セクシーさに50代女性が続々と沼落ち。魔性の男!ソン・ソック【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.24】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、色気と仕草、存在感、演技力、そのすべてにノックアウトされる女性が続出の、遅咲き俳優、ソン・ソックに大注目!大人の女性たちの間で話題沸騰のドラマ『私の解放日誌』をはじめ、ソン・ソック出演のおすすめドラマをご紹介。

“ク氏”役で韓国でも大フィーバー。まさに“時の人”となった『私の解放日誌』

 ソン・ソック。この名を聞いて、すぐにその顔を思い浮かべることができるあなたは、かなりな韓ドラ通なはず。昨年の話題作『D.P. -脱走兵追跡官-』(チョン・ヘイン主演の実話をモチーフにした軍の脱走兵を追うヒューマン・サスペンス。連載vol.16参照)で演じた大尉役が記憶に新しいところでありますが、私的にも初めてソン・ソックをソン・ソックとして脳内に留めたのがこの大尉役で、部下にいい顔しながらも上官にヘコヘコと迎合し、瞬殺で部下を裏切る超絶セコいキャラクターをサラリと軽妙に演じていて「誰、このテクニシャン」なんて思っていた次第。
 その彼が良作ザクザク大豊作の春ドラのなかでも、辛口ファンほどハマっている本作『私の解放日誌』に主軸キャラクターの一人として登場。すると、なんということでしょう。私の周囲のドラマ好きアラフィー女子たちがこぞって「ク氏(役名です)が、ク氏があ〜」と少女のように頬を上気させながらめちゃくちゃざわついている……というわけなのでございます。
「私の解放日誌」のソン・ソック
“ク氏”役で存在感を見せつけた、ソン・ソック。Netflixシリーズ『私の解放日誌』独占配信中
 で、調べてみました。年齢は1983年生まれの39歳。デビューは2016年の韓仏合作映画で、33歳のとき。なかなかの遅咲きです。どうやら中学の時に米国留学し、シカゴ芸術大学でドキュメンタリー監督を目指していたという経緯があるらしい。で、除隊後(派遣先はイラク)は、カナダでバスケット選手を目指しつつも断念、その後俳優を目指し、帰国後いくつかの舞台を踏んで映画デビューという流れな模様(ざっとです、あくまで)。

 身長は178cmというから、長身が多い韓国俳優の中では、飛び抜けてスタイルがいいというわけでもなく。三白眼気味の細めな一重と薄い唇に、どこか愛嬌にじむ八の字薄眉と、整い過ぎていない鼻筋。いわゆる正統派イケメンではないというのがミソで、なんかすごくワルな感じもするし、妙に人懐っこいような感じもするし、要は噛めば噛むほどクセになる絶妙なビジュアルとでも申しましょうか。そして、なんといってもアジュンマたちを、ざわつかせているのは、妄想を掻き立てずにはいられないその色気。例え隠そうとしても(隠してはおりませんが)、ダダもれるやさぐれ感がセクシーというか、そそられるというか。おまけに、韓国の友人の話では韓国で今最も旬な人らしい。

くすぶりがちな日常からも人生からも自分からも解放されたい、3きょうだいの物語

 で、そんなソン・ソックの垂涎の魅力が満杯の本作『私の解放日誌』は、みなさまに是が非でも観ていただきたい、私的この春の超推しドラマなのです。テーマとなるのはタイトルにもなっている“解放”。
 人間、生きていますと、意気揚々、順風満帆なんてことはほとんどなく、いつもどこかに閉じ込められたような閉塞感の中で鬱々としてしまうことのほうが多いと思うのですが、ドラマはそんなくすぶりがちな日常からも人生からも自分からも解放されたいと思っているヨム3姉弟妹(きょうだい)の物語。
「私の解放日誌」ヨム3姉弟妹(きょうだい)
ヨム3姉弟妹。左から、長男のヨム・チャンヒ(イ・ミンギ)、長女のヨム・ギジョン(イ・エル)、末っ子のヨム・ミジョン(キム・ジウォン)。Netflixシリーズ『私の解放日誌』独占配信中
 舞台は、ソウルから電車で1時間半かかるサンポ村(架空の村です)。3人は、この村にある実家で暮らしながら、職場のあるソウルへと通勤しているのですが、毎日往復3時間もかけて通うって、それだけでもかなりなうんざり度数高めなわけで、加えて、3人が3人とも鬱々しちゃうようなそれぞれの葛藤を抱えているというわけです。
 長女のヨム・ギジョン(イ・エル)は、思ったことを悪気なく口にしちゃう不満多き39歳。恋愛したいのだけれど、典型的白馬に乗った王子様待ちアラフォーで、そのせいかどうかはわかりませんが、社内の女子と次々と浮名を流す恋多き上司からさえも恋愛対象として認識されていないという現実……(これ、私か!)。

