美しすぎる50代!韓ドラ界で圧倒的な存在感、女優キム・ヘス【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.29】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、エクラ世代の女優で、主演作が引きも切らない大活躍中のキム・ヘスをピックアップ!20年ぶりの時代劇でますます磨きのかかった熱い演技に要注目!  

世子(皇太子)選びの受験戦争を描いた異色の時代劇「シュルプ」

「シュルプ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中

奇跡のアラフィー、韓国の国民的トップ女優の唯一無二の存在感。

 片眉を思いっきり引き上げても、ぴきんと張り切ったままのつるつるのオデコ。通常なら、あれ?あれあれ?と、その理由が気になってしまう下世話な私でありますが、「それが何か?」なんて感じで、この方を前にすると、器の小さき自分を思い知らされるようで無条件に平伏してしまうのであります。

 心をグサグサついてくる多面的かつ豊かな表現力、有無をも言わせない強さも、懐深い優しさも、妖艶さも、無垢な可愛さもあわせ持つ、唯一無二の存在感。キム・ヘス姐さん(あえて姐さんと呼ばせていただきたい)、奇跡のアラフィーと呼ばれる1970年生まれのエイジレスな52歳は、そう、何があっても揺らぐことない韓国の国民的トップ女優。
「シュルプ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中
 身長170cmのダイナマイトボディは、レッドカーペットで話題を集めることたびたび。ビジュアルからして他を圧倒する迫力はもちろん、俳優デビューが1986年ということで、ドラマに映画にその出演作品は数えきれないほど。

 なかでも私的激推しなのが2015年の映画「コインロッカーの女」。韓国闇社会の最下層で臓器売買に手を染めるヤミ金の女社長というドスのききまくった役柄なのですが、体重を増やしリアルな老けメイクで臨んだ女社長の腹の座り方は、当時若干45歳にしてそれはそれは半端なく、凄まじいまでの大迫力。人をためらいもなく殺していく非情さを装いながら、その腹の内に秘めているのは大いなる愛。思わず唸らずにはいられない圧巻の演技力と存在感なのであります、いやホント。
「シュルプ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中
 かと思うと、「ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-」のヒロイン役です。役柄的には金のためなら手段を選ばず“勝ち”を取りに行くたくましきハイエナ弁護士なのでありますが、その出生のトラウマを前に崩れ落ちてしまう弱さを垣間見せる繊細さも細やかに表現。私が男だったなら、いや女の私でさえも、思わず抱きしめて助けてあげたくなる切なき危うさまでリアルに演じ切るなんて、さすがキム姐さま。“あっぱれ”5連発ぐらいあげても足りるものではありません。

 そんなキム姐さんの最新作が、時代劇は実に20年ぶりという本作「シュルプ」。これがまたまた彼女の魅力炸裂。私的’22年の韓国ドラマトップ3入りの大傑作というわけで。
「シュルプ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中

共感必至!母として人としてのあるべき姿に、感涙せずにはいられない!

 時代劇の場合、通常、王宮内の権力闘争をテーマに描かれることが多いのですが、この作品はそれをベースにしながらも中心として描かれるお話がちょっと異色。テーマは、王宮内の母と子が奮闘する、世子(皇太子)選びの受験戦争。かなり新感覚です。

 え、宮廷で受験?と思われたあなた、そうなんです。朝鮮王朝の次の王を約束される世子は、順当であれば、正室である王妃の産んだ王子、“大君”(テグン。一方、側室の産んだ王子は“君”として区別された)の長子が自動的に選ばれます。つまり、受験戦争のような制度はなかったわけですね。

 ただ、「択賢」(テクヒョン)という考え方もあり、非常事態などの異例として嫡流でない王子が王として選ばれることもないわけではありませんでした。「択賢」とは、徳と功のある最も賢い者を選ぶという意味。ドラマでは、この「択賢」を現代の受験になぞらえて、王宮内の王子選びの試験として大胆に脚色し、朝鮮王朝の架空の時代を舞台に描かれるというわけです。

