美容家 小林ひろ美さん
美・ファイン研究所主宰。簡単かつ手応えの高い美容メソッドと、キャッチーな言葉を駆使した、わかりやすい解説が人気。若いころ、日焼けしていたというのが嘘のように透明感のある肌は、アラフィーのお手本。
マスクをはずして「あれ!?」とならないように。肌が隠れていてもUVは絶対
「UVケアするのはあたりまえ」と知ってはいても、今は「マスクをしているから」「外出しないから」と紫外線への警戒感が薄れてきているのも確か。でも、マスクの摩擦で過敏になった肌が紫外線を受ければトラブルが出やすくなるし、在宅中も紫外線は窓から入ってくる。
「肌悩みのほとんどは光老化から。だからこそ日中、どうケアするかでエクラ世代の肌は変わってきます。今後、マスクをしない生活に戻ったとき、がっかりしないよう、UVケアはきちんと。また、日焼けは皮膚がんの原因になったりと、健康にも影響を与えます。年齢を重ねた今、健康のためにもUVケアは不可欠です」(小林ひろ美さん)
紫外線だってチリも積もれば山となる。昔のツケを将来に残さない
若いころ、日焼けし放題だった人も多いこの世代。
「実は私もそうで、32歳まで焼いていました。流行っていたし、『日焼けしているほうが美しい』という美意識だったんですよね。そんなふうに昔、焼いていた人は今、少しずつでも紫外線を浴びてしまうと、ある日最後のひと浴びで、コップにたまった水があふれるようにスイッチが入って、老化トラブルが噴き出すことも」
紫外線だってチリも積もれば山となる。「少しくらいならいいや」という油断が、エイジング加速のもとに。
実はUVは攻めのケア。日中ダメージをブロックすれば、夜の美容が効率よく
アラフィーでシミがあったら、もう手遅れ?
「しっかりお手入れすれば薄くなる可能性はあります。メラニンを代謝させる“めぐりケア”と保湿ケアを両輪で実行して」。そしてもちろんUVケア。紫外線でエイジングのアクセルを踏まないよう心がける。
「それにUVケアは守りのケアのようでいて、攻めのケア。紫外線をブロックして、ダメージを防ぐことで夜のケアを効きやすくしてくれるんです。反対に昼間、防御できていないと、夜の肌はダメージのリカバーで精一杯。せっかく投入したエイジングケアが働かず、もったいないことに」
SPF50+はマストにあらず。目的に合わせて選び、使い分け
「UVケアの技術はどんどん進化していて、『この感触、美容液レベルじゃない?』と思う製品も。種類も増えているので、スキンケア効果が高いもの、汗に落ちにくいものなど、目的に合わせて選んで」
また、デイリー用にはエイジングケアUVを一本、持ち歩き用にはつけ直ししやすいタイプを一本など、いくつか持って、シーンで使い分けるのも手だ。
ところで今は、紫外線防御力が高い「SPF50+」の製品が目立つけれど…。「必ずしもSPF50+である必要はありません。日常生活でつけ心地を重視するなら、SPF30程度でもOKです」
顔に塗るなら5点置き。鼻の根元や目頭、耳の後ろは盲点
「ムラなく密着させる」はUVケアの鉄則中の鉄則。つけるときには、まず両頰、ひたい、鼻、あごの5点に置き、顔の内側から外側に向けてまんべんなくなじませる。
「シミになりやすい、こめかみから頰(Cゾーン)、鼻は重ねづけ。特にCゾーンは、マスクでこすれやすいからきっちりと。さらに鼻のつけ根、目頭、鼻の下、唇の山や口角はつけ忘れやすいのでチェックして。
それから骨が出っぱって紫外線を受けやすい、耳の後ろも忘れずに。顔の肌は透明感があるのに、ここが黒ずんでいる人は案外多いので要注意です」
そういえば私たち焼いてました…《アラフィーのUVクロニクル》
「日焼けしてこそ!」な青春時代を送ったエクラ世代。UVケアとの付き合い方を振り返ってみると……。
1960s
小麦色の肌がトレンドに
1966年、資生堂「太陽に愛されよう」前田美波里さん出演のビューティケイクサマーキャンペーンが話題になった。
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1970s
日焼けブーム到来
特に’70年代後半、サーファーファッション&メイク(ブルーのシャドウ、ピンクの口紅)の流行とともに、日焼け肌が大流行。サンオイルが夏のマストアイテムだった。
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1980s
美白ムーブメントの夜明け
日焼けトレンドが続く一方で、1982年、資生堂からリバイタルの美白ラインシリーズが発売されるなど、美白意識の芽生えも。
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1990s
日焼け肌から透明肌へ
流行は小麦色肌から“白肌”へとシフト。紫外線が肌に与える害が知られるようになり、日焼け止めを使う人が増えてきた。若い世代には、’90年代後半、“ガングロ”が流行。
