60歳から先、どう働く?気になるお金の心配にも専門家がアドバイス

将来の暮らしが今から心配。年金はどれくらいもらえる? 再雇用制度って? など、この先の仕事とお金に不安を持っている人へ。知っておきたい知識を社会保険労務士の佐佐木由美子さんがお答え。
教えてくれた人
社会保険労務士 佐佐木由美子さん

社会保険労務士 佐佐木由美子さん

グレース・パートナーズ(株)代表、経営学修士。女性の雇用問題に積極的に取り組み、新聞、雑誌、webメディア等で、多様な働き方やキャリア、社会保障などをテーマに多数執筆。ブログ「ワークスタイル・ナビ」も随時更新中。

働き方も多様化する時代。可能性を探り、早めに準備

「男女雇用機会均等法の施行後に働きはじめた世代が定年に近づく今、60歳からの人生に不安を感じるという声をよく聞きます」と社労士の佐佐木由美子さん。総務省の労働力調査では、女性の就業率は’21年時点で、55~59歳は73%、60〜64歳は60・6%に。

「国も高齢化社会を支えるために成熟世代の女性の就業を支援しているので、時代は追い風です。とはいえ待っているだけでチャンスがくるわけではありません。50代のうちに先の人生設計を考え、スキルや資格を身につけたり、自分に合った条件で働ける派遣や定年のないフリーランスなどあらゆる可能性を探りたいもの。これしかできないではなく、やりたいことをイメージして早めに準備をすれば、無理なく経済的自立ができるはずです。同時に、年金など、働き方にもかかわる社会保障制度の基礎を知ることもとても大切です」

年金がどれくらい もらえるのか不安です。

Q.年金がどれくらいもらえるのか不安です。

A.ねんきん定期便だけでなく、ねんきんネットで具体的なシミュレーションを。

年金と働き方は両輪です。60歳から先、どう働くかを考える場合、老後の暮らしに必要な額と年金がいくらなのかを把握することが重要。自宅に届くねんきん定期便の金額だけで判断しないで、ねんきんネットにアクセスし、働く期間や給与を変えて試算しましょう。国民年金で支給される老齢基礎年金の受給額は満額でも年間約77万7800円(令和4年度)で、生活すべてを賄うのはむずかしいはず。働けるうちは働いて、受給開始年齢を遅らせる心持ちでいるほうがいい。今年10月から短時間で働く人の社会保険の適用範囲が拡大するので、年金を増やしたければ今からでも厚生年金に加入できる働き方を探ることをおすすめします。

●日本年金機構 ねんきんネット

https://www.nenkin.go.jp/n_net/

Q.再雇用制度は誰でも利用できますか?

A.希望する従業員は誰もが利用できます。

現状、約8割の会社は60歳定年ですが、高年齢者雇用安定法で満65歳までの雇用確保義務を課しているので、希望すれば65歳まで働き続けることが可能。令和3年からは70歳までの就業機会の確保が努力義務になりました。まずは会社の就業規則の定年の項目をチェックしましょう。ただし、定年後は今までの労働条件はリセットされます。仕事内容が変わって定年時の賃金の50〜70%程度に下がるケースもあります。体や心、生活環境と相談しながら交渉しましょう。

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