-
相続、介護、免許返納etc…50代から考える「親との関係」
親が70代、80代になり、まだまだ元気でいるものの、会うたびに少しずつ衰えを実感している人も多いのでは? 長年介護問題と向き合ってきた専門家が親が元気なうちにできることや、知っておきたい情報についてお答えします。
50代が直面する「親の介護・相続」きょうだい間の”トラブル回避法”

介護者メンタルケア協会代表 橋中今日子さん

相続実務士 曽根恵子さん
①きょうだいでも、数十年たてば他人同然
理学療法士やリハビリの専門家として病院で働くかたわら、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を介護してきた橋中今日子さん。その経験をブログで発表していたときに、介護に悩む人の相談を受けるようになった。特にきょうだいに関する悩みは多い。
「きょうだい間のコミュニケーション不足が大きいですね。みんな得手不得手があるので、お互いが得意なことやできることがなんなのかを考えたうえで、カバーし合えるようになれるといいのですが」
橋中さん自身、介護にかかわろうとしない姉に強いストレスを感じていた時期もあったが、今では協力し合えるようになったという。
「一度に解決したくなるものですが、介護もコミュニケーションも思いどおりにはならず、失敗しつつも時間をかけるしかないんです」
「きょうだいは少ないほうがもめます。ふたりだと間に入る人がおらず、一歩も引かない人が多いです。相続がきっかけで、きょうだい格差や僻みなどが噴出し、歯止めがきかなくなりがち。仲よさそうに見えても、実は腹に抱えるものがあるもので、本音をぶつけすぎて『お姉ちゃんにそう思われているとは思わなかった!』などと、ショックを受ける人もいます」
親の死をきっかけにきょうだいが絶縁してしまっては、親は死んでも死にきれないはず。
橋中さん、曽根さんが特に重要視するのは、「良好なコミュニケーション」と「情報共有」だ。相手を尊重しつつ、冷静になって自分の立場や考えを伝え、隠し事は絶対にしないこと。
介護で過度の負担を背負ったり、相続で割の合わない思いをしないためにも、知識を身につけ、今からできることをやっていこう。
②親の介護で起こるトラブル
1.きょうだいひとりが親を囲い込む

2.たまにしか来ないのに口を出す

3.いくら連絡してもレスがない

4.きょうだいに親嫌いがいる
5.介護費の支払いを押しつける
③相続で起こるトラブル
1.勝手に遺言書を作られた

2.親と同居のきょうだいの使い込み
3.残された不動産が分けられない

4.遺産分割に介護分の配慮がない

5.きょうだいで不動産の評価が異なる
④介護も相続もこれだけはやっておくべき4つのこと
1.「コミュニケーション」のクセをつける

きょうだいとの仲は、「年単位」で考えよう
「ふだんからコミュニケーションをとっていないのに、いざというときにいきなり円滑にいくはずがありません。失敗することもありますが、年単位で良好なコミュニケーションを少しずつ構築していくしかありません。基本的なことですが、『元気にしてる?』『いつもありがとう』などとあいさつや感謝の気持ちを伝えるところから始めると、相手にも思いが伝わるはずです」(橋中さん)
配偶者が加わると入れ知恵されたりしてもめることも少なくないため、基本はきょうだいだけでコミュニケーションをとることが望ましい。また、お互いの立場や譲れないことは明確にし、相手への感謝や尊重の気持ちを忘れずにしよう。
2.「親の財産」をしっかり把握する

もう“聞きにくいから……”ではすみません!
「認知症になったら財産の把握がむずかしくなるので、元気なうちにちゃんと聞いておくべき。財産ねらいではなく、『何かあっても親をしっかりサポートしたいから、銀行口座や不動産などの情報を共有させてほしい』と、親を立てることを第一に切り出すのがコツ」(曽根さん)
数多くの銀行口座を持っている親世代は少なくない。死後の手続きが煩雑になり、10年以上取引がない口座の預金は「休眠預金」として民間公益活動に活用されてしまうため、使っていない口座は早めに解約するなりして整理をしておこう。
3.「情報共有」を徹底する