 長男のヨム・チャンヒ(イ・ミンギ)は、コンビニ本社の営業管理職。どんなに働いても出世できず、毎日毎日隣の同僚女子のつまらなさ過ぎる自慢話に付き合わされるという日常。大金持ちにもなれず、これといった才能もなく……という自分の現実がわかりすぎるくらいわかるから(うん、うん)、鬱々するしかなく毎日同僚や友人に愚痴三昧の日々。
 そして、末っ子のヨム・ミジョン(キム・ジウォン)。職場では信用おけない上司からダメ出しされまくり、彼氏は元カノと行方をくらまし、その借金まで肩代わり。なのに、内に籠める性格で、誰にも相談しないし、できないし、キャピってる同僚女子たちにも打ち解けられないし、打ち解けたいとも思わない……。いわゆる人との関わり全てに重苦しさを感じているといった体。
「私の解放日誌」のソン・ソック
Netflixシリーズ『私の解放日誌』独占配信中

ドラマ序盤の強烈すぎるセリフ、「愛じゃダメ、私を崇めて」って一体⁉

 で、お待ちかねのソン・ソックですが、彼が関わるのが、この末っ子ミジョン。サンポ村にある日突然やってきたクという姓しかわからない身元不明の謎の男というお役柄で、3人きょうだいの父親の仕事を手伝いながら、誰かと関わることなく暮らしているのだけれど、毎晩酒が手放せないちょっと危険な匂いのするミステリアスな存在。月に照らされた山並みを眺めながら淡々と酒を飲む姿も、Tシャツを汗みどろにして黙々と働く姿も、それはそれはセクシーなのですが、だから、これはミジョンとラブロマンスが始まる?と思った矢先のク氏に言ったミジョンのセリフが凄すぎるのです。「愛じゃダメ、私を崇めて」。
 崇めるは韓国語で「チュアンハダ」。韓国でも日常生活では滅多に使われないらしいのだけど、ミジョンとクのロマンスで鬱々から解放されるわけね、なあんていう私の浅すぎる読みをバッサリと切り捨てるインパクト強烈すぎるこのセリフ。え〜、何よ、崇めるって、何?何なのよ〜〜っ! 
 ありふれた人のありふれた日常を描くスタイルは、最初、ひょっとすると地味と感じるやもしれません。会社と家の往復、辟易する職場、会話のない家族との夕飯、友人や同僚たちとの建設的でないお喋り、そして、満たされない日々。そんな誰もが感じるうんざりとするような日常から彼らはどう解放されていくのか。
「私の解放日誌」のソン・ソック
Netflixシリーズ『私の解放日誌』独占配信中
 それは、もちろん観てのお楽しみというわけですが、余計な描写も台詞も回想シーンも潔く削ぎ落とし、視聴者の想像力にポンと委ねる緻密な脚本&演出と、説明描写なくしてもそれぞれの人物をリアルに繊細に映し出す俳優たちの上手さには、思わず唸らずにはいられません。はたから見ると滑稽にも思える、大真面目に自分と向き合おうとする彼らの思考と行動は、ドラマチックであろうが無かろうが、そのひとつひとつが可笑しくそして愛おしく、むしろドラマチックが陳腐と思えるような感慨深さで次から次へと観ているものを満たしていくという。こんなドラマは、私にとっても希少な体感。

 ドラマ終盤、長女ギジュンの髪をバッサリと切ったその理由に、長男チャンヒの最後の選択に、末っ子ミジョンの穏やかな微笑みに、ク氏の「ヨム・ミジョン」という呼び声に、マジ痺れます。そして、観るものに託した温かで優しいラストの余韻。私たち一人ひとりの人生には、サクセスストーリーも逆転劇も復讐劇も殺人サスペンスも遥かに超える、心震えるドラマが満ちている……なあんてね。
■Netflixシリーズ『私の解放日誌』独占配信中

こちらも見逃せない!ソン・ソックの魅力を味わえる傑作選!

