【あの人の溺愛ねこ図鑑 第7回】鹿島 茂さんの愛猫は美しいシャルトリューのグリ

猫好きさんちのかわいい子たちの様子を毎月お届けする連載7回目。今回訪ねたのは、仏文学者の鹿島 茂さんのご自宅。パリ時代にシャルトリュー種の美しい姿に触れ、日本で迎えたグリは、ちょっと臆病で奥ゆかしい女の子。
フランス文学者 鹿島 茂さん

フランス文学者 鹿島 茂さん

かしま しげる●専門は19世紀フランス文学。『渋沢栄一』など、日本近代の偉人の評伝も多い。’17年より書評サイト『ALL REVIEWS』を開設、主宰。古書収集家でもあり、そのコレクションによる展覧会が開催されるほど。
グリ シャルトリュー 9歳・♀

グリ シャルトリュー 9歳・♀

虫がいてもじっと目で追うだけで、手を出さないグリ。シャルトリューは密な毛並みと頰の丸さが特徴。作家のコレットも愛したとか
距離のとり方が奥ゆかしいグリと鹿島茂さん
グリは距離のとり方が奥ゆかしい。「甘える半面、抱っこはいやがります」。上のプロフィール写真の通り、抱っこ撮影を試みるも、即逃走。名前は、灰色を意味するフランス語のgris(グリ)から。「文法的には女性形のグリーズだけど、どうせ短く呼ぶからね(笑)。バルザックの『ゴリオ爺さん』に出てくる猫の名のMistigris(ミスティグリ)もかけています」
  • 立派な洋書が並ぶリビングでごろん

  • モダンな椅子のへりがお気に入り

(左)時代を感じさせる立派な洋書が並ぶリビングでごろん。「栞紐さえ出ていなければ、本にいたずらすることはありませんね」(右)モダンな椅子のへりがお気に入り。動きだすまでが慎重だが、おもちゃ好きのグリ。実は牙が長い!

「パリ時代の窓からの侵入者。それがこの美しい猫でした」

「猫好きは子供のころから。家族が皆猫嫌いな中、僕だけが猫好きでね」と話す鹿島茂さん。飼育歴を振り返ると雑種や外猫が中心だが、現在一緒に暮らすのは、グレーの毛並みが美しいシャルトリュー種だ。

「“シャルトルー”というほうが本来の発音に近いですね。フランスではよく見かける猫で、パリに住んでいた’85年ごろ、アパルトマンの5階の窓から平気で入ってくるやつがいたんですよ。フランス語で野良猫のことをchat de gouttière(雨樋の猫)というんですが、なるほどな、と(笑)。そのとき、図々しいけれど美しい猫だなと思ったんです」

出会いこそ鮮烈だったが、日本ではマイナーな猫種で、帰国後すぐに飼うことはかなわなかった。ブリーダーを探してグリを迎えたのは’12年。

「当時は外猫出身で大先輩のトトがいて、小さなグリの面倒を見てくれました。私が飼った中では、雄猫のほうが優しく人懐っこいみたいですね」

では、当のグリはというと?
「そばを通るだけで怒るときがありますよ。ちょっと臆病で、どんくさいかな。椅子からテーブルに飛び移ろうとして失敗したりね」

それもまたかわいいわけでしょ?と見透かしているのか、甘えようと近づいてくるグリ。さて、鹿島さんにとって、猫の魅力とは?
「それはやはり姿の美しさですね。これほどフォルムにむだがなく美しい生き物って、ほかにないですよ」

それにしても、と首をかしげることがひとつある。
「どうして猫はパソコンとゲラ(※)が好きなんだろう? パソコンを立ち上げるとすぐやってくるし、読もうとするゲラの上にも必ずのっかるんだ。これはどの猫も一緒(笑)」

仕事部屋で日々繰り返される、「ホラどいて!」の儀式。あきれながらも、うれしそうにそれを語るところに、鹿島さんの猫愛の深さがうかがえる。
※ゲラ……出版物の校正刷りのこと。ゲラ刷り。
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