 それゆえ、通常なら成人すると無条件に地方に飛ばされる側室の王子たちなのですが(世子以外の大君も)、ドラマでは、我が子が世子になるチャンス!とばかりに、「択賢」が採用されるとなるや否や、君たちの母である側室たちがにわかに世子選びの受験バトルに参戦して奮闘しまくるという次第。
「シュルプ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中
 で、キム・ヘス姐さんです。彼女が演じるのは、これといった後ろ盾になる外戚がいないファリョン王妃。彼女が産んだ大君は5人いるのですが、その長子である世子(俳優ペ・イニョク)は文武に秀でたうえに、母思い、弟思いの文句なしのデキた息子。ところが、残る4人の大君といえば、軒並み問題児ばかり。宗学(チョンハク)という帝王学を学ぶ王子たちの授業にも、遅刻せずにまともに出席することのほうが稀という体たらく。

 そんな大君たちが次々と繰り出すトラブルに目を白黒させながら、チマ(韓服のスカート)を腰まで手繰り上げて、必死の形相で駆け回るファリョン王妃はめちゃくちゃ楽しく、思わず笑わせられることも多々。息子を持つ母親は、王妃も庶民も昔も今もみんな一緒ね、なんて共感するアラフィー母も多いのではと思います。
「シュルブ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中
 ところがです。唯一の頼りだった世子が突然、血の病に倒れたところから、物語は一気に暗雲の様相に。実は、今の王(俳優チェ・ウォニョン)は、20年前に嫡流だった当時のテイン世子が同じ血の病で亡くなったことから、件の「択賢」によって、母である大妃(俳優キム・ヘスク)が側室でありながら世子に選ばれたという経緯が。そして、テイン世子の弟たちも次々と殺害されていたという事実まで。ということは、「択賢」で大君の誰かひとりが世子に選ばれなければ、息子たちの命が危うい……。かくして、愛する息子たちを守るため、ファリョン王妃の命懸けの闘いが始まるのです。
「シュルプ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中
 権力をほしいままにすべく、謀略を巡らす大妃や大臣たちには、一歩も怯むことなく敢然と立ち向かい、機転を効かせた策を講じては形勢を逆転させる。権力に傾倒して不正を働こうとした儒生(儒学者)には、毅然とあるべき道を諭す。
 
 キム・ヘス姐さんが演じるファリョン王妃は、ただ境遇を受け入れるだけのひ弱な王妃ではありません。自らの逆境を自ら切り開いていく強さとたくましさと知力と品格と。その姿はめちゃくちゃカッコ良く、スカッと痛快。そして、ダメダメ息子たちに振り回され続けても、彼らのありのままの個性を尊重して守り抜き、ライバルともなる側室やその王子たちの心まで救おうと行動する。それらを描いた母と子のエピソードの数々とファリョン王妃のセリフには、母として、人としてこうあるべきと、思わず感涙せずにはいられません。海よりも深い懐と愛。こんな王妃、キム・ヘス姐さんしか演じられない!と、つくづく。
「シュルプ」のムン・サンミン
ソンナム大君(ファリョン王妃の二男)役のムン・サンミン。Netflixシリーズ「シュルプ」独占配信中
 そして、もう一つ。やっぱり、時代劇といえばイケメンなくしては語れない、ということで、続々と登場するアイドルばりの王子たちにもぜひ注目を。中でもソンナム大君(ファリョン王妃の二男)。きりりと眉目秀麗なのはもちろん、武術に優れ、腕っ節はめちゃ強いのに女性にはシャイ。そして、爽やかな笑顔に心臓に響く低音ボイス。演じているムン・サンミンはドラマ「マイネーム: 偽りと復讐」の刑事役でチラリと登場したくらいの新人俳優なのですが、すでに、私の周囲のアジュマ(おばさま)たちは軒並みいろめき立っているという。早くも次の作品が待ち遠しい次世代スター。その一挙手一投足もつぶさにご堪能くださいませ。
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こちらも見逃せない!キム・ヘスの魅力を堪能できる傑作選!

