そもそも円安って何? 日本の経済に対する疑問や不安を専門家が解説

世界のさまざまな経済ニュースが飛び込み、私たちの暮らしはどうなるのかが気になるところ。今の日本の経済状況について、経済アナリストの森永康平さんが初歩からレクチャー!
教えてくれた人
金融教育家・経済アナリスト 森永康平さん

金融教育家・経済アナリスト 森永康平さん

金融教育ベンチャーの株式会社マネネCEO。証券会社等を経て、現職。複数のベンチャー企業のCFOや監査役も兼任。著書に『誰も教えてくれないお金と経済のしくみ』(あさ出版)や父・森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(KADOKAWA)等。

そもそも「円安」って何?

「円安」「円高」の違いを、改めてチェック。「『1ドル=100円』の場合、両替で1ドルを出したら100円もらえるということ。1ドルで120円もらえれば、ドルの価値が上がり、円の価値が下がることになるので『円安』になります。逆に『1ドル=80円』なら『円高』というわけですね」。

円高、円安の動き
ドル相場の長期推移

エクラ世代の幼少期である1980年ごろは「1ドル=200~250円」という円安の時代。その後、1986年ごろから1ドル200円台を切るように(上図)。

「その後多少の上がり下がりはあるものの円高が続き、2011年には1ドル=76円台になったことも。そして2022年3月から、再び円安に転じています」。

ただし、円安にはメリットとデメリットがある。

「円安なら、輸入企業の業績は下がりますが、逆に輸出企業の業績が上がり、悪いことばかりではありません。海外の行き来がしやすくなれば、たくさんの外国人観光客が日本に来てくれる恩恵にもあずかれるでしょう」。

【最近の円安の主な理由】

・日本とアメリカの「金利の差」

通貨間で金利差があると、金利が低いほうの通貨は安くなる。「多くの場合、これが円安・円高の原因です」。

・国の強さ

一般的に弱い国の通貨は、価値が下がって安くなる。「長期的には国の強さも、為替の影響を受けます」。

【円安のメリット・デメリット】

メリット…輸出企業の利益がUP。インバウンド関係の企業が儲かる。

デメリット…輸入品が高くなる。海外旅行に行くときに多くのお金が必要。

海外との関係や外的要因で円安とインフレが進行中

今年春から円安が進み、漠然と不安を感じる人も多いのでは?

「円安が進んだのは、金利が関係しています」と、森永康平さん。「アメリカでは物価が上がり、携帯電話料金や家賃を支払えない人が増えています。そこでアメリカ政府は物価上昇を抑えるために、金利を2.5%くらいまで引き上げました。金利が上がると、企業は銀行でお金を借りて投資しにくくなりますし、個人も車や家をローンを組んで買うことを躊躇します。投資や買い物をやめれば、経済が冷えてモノの値段が下がります。一方で、日本では金利がほぼゼロ。そのため、日本円を売って、アメリカドルを買って儲ける投資家が増え、その動きによって現在の円安が起きているといえるでしょう」(森永さん、以下同)

さらに、“国の強さ”も影響。「一般的に、今後経済発展が見込まれる“強い国”の通貨は買われて高くなります。日本はエネルギーや食料の自給率が低く、人口も減っていて“弱い国”といえる状況。今回コロナの流行やウクライナ情勢により、輸入に頼っているエネルギーの価格が高くなるなどの影響を受けましたよね。アメリカは、以前は原油を輸入していましたが、今は逆に輸出する国になっていて、原油価格が上がれば上がるほど儲かる状況。現在のアメリカは“強い国”なんです。その点も、円安が進む要因ですね」

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