愛情と、ワイン造りへの情熱と誇りが伝わってくる。品質に妥協しない姿勢が、かのボルドーのグラン・ヴァンを生んだ理由でもあるのだろう。今回、なにより感じたのは、ロスチャイルド家の紋章でもある”五本の矢”が意味するファミリーの結束だ。「ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ 2010」は、家族のお祝いごとや幸福な時間にこそふさわしい。
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「ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ 2010」750ml \39,000 シャルドネ100%。コート・デ・ブラン地区のクラマンやアヴィーズなど、グラン・クリュ(特級畑)ならではシャルドネのしっかりした酸味と豊かなミネラルが感じられる。白い花の香りの奥に、ハチミツやブリオッシュ、クロープなどのニュアンスも感じられ、限りなくエレガント。
問い合わせ=エノテカ・オンライン https://www.enoteca.co.jp/
取材・文/安齋喜美子  撮影(取材分)/齊藤 晴香

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