「未成年裁判」

「未成年裁判」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「未成年裁判」独占配信中
「未成年裁判」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「未成年裁判」独占配信中
 「シュルプ」が’22年の下半期の傑作なら、上半期のぜひとも観てほしい傑作。韓国では18歳以下の少年少女は重罪以外は刑法で裁かれることなく、少年法の保護処分となります。10〜13歳に至っては保護処分のみ。そのためか、刑罰が軽いことを見越して罪を犯す未成年者が後を立たず……。そんな現代の社会問題にもなっている少年犯罪に焦点を当てて描いたのがこの作品。

 キム・ヘスが演じるのは、「非行少年を嫌悪する」と公言してはばからない判事シム・ウンソク。同僚のチャ判事(キム・ムヨル)が更生を信じて少年少女を優しく見守ろうとするのとは対照的に、少しの甘さを見せることなく容赦なく冷静に断罪します。一見、非常と見えるシム判事ですが、1〜2話で描かれるのは、13歳の少年が9歳の男児を殺害し、遺体を切断放置するという衝撃的な事件。しかも、少年は刑法で裁かれないということを知った上での犯行。韓国で実際に起きた少年犯罪をモチーフに描かれているのですが、ただやさしく更生を見守りたいという生半可な正義だけでは解決しない不毛な現実がそこにあるわけなのです。そうした少年犯罪に立ち向かうクールなキム・ヘスが圧巻なのはもちろん、「ミセン ー未生ー」の俳優イ・ソンミン、「私たちのブルース」の女優イ・ジョンウンなど、ベテラン俳優が熱演するキム・ヘスとの判事対決もずっしり見応えが。ドラマが進むにつれ、シム判事が少年犯罪を嫌悪する理由も徐々に明らかになっていくのですが、そのシム判事の思いの深さにも胸熱くなること必定です。
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「ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-」

「ハイエナ」のキム・ヘス
Netflixシリーズ「ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-」独占配信中
「ハイエナ」のキム・ヘスとチュ・ジフン
主演のキム・ヘス(左)とチュ・ジフン(右)。Netflixシリーズ「ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-」独占配信中
「未成年裁判」や世界的に人気を集めた「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」をはじめ、今年の韓国ドラマは法廷ものが大豊作でしたね。で、実は、今年に限らず私がこれまで視聴した全てのリーガルドラマの中で、ベスト オブ ベストなのがこの作品なのです。サスペンスのハラハラも、逆転逆転の痛快も、ちょっぴり甘酸っぱい恋の予感も、とにかく盛りだくさん。

 キム・ヘスが演じるのはもちろんヒロインの“ハイエナ”弁護士チョン・クムジャ。そう、本文でも書きましたが、金のためなら手段を選ばず“勝ち”を取りにいく雑草魂の凄腕女弁護士という役柄です。なのに、最初は巻き毛のロングヘアに知性も教養もあるセクシーにして品のある美女として登場。何、何?その女、と思っていると、実はその姿、訴訟相手の大手法律事務所のパートナー弁護士ユン・ヒジェ(俳優チュ・ジフン)を陥れるためのクムジャが用意周到に仕組んだ罠。そうとも知らず、クムジャにヘロヘロに骨抜きにされるチュ・ジフンがめちゃ可愛く愉快なのですが、知力と豊富な情報を駆使して闘うエリート弁護士ヒジェVS相手の弱みを武器に畳み掛けるしたたか成り上がり弁護士クムジャの生き残りをかけた攻防戦はジェットコースター以上のスリリングな展開。クムジャに何度も手玉に取られながら、彼女に惹かれてしまうヒジェと、男は誰も信じきれないけれど……というクムジャと、大人な二人の微妙な恋の行方もキュンキュン。さらに、全編を貫く財閥をめぐる殺人事件のミステリーの面白さも超ド級。’20年の作品ですが、私的にはシーズン2を強く強く希望したい激愛作品です。
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山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。

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