「レゾナンス」醸造責任者のジャック・ラルディエール氏は、そういって微笑んだ。「造りたいのは高貴で美しいワイン。グラン・ヴァンは人間の細胞にまで入り込んでくるものだからね」。なるほど、だからすばらしいワインは長く心に余韻を残すのかと、妙に納得してしまう。
「レゾナンス」は、ブルゴーニュの名門「ルイ・ジャド」がアメリカ・オレゴンで始めた新たなプロジェクト。土地のエネルギーを感じさせるワインを造りたいと「レゾナンス(共鳴)」と名づけた。確かに、「レゾナンス ヴィンヤード ピノ・ノワール2014」は、自然の中から生まれてきたようなナチュラルな味わいで、果実味の甘やかなニュアンスがオレゴンらしさを物語っている。
だが、きっと誰もがひと口飲んで気づくはず。「このワイン、タダモノではない」と。まろやかな果実味の奥にクールな酸味を隠し持ち、どこか知性を感じさせるのだ。まるで、寡黙でありながら、どんな質問にも優しく答えてくれる哲学者のよう。
日々生活していれば、迷ってしまうことも、時にはある。そんな日にこそ、このワインを開けてみたい。「あなたはあるがままに、自然体でいればいい」と、ワインが語りかけてくれるように思えるのだ。