ほかのきょうだいに黙って行動しない!が鉄則
きょうだいでグループLINEをつくっておき、「明日から検査入院」「治療費は○万円でした」などとこまめにメッセージを送って情報をシェアしておこう。もし、既読スルーされても「報告した」という事実が大事で、あとで証拠として役立つことも。介護や病院での治療で立て替えた費用があれば、ここに明記しておくと、相続のときにもその分の配慮を主張しやすくなる。
4.早い段階から「プロに相談」する

家族構成、財産、環境は家ごとに違うから
「大半の人は『まだ大丈夫』といいますが、深刻な状態になってから対処するのは大変。早い段階から積極的にプロを頼って自分の負担を少しでも軽くして、介護をがんばらないように!」(橋中さん)
「財産が少なくて、きょうだいが少ないほうが確実にもめます。早く準備するに越したことはなく、節税にもつながりますからプロに相談すべきです。そのとき、きょうだいひとりや親だけで相談するのではなく、家族全員そろっているほうが、皆さんの総意を得ながら進めることができるので、円満に解決できます」(曽根さん)
5.少しでも不安に思ったら、まず頼るべきはここ!

【介護編】地域包括支援センター

【相続編】相続実務士などの「相続の専門家」
⑤きょうだい円満!お役立ちポイント
介護編
【実務面】親の介護は「親のお金」を使う

ちょっとだけ、がズルズルと
【感情面】きょうだい間で「平等は求めすぎない」と心得る

まったく同じ立場ではないから……
【実務面】「同居は極力しない」のが正解

世帯分離のほうが支援が受けやすい
相続編
【実務面】「公正証書遺言書」を書いてもらう

親が70代のときが財産確認の好機!
【感情面】きょうだいといえども「配慮ある態度」を

遠慮がないのがトラブルのもとに
【実務面】「分けられない不動産」は早く整理しておく

残された持ち家は争いのもと
⑥きょうだいコミュニケーション術
介護側の心得
自分が親の介護をしている場合

ほかのきょうだいに手伝ってもらいたい場合は、相手が歩み寄りやすい聞き方を。
無理やり要求を通そうとするよりも、「来てくれたら助かるけど、無理ならいってね」と、相手を尊重する姿勢でいると、相手は歩み寄りやすくなり、YESを得られる確率があがる。
親の笑顔の写真、映像などを送って近況を知らせる。
LINEグループなどで親の状況を情報共有するとき、親の元気な顔などの写真を送ってみよう。文字よりも心に残りやすく、見てうれしく、離れて暮らすきょうだいも安心するはず。

相手が具体的な行動ができるようなお願いの仕方をする。
介護の担い手が大変でも、まわりからすれば何をすればいいのかわからない場合が多い。そこで、「おむつを買ってきて」などと具体的に指示することで、手伝ってもらいやすくなる。
まわりに振り回されないために期待をしない。
過度な期待を抱いて失望するよりも、初めから期待せずに、少しでもやってもらえたらラッキーくらいの気持ちでいること。しだいにまわりが理解して手をさしのべてくれることも。
見守り側の心得
ほかのきょうだいが親の介護をしている場合

