東京国立博物館、さすが!の総合文化展。

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特別展『国宝 鳥獣戯画のすべて』の最終日程のチケットは早々に売り切れてしまいました。特別展を目当てにお出かけになる方も、そうでない方も、ぜひ、現在の本館の展示に注目を。
(※総合文化展は9:30~17:00、月曜休ですので、特別展で入場される方はご注意ください)

「総合文化展」は所蔵作品がメインの、いわゆる“常設展”に該当します。しかしさすがは東博。蔵の深さゆえに、『鳥獣戯画』に寄せた展示ができてしまうところがスゴイ。

まず、特別展に合わせて『鳥獣戯画展スピンオフ』(~6/20)が開催中です。『鳥獣戯画』のモチーフや描写の祖型を探る本企画には、明治時代の摸本4巻が出品されていて、これがピカイチの出来。人気の甲巻(写真1、2枚目)については全場面展示と、「わかってる」対応が嬉しいです。 写真3枚目の「丁巻」の完コピぶりに舌を巻いてください。

模写した山崎董詮の名は初耳でしたが、世代的には歌川国芳と河鍋暁斎の中間くらい。きちんと江戸時代の技術を継承した人物だったと思われます。
 
続いて写真4~5枚目。6/13までの展示ながら、国宝展示室の『一遍聖絵』が泣かせます(/ _ ; ) 『鳥獣戯画』がユーモアに富むイマジネーションの世界ならば、こちらは上質なドキュメンタリー。一遍の行状以外も緻密に描き込まれ、鳥の飛翔にさえ余情あり。中世日本に浸れる傑作です。できれば本作が見られるうちにお出かけください。

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さらに、通常の展示室にも高山寺ゆかりの作品や動物モチーフの作品が登場。高山寺伝来、鎌倉時代の珍しい白描図像などは特別展に出ていてもよさそうなものでした。

動物モチーフの作品で誰もが目を留めるのは、異類婚姻譚の『鼠草紙』でしょう(展示は~7/4)。御伽草子に漂うののほんとした空気が『鳥獣戯画』との近しさを感じさせます。写真1枚目は、鼠の権頭のもとへ嫁いだ長者の娘が「何か変だな」と思い、ついに真実を知ってしまう場面。鼠がカピバラサイズなのでギョッとします。2枚目は、姫に逃げられて出家した権頭が、修行途中で猫の坊に出くわして恐怖するシーン。鼠にはいずれも「ねん阿弥」と書かれていますので、『鳥獣戯画』甲巻の冒頭でバックロールエントリーをかますうさぎちゃんと同じ、異時同図法ですね。

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さて、偶然にしてはよく二点も出ているなと思ったのが、『鳥獣戯画』甲巻の手控えを残した江戸狩野の祖・狩野探幽の作品。そのうち『飛禽走獣図巻』(飛禽巻、写真1枚目)は、鑑賞にかなう絵手本のような性格があり、『鳥獣戯画』の乙巻的と言えます。

探幽は、動物描写において重要な人物です。「実物スケッチ」をしたという記録が残っており、写生帖が存在していたことが知られています。今では「写生」というと実物(や実景)に基づく描写以外に考えにくいのですが、かつては「生き生きとした様子を描く」限りにおいては、すべて「写生」と言えました。探幽は、絵手本や古画の模写中心の枠を超えて、実際に対象に向き合ったことがわかる絵師として貴重な存在なのです。

そして、さまざまな描法を駆使してその「写生」を徹底したのが、江戸中期の巨人・円山応挙でした。写真2枚目は、その『写生帖(丁帖)』。博物学の影響もあってのことでしょうが、飽くなき観察眼は素晴らしいの一言。鳥によっては、枝に止まるときの足の様子も描かれています。

これら探幽、応挙の作品が並ぶ展示室の手前には、大型作品が三方に置かれる「屏風と襖絵」の部屋があります。現在のメインは長谷川派が得意とした『柳橋水車図屛風』(写真3枚目)。個人的には、探幽の師匠で瀟洒な画風の祖というべき狩野興以の『山水図屛風』(写真4、5枚目)も好ましく、目の保養になりました。探幽、応挙、興以の作品、『柳橋水車図屛風』は7/11までの展示です。


以上、ご紹介したのは本館2階の展示のごく一部。本館以外にも、東洋館、平成館の考古展示、法隆寺宝物館まで見られて、大人一人1000円の総合文化展。チケットは館のホームぺージからオンライン予約でどうぞ!
(編集B)

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