今後の日本経済が心配…海外に移ったほうがいい?お金の不安に専門家が回答【お金の教室・中編】

日本経済はこの先どうなるのか不安…。誰かに聞きづらい将来のお金に関するお悩みを、Jマダム®の4人が経済アナリスト・森永康平さんに質問攻め! 前編から続く今回は、海外移住や投資信託について取り上げた。
教えてくれた人
金融教育家・経済アナリスト 森永康平さん

金融教育家・経済アナリスト 森永康平さん

金融教育ベンチャーの株式会社マネネCEO。証券会社等を経て、現職。複数のベンチャー企業のCFOや監査役も兼任。著書に『誰も教えてくれないお金と経済のしくみ』(あさ出版)や父・森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(KADOKAWA)等。
生徒たちはこちら
A子

A子

47歳。研修講師。小6の子供と夫の3人家族。「30代後半で出産し、まだまだかかる教育費に悩む日々」。
B絵

B絵

51歳。教室主宰。夫とふたり暮らし。「お金についてよくわからないことだらけで、不安でいっぱいです」。
C代

C代

48歳。企業の広報担当。夫とふたり暮らし。「母親が高齢で、遠くにひとり暮らし中。今後の住まいやお金が心配」。
D美

D美

51歳。自営業。夫と成人した子供2人の4人家族。「夫の定年が近く、老後資金問題がかなり切実……」。

なんだか日本が心配……、海外に移ったほうがいい?――B絵

A子 子供が留学するなら、どこの国がおすすめでしょうか?

森永 アメリカもいいですが、マレーシアもいいですよ。私自身、マレーシアで会社を立ち上げて住んだことがありまして。英語、中国語、マレー語、タミル語と公用語が4つで、英語と中国語が身につけば大きなアドバンテージに。人種も宗教も多種多様でダイバーシティの中で育つことで、グローバルな視点をもてるかなと……。

B絵 私たち大人も、できれば海外に移ったほうがいいですか?

森永 エクラ世代なら、逆に日本のほうが楽かもしれません。世界的には、今日本の物価は安くて品質もよく、食べ物はおいしく、店員さんも親切。治安もいいですよね。老後に年金しかない状態でアメリカに行ったら、日本以上に物価が高く、すぐに家計破綻しそうです。

私たちの暮らしどうなるの?

大人世代には食べ物も治安もいい日本が正解!?

B絵 日本はどんな対策を打てば、経済がよくなるのでしょうか。

森永 私は消費税を一度なくすのもひとつの方法かと思います。私たちの買う力が上がって経済が回りますから。企業の売り上げが伸び、給料が増えて景気がどんどんよくなる。でも政府は逆に消費税を上げる検討をしています。海外では、日本の消費税に当たる付加価値税※1)をコロナ禍で一時的に下げた国が数十カ国もあるのですが。

投資信託の積み立てって、やっぱりベストなんですか?――C代

D美 日本も下げてくれたら、買い物がたくさんできるのに……。


森永 日本はここ30年、ほぼ成長していません。同じくらい成長していない国は、内戦している国。日本のように平和な国が同じ経済状態って、おかしいですよね。

C代 わあ……、不安になります。老後に向けてお金をどのように準備していったらよいのか。投資は“賭け事”のような気がして。

A子 私もいろいろな専門家がみんなiDeCoやNISAをすすめるので「本当?」って。

森永 結論からいうと、投資信託(※2)の積み立てはおすすめです。株価指数に連動していて、手数料が安いものを選ぶといいでしょう。例えば「S&P500」(※3)というタイプは、アメリカのトップ500社に投資するイメージです。その際は、国が用意しているiDeCoやつみたてNISAなどの非課税制度を使いたいですね。株や投資信託で、もし100万円の利益が出ると、通常は20万円くらい税金がかかるので、手元に80万円ほどしか残りません。でも非課税制度を使えば、100万円がそのまま残るので、使わない理由がないんです。

C代 それがベストでしょうか?


森永 ベターですね。アメリカのトップ500社がすべていい会社とはかぎりません。トップ5社に投資したほうがコストパフォーマンスがいい。でも、自分で500社の決算資料を読み込み、5社に絞るのは…。

C代 あ、絶対に無理……(笑)。


森永 皆さんお忙しいですしね。幅広い銘柄を積み立てで買うほうが手間がかかりませんし。世界中の国の株のほか、債券などに分散してリスクを抑えることもできます。

(お金の教室・後編へ続く)

(※1)付加価値税の減税

日本の消費税に相当するのが、海外の「付加価値税(VAT)」。「イギリスやフランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ノルウェー、韓国、中国、ベトナムなど多くの国がコロナ禍で付加価値税を下げています」。

(※2)投資信託

運用会社にいる投資の専門家(ファンドマネジャー)に運用してもらうかわりに、手数料を払う金融商品。「少額でも投資先を複数に分散でき、国内外、株だけでなく債券や不動産、原油や金などにも投資できます」。

(※3)S&P500

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出している株価指数。NY証券取引所とナスダックに上場している企業から、アメリカを代表する500社の銘柄で構成。アメリカの経済を表している指数ともいわれる。

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