実家に帰ったときは、ひと晩寝泊まりしてみる。
親はたまに来る子供にはいい顔をすることが多く、数時間顔を出してすぐ帰るだけだと、本当の状態が把握しづらい。1泊でも一緒に過ごしてみると、見えてくることは多いはず。
ほかのきょうだいのやり方に文句をいわない。
がんばって介護をしているのに「やり方が違う!」と注意されたらイラッとするもの。なので、命に直結すること以外は相手に任せて踏み込まず、感謝の気持ちを忘れずに。
すぐに返事できないときは、状況を伝えておく。
介護中、親に何かあったときはすぐにでも相談したいもの。もし対応できそうにないときは、「明日なら大丈夫だから必ず返事する」などと、自分の状況を伝えて安心してもらおう。
親を介護しているきょうだいに対して、負い目を感じすぎないことも大切。
きょうだいに親の介護を引き受けてもらっている場合、ねぎらいと感謝を言葉で伝えよう。経済的に余裕があるならお金を出すなど、できることをやり、負い目は感じないこと。
-
【50代介護の心配】親が認知症になってしまったら…。どうすればいい?「その時」のために備えておきたい
親が認知症になってしまう。50代ならだれにとっても、それは、決して他人事ではない。親が認知症になってしまったら…。保険の手続き、通院、介護…、どうすればいい?認知症についての基礎知識や介護の種類や方法、手続き、お金のことなど専門家にお聞きしました。「その時」のために、ぜひ参考にして。
-
「親の“負”動産」どうする?相続した実家が買い手も借り手もつかず...。早めの対策を!
「ひとり親が住むには広すぎる家を処分したいけれど売れない」「相続した実家が買い手も借り手もつかず、空き家状態に」「親が所有するリゾートマンションの固定資産税や管理費を年間何十万円も払い続けている」。アラフィー世代を悩ませる親の家、それはもう“資産価値ある不動産”ではなく、お荷物にしかならない負の資産=“負動産”!すでに負動産を抱えている人も、予備軍に戦々恐々としている人も、現代不動産事情を知り、早めに対策を講じるべし!
-
お金の専門家に聞く!家計の見直し・老後資金対策・相続関連...etc.自分にとってベストな方法は?
家計の見直しに老後資金対策、相続関連など、さまざまなお金の悩みに直面するアラフィー世代。損することなく、納得の解決策を導くカギは、「自分にとってベストな方法」を見つけること!そんな有益なアドバイスをしてくれる「お金の整理のプロ」の上手な探し方とは!?
-
【アラフィー夫婦の本音】知りたい!人には聞けない”夫婦の実態”
「愛してる」と伝えてる? お財布や寝室は夫婦で一緒? 生まれ変わっても今の夫と結婚したい……?友人にはあまり突っ込んで聞けない夫婦の実態。でも、知りたい! 私たち夫婦の関係はフツー?超仲よし? アラフィー女性317人に聞いた「今どきアラフィーのカップル事情」を大公開!
-
【アラフィー妻の悩み】夫の「がんこオヤジ化」何とかしたい!
あれ……?こんな人だったっけ? 自分の非を認めない、人の話を聞かず意固地になる、いちいち批判的……若いころと比べて夫が「がんこオヤジ化してきた!」というアラフィー世代の悲鳴があちこちから! パートナーの困った変化に対しての考え方と対処法を、専門家が切れ味鋭く指南!
What's New
-
50代のお悩みに、少女漫画家 一条ゆかり先生がお答え!
今年、画業60周年を迎える少女漫画界のレジェンド・一条ゆかり先生。この2月には、初めての塗り絵ブック『一条ゆかりポストカードBOOK 塗り絵倶楽部』と、金言集第二弾『男で受けた傷を食で癒すとデブだけが残る』(電子書籍限定)の二冊を同時発売し、話題となっています。75歳になった今もポジディブに人生を楽しみ、いつまでも若々しい一条先生。読者からのお悩みにも痛いところをと突きまくり、その切れ味鋭い回答にドキッとしたり、爆笑したり。一条哲学のエッセンスが学べるはずです!!
50代のお悩み
2025年3月21日
-
【「NPO法人」を立ち上げるってどういうこと?】エクラ 華組の山口りえさん「子供たち、お母さん、そして、音楽家たちのための活動を」
社会活動でよく耳にするのがNPOという単語。なんとエクラ華組にもNPO法人代表が! NPO法人音育プレママパーティ代表理事として、音楽を軸に活動を続ける山口りえさんに話を聞いた。