『恋愛体質 ~30歳になれば大丈夫』

「恋愛体質」のソン・ソック
©Jcontentree corp. all rights reserved U-NEXTにて配信中
「恋愛体質」のソン・ソック
©Jcontentree corp. all rights reserved U-NEXTにて配信中
 こちらも私の超推しドラマのひとつなのですが、放送業界で働く3人のアラサー女子の仕事・恋愛・友情をテーマに、彼女たちの日常を綴っていく、ちょっと『私の解放日誌』のスタイルに似た良作です。で、ソン・ソックはほんの脇役中の脇役なのですが、ここでもピリッと爪痕を残すテクニシャンぶりを発揮しているので、ぜひ、チェックを。彼が演じるのは、3人の主人公の一人でドキュメンタリー監督をするイ・ウンジョン(チョン・ヨビン=『ヴィンチェンツォ』のヒロイン役をやった人)に関わるCM監督サンス。女優はもちろんスタッフにもイライラするとすぐに怒鳴り散らす、言葉DV野郎として、19話目にして初めて登場(1話約30分全32話)。それを許せないウンジョンが猛然と抗議したことから、2人の関係性がつながっていくというような流れ。仕事はDV野郎でもプラベートは……みたいなギャップ萌えも。あの大ヒット映画『エクストリーム・ジョブ』のイ・ビョンホン監督のドラマ初作品でもあり、メモしたくなるような台詞が目白押しだし、放送業界のリアルな裏話もいっぱい散りばめられているし、映画を彷彿とさせるシーンがさりげなく組み込まれているし、華々しくはないけれど、とにかく魅せどころ満載。
■U-NEXTにて配信中

『サバイバー: 60日間の大統領』

『サバイバー: 60日間の大統領』のソン・ソック
Netflixシリーズ『サバイバー: 60日間の大統領』独占配信中
『サバイバー: 60日間の大統領』のチ・ジニ
主人公を演じるのはチ・ジニ。Netflixシリーズ『サバイバー: 60日間の大統領』独占配信中
 実は『D.P. -脱走兵追跡官-』よりもずっと前に視聴していたドラマなのですが、これにソン・ソックが出演していたことに全くもって気づいていなかった私。ドラマは、人気米ドラマのリメイク版で、国会議事堂がテロ組織に爆破されたことからスタートする一大社会派サスペンス。主人公となるのは、チ・ジニが演じる環境省の長官を解任されたばかりのムジン。テロによって現職の大統領も議員も全て死亡したことから、突如ムジンが大統領権限代行になってしまうのですが、このムジンが本職は学者という政治畑出身でないところがミソで、その性格も実直というか誠実というか私利私欲ゼロというか。そんな政治権欲に侵されていないフラットな視線から繰り出される政治的窮地における決断の数々に感動必至。で、ソン・ソックが演じるのは、大統領をサポートする秘書官のヨンジン。切れ物でいつも冷静なのだけど、ムジンがあまりにもいい人すぎて、最初は戸惑いが隠せず……という役どころ。大丈夫かこの人で、みたいな感じから、次第にムジンに全幅の信頼をおいていくという展開。サスペンスとしての醍醐味は言わずもがなですが、ムジンとヨンジンのブロマンスもじ〜ん。(なのに、気づいてなかったとは! それだけソン・ソックの演じる振り幅が大きいということで……)
■Netflixシリーズ『サバイバー: 60日間の大統領』独占配信中

おまけ
ちなみにソン・ソックは日本のドラマ『Mother』『最高の離婚』のリメイク版にも出演。どちらも日本では綾野剛が演じたお役。こちらも、ぜひ、チェックを。
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。
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