紅茶のアールグレイの香りづけに使うことで知られるベルガモットは、イタリア原産の柑橘。でも、実物は私も高知で初めて見ました。グレープフルーツを小ぶりにしたようなきれいな果物で、丸のままでもうっとりする特別な香り。香水の原料にもなるだけあって、どこか気品のある匂いです。
柑橘農家である『みかん家 にしごみ』の西込浩一さんは、たぶん日本で初めてベルガモットの栽培に成功したかた。べルガモットの貯蔵庫を見せてもらったくるみがいいます。
「倉庫の扉を開けただけで、ほかの柑橘とは違う鮮烈でさわやかな香りがたちこめて、癒されるよう。西込さんに教えてもらったのだけれど、ベルガモットの皮を切り取って、内側の白い部分を外側に押し出すようにカーブさせると、表側の皮からシューッとそこいらじゅうに香りのミストが広がるの。すごく素敵な天然の芳香剤です」
実の部分はおいしくないといわれるベルガモットですが、西込さんのものは実もフレッシュでなかなかの風味。少し苦味があるレモンの感覚で、お菓子や料理にも使えます。文旦、ポンカン、温州みかん、小夏、はるか、ブラッドオレンジ、ベルガモット……。高知は南イタリアみたいな柑橘の宝庫。どこか憧れの異国の空気が漂っていて、だから無性に出かけたくなるのです。