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2000s
日焼け止め技術の進化
日焼け止めの感触が飛躍的に向上。白浮きしたり、ベタついたりするものが少なくなって、使いやすく。リゾートシーン以外、日常生活でも日焼け止めを塗る人が多くなってきた。
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2010s
“通年日焼け止め”があたりまえに
肌のトレンドは完全に“透明感”へ。夏以外に、冬も日焼け止めを使う習慣が定着した。また、単に“白い”というだけではなく、その人本来の肌色を生かした透明感を求める方向に。
アラフィーの強い味方といえば、スキンケア効果のあるUV。
「美容液のようにケアに特化し、配合成分に力を入れたタイプです。『肌に何をしてくれるか』を重視して、UVケア効果は“おまけ”くらいの気持ちで選んでもいいですね(小林さん)」。
エイジングケア系、ブライトニング系、どちらにも効くオールマイティ系とさまざまなので、自分の肌と相談して選択。また高機能ブランドを使ってみたいというとき、まず価格的に手にとりやすいUVケアでお試ししてみて、肌に合ったらブランドのほかの製品を取り入れるのもいい方法だ。
カバーマーク トリートメント デイ クリーム
日中の外的刺激から周到にガードするデイケアUV。肌のコラーゲンが減らないよう守りつつ、肌内のコラーゲン生成力を高めてハリ&ツヤ肌に。
SPF50+・PA++++ 50g(4/1発売)¥8,800
クレ・ド・ポー ボーテ クレームUV n
肌によい光=赤色光だけを選択的に通して活用。肌が本来もつUVダメージに対する防御力もアップさせる。高機能クリームを思わせる、柔らかリッチなテクスチャー。
SPF50+・PA++++ 50g ¥11,000
パルファン・クリスチャン・ディオール プレステージ ホワイト ル プロテクター UV ルミエール シアーグロー
エイジングケア効果、ブライトニング効果、保湿効果と三拍子そろった大人仕様。下地としても優秀で、つけた途端、肌がほんのり輝き、元気に見える。
SPF50+・PA++++ 30㎖ ¥15,180
潤いに特化したUVアイテム
オフィスの乾燥が激しくて、肌がパサパサになるという人は、潤いを集中的にチャージするタイプをセレクト。「UVべールが肌に水分を補い続ける」という最新技術のすごさを堪能して。
水分を抱えた膜が一日中潤い補給。
ソフィーナiP スキンケアUV 01 SPF50+・PA++++ 30g(4/1発売)¥2,970(編集部調べ)/花王
“水”を感じるエッセンスベースで潤いキープ。
サンシェルター マルチ プロテクション コンフォート SP F50+・PA++++ 35g ¥3,300/コスメデコルテ
エピステーム ホワイトUVレーザー
細胞をダメージから守る緑色光、血行促進の赤色光、シミ予防の黄色光の力を応用。シミ、シワ、たるみに総合的に働きかけ、美肌を目ざす。
SPF50+・PA++++ 40g ¥7,150/ロート製薬
アルビオン スーパー UVカット インテンス コンセントレート デイクリーム
細胞の活動サイクルに関係する時計遺伝子に着目し、老化にアプローチ。紫外線、近赤外線、ブルーライトも防ぎ、透明感を死守。
SPF50+・PA++++ 50g ¥11,000
ゲラン アベイユ ロイヤル UV スキン ディフェンス N
ブランド自慢のハチ由来成分を贅沢に配合し、エイジング&ブライトニングケア。もっちり保湿感のある感触でクリア肌。
SPF50・PA++++ 50㎖ ¥11,880
オルビス リンクルブライト UVプロテクター
人気UVが進化。紫外線からコラーゲンを守る力を強化し、弾力、明るさをより早く。Wナイアシンによるシワ改善と美白=攻めのケアも。
SPF50+・PA++++ 50g(医薬部外品)¥3,850
ボディのUV、どうつける?
「手が届く部分は円を描くように塗ります。背中の手の届かない個所は、スプレータイプに頼って。首、デコルテ、肩、首の後ろは特にしっかりと。手の甲、足の甲、膝の裏は忘れがちなので確実に」(小林さん)
髪にも顔にも使える。
エブリデイブライト UVプロテクター フレグラントスプレー ホワイトフローラル SPF50+・PA++ ++ 60g ¥2,200/ジルスチュアート ビューティ
美肌補整、ハリ&スリミングケアも。
セラムイン UVボディクリーム SPF50+・PA++++ 70g(限定発売)¥7,040/HACCI
ひと言で「くずれない」とはいっても、レジャーと日常では分けて考えるのが正解。「海や山でとにかく日焼けしたくないときは、ガッチリ守るウォータープルーフ系を。そして日常生活には、もう少し軽やかで、汗やこすれに揺らぎにくいタイプを。例えばお茶を飲もうとマスクをはずしたら、くずれのせいで顔の上下の色が違う、なんて事態を避けることができます」。ところで、更年期などで夏、滝汗に悩んでいる人はどうすればいい?