50代のお悩み
2025年3月16日
-
【「NPO法人」を立ち上げるってどういうこと?】「社会を変えていく力がある」NPO法人の立ち上げ&運営とは?
社会活動でよく耳にするのがNPOという単語。「Non-Profit Organization」の略称で、日本語では「非営利組織」という意味。NPO法人の設立方法や、実際の運営について、東京ボランティア・市民活動センター相談担当専門員の森 玲子さんが紹介する。
50代のお悩み
2025年3月16日
-
【次の世代のためにできること】ファッションのもつポジティブな力を社会問題につなげる「+IPPO PROJECT」
自分ができることと真摯に向き合っている女性へのインタビュー。今回は、児童虐待や貧困による教育環境の悪化をサポートするために立ち上げた、+IPPO PROJECT4名に話を聞いた。
50代のお悩み
2025年3月14日
-
【次の世代のためにできること】田辺三千代さん、食を彩るサステイナブルな“紙の器”を発案
社会がもっとよくなるために、自分ができることと真摯に向き合っている女性へのインタビュー。今回は、紙の器を発案した「WASARA」「FANO」プロデューサー田辺三千代さんに話を聞いた。
50代のお悩み
2025年3月13日
-
エクラ公式通販の人気アイテムランキング
もう迷わない!50代が買うべき旬の服
-
50代におすすめのトレンドアイテム
人気ファッションアイテムを厳選してご紹介
-
読者モデル 華組のユニクロ・GUコーデ
真似したい!50代ファッションブロガーの着こなし集
-
「ペダラ」の新作スニーカーとサンダル登場
歩きやすくデザイン性に優れた新作シューズで寄り道を楽しもう!
-
2つの「リファ」で理想のヘアスタイルに
大人髪のために開発されたドライヤーとストレートアイロンが登場
-
50代から行いたい早めの「フレイル対策」
「ペットボトルが開けられないことがある」なら要注意!
-
日常を刷新する「レキップ」の洗練シャツ
この春、ワンランク上のシャツの着こなしで日常をアップデート
-
大人のためのヘアスタイル・髪型カタログ
髪のお悩み解決!若々しく見えるヘアスタイル
-
読者モデル 華組のZARAコーデ
50代はどう着こなす?ファッションブロガーコーデ集
-
「華リュクス」な装いでおしゃれ心ときめく
“マッキントッシュ ロンドン”の新作服で軽やかに街へ
-
一度は泊まりたい!高級ホテル・旅館
日常を忘れて至福のときが過ごせる極上の旅へ
-
大人の上品さが漂うデニムスタイル
ほどよくカジュアルで上品にあかぬける大人のデニムコーデ
-
【50代に人気のヘアスタイル・髪型カタログ】おばさんぽくならずに若見えが叶う!ショート・ボブ・ミディアム・ロング別
白髪や髪のボリューム不足、薄毛、パサつきなど40代、50代の髪悩みを解消するおすすめヘアスタイルを提案。ショート、ボブ、ミディアム、ロング別ヘアスタイルから知っておきたい最新ヘアケア事情まで、おばさんぽ…
-
春は何を買うべき?50代に似合う服が見つかる!最新ファッションコーデ・アイテム見本帖
50代女性におすすめの最新ファッションアイテムや話題の美容アイテム、毎日が楽しくなる生活雑貨など、今買うべきアイテムを厳選してご紹介。トレンドを上手に取り入れ、自分らしく上品なスタイルを叶えるファッシ…
-
春に穿きたいデニムも充実!おしゃれな40代・50代の「ZARAコーデ」
大人のデイリーユースに欠かせないZARA。おしゃれな40代・50代はZARAで何を買い、どう着こなしているの?春の陽気にふさわしいデニムやTシャツのほか、バッグやシューズなど小物アイテムも上手に活用した40代・50代…
-
春は何を着るのがおしゃれ?着るものに迷わない「50代の春コーデ」7選
春の訪れとともに、何を着ればいいか迷う季節。春のトレンドアイテムを取り入れつつ大人の上品さと華やかさのある50代のための春コーデ。
-
50代必見のデニムコーデ。爽やかなブルーで春らしさアップ!【ファッション人気ランキングTOP10】
ウェブエクラ週間(2025/3/16~3/22)ランキングトップ10にランクインした人気ファッションをピックアップ。暑すぎず寒すぎない今の季節にぴったりの「デニム」で、爽やかさをアピール!