「クール感のあるUVを使ってみては。また、冷蔵庫で冷やしたお粉を仕上げにつけると、汗が引くのでおすすめです」
トワニー UVエアシールド
汗はもちろん、皮脂やこすれにも強く、ほこり、PM2.5、花粉からもガード。保湿力も高いから、日中の肌はいつも快適。
SPF50+・PA+++ 30㎖(3/11発売)¥5,500/カネボウ化粧品
オンリーミネラル スキンケアUVクリーム クールコンフォート
メントール誘導体の働きで、汗をかくたび清涼感が増すクールUV。ウォーターベースでつけ心地がよく、紫外線吸収剤フリー。
SPF50・PA++++ 25g ¥3,520/ヤーマン
コスメデコルテ サンシェルター マルチ プロテクション ベリー ウォーターレジスタント
肌上で二重構造のプロテクト膜をつくり、汗、皮脂、こすれに対抗。潤いを抱え込んだ質感で、SPFが高くともしなやかでハリのある仕上がりに。
SPF50+・PA++++ 35g ¥3,300
コーセー 雪肌精 クリアウェルネス UVエッセンスミルク
スーパーウォータープルーフで花粉などもブロック。太陽光によるダメージをケアし、シミ予防&抗酸化と、ケア効果も万全。
SPF50+・PA++++ 50㎖ ¥2,420(編集部調べ)
お直しにぴったりのUVも味方に
いくらくずれに強いUVケアでも、効果の持続のためには日中の塗り直しは必須。ブラシでのせるだけのパウダーや、スティック、ミストスプレー型のUVを携帯すれば、メイクの上からのお直しもラクラク&肌印象も美しく。
汗をかくとひんやりするお粉。皮脂吸収効果も。
オンリーミネラル ミネラルUVパウダーN クールコンフォート SPF50+・PA++++ ¥4,950/ヤーマン
血色とツヤを与えるスティック。
スキンPFCT UV スティック SPF50+・PA++++ 11g(3/3発売)¥6,710/パルファム ジバンシイ[LVMHフレグランスブランズ]
肌上で水感のあるオイルジェルになり密着。
KANEBO チアリング ミスト UV S PF50+・PA++++ 30㎖(3/10発売)¥3,300/カネボウインターナショナルDiv.
日常使いのUVケアはテクスチャー命。感触が悪いと、だんだん手がのびなくなる、なんてことになりがちだからだ。
「軽やかで、圧迫感やきしみ感のないものがベスト。みずみずしくなじみ、厚ぼったくならない、もしくは最初、厚みがあるように感じても、サッとのび広がるものを選びます。反対に、ギトギトと油っぽいUVはNG。エクラ世代の場合、肌がギラついていると、ちょっと押しの強いキャラクターに見えたりして損な印象にも(笑)」。また、のりが悪く、カサカサする質感、肌が色ツヤを失ってマットになるテクスチャーも避けて。
イヴ・サンローラン・ボーテ ピュアショット エアリーライト UV50
薄さ、軽さを極限追求し、ベタつきがまったくないサラサラの感触。ナイアシンアミドなどの作用で透明感もハリ感もぬかりなし。
SPF50+・PA++++ 30㎖ ¥7,700
SUQQU プロテクティング デイ クリーム
粉体をコーティング、白浮きしない&のびのいい紫外線散乱剤を使うといった工夫で保湿感の高いUVに。肌にツヤが出て、メイクの仕上がりもきれい。
SPF50+・PA++++ 30g ¥7,700
イプサ プロテクター センシティブe
スルンと肌どけがよく、お手入れ直後のような柔肌に。外的刺激によるバリアの低下にも注目し、潤しつつ花粉やほこりの付着も防ぐ。
SPF30・PA+++ 30g ¥3,850
スキンアクア スーパー モイスチャージェル
ウォーターベースの中にカプセルで包んだ紫外線吸収剤を入れているからみずみずしい。3種のヒアルロン酸で潤いも。
SP F50+・PA++++ 110g ¥759(編集部調べ)/ロート製薬
なんとチークにもUV!
せっかくUVケアをつけているなら、チークにも紫外線カット効果があったらいいよね、という発想で生まれたチークUV。日焼けしやすい頰に重ねられるのが合理的だし、お直しコスメとしても活躍!
色のもととなる顔料をカプセルに包み込んでいるので、ファンデーションと混じりにくい。元気な顔をつくるフレッシュオレンジ。
アリィー クロノビューティ カラーオンUV 02 SPF50+・PA++++ 15g 各¥1,760(編集部調べ)/カネボウ化粧品
透け感のあるピンクで表情まで晴れやかに。
アリィー クロノビューティ カラーオンUV 01 SPF50+・PA++++ 15g 各¥1,760(編集部調べ)/カネボウ化粧品
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肌の透明感は、清潔感と生命力のある美しさの象徴。だけど、アラフィー世代はその透明感を失い、肌がくすみがち。ヘア&メイクアップアーティストの岡野瑞恵さんが、くすみを払って大人肌に透明感を呼び起こす、肌づくりの極意をレクチャー。
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どうせマスクで隠れるし、くずれるし、とベースメイクがおろそかになっている人は多いはず。でも、マスクをはずす機会が増えつつある今こそ、“人に見られる”ことを意識した肌作りにシフトしたい。目ざすべきは、好感度が高く「上品な人」と思わせる肌。