編集者・ライターの一田憲子さんに聞く!「エクラ世代から、本格的にメモ活を始めました」

書くという仕事柄メモは以前から身近な存在だったが、50代になってあえて始めた『メモ活』が日常生活を大きく変えた、と語る編集者・ライターの一田憲子さん。メモの活用が彼女の人生にもたらしたものとは……?
編集者・ライター 一田憲子さん

編集者・ライター 一田憲子さん

いちだ のりこ●’64年生まれ。編集者・ライター。OLを経て女性誌、単行本の企画・編集・執筆を手がける。『明るい方へ舵を切る練習』(大和書房、¥1,650)ほか著書多数。
「外の音、内の香」https://ichidanoriko.com/も要チェック

メモを見返すと、新たな気づきや工夫が生まれる

編集者、エッセイストとして活躍する一田憲子さん。年齢を重ね、心や生活の変化に合わせて「日常生活の中でやめること」を増やしてきた一田さんが、50代になってあえて始めたことのひとつが「メモをとること」だという。

「すごくいい本を読んで感動したのに漠然とした内容しか思い出せないとか、50代になると記憶からぼろぼろと抜け落ちることが増えてきますよね。日々の生活で気づいたことや感動したこと、そこから生まれる考えや思いを残しておきたい。それがメモ活を始めた理由です」

どこそこのお弁当がおいしいなど、情報系のメモはスマートフォンのメモアプリに記録。心に残った言葉や考えたことなど、思考系のメモはノートに手書きしている。

「以前は無印良品の小さなノートを使っていましたが、整理収納アドバイザーのEmiさんが主宰する『マイノートのつくり方』セミナーを受けてから、B5サイズに変えました。マイノートの特徴は心に残った言葉やできごとなどをメモして、その下に自分の考えや感想を書き込むこと。小さいサイズは、書きたいことがいっぱいあるとどんどんページを使うし、気になった文章を丸ごと印刷してはるときに、ページが大きいほうが便利なので。あと、私の字が大きいというのもありますが(笑)」

記録として残すだけでなく、メモには自分を客観視する作用もあるという。

「それがいいことでも悪いことでも、自分の心がなぜ動いたかを考えて、ひと言ふた言でいいから書き出してみます。うれしい、悲しいという気持ちを掘り下げてみると、心のありさまに気づき、今の自分が求めているものが見えてくるかもしれません。また、今日あったできごとから気になったものをピックアップして、その瞬間、自分が何を感じたかを書くのもおすすめです。例えば、誰かの言葉にムカッときたら、その理由を考えてみる。『相手が悪いと思ったけど、自分の行動にも問題があった』など、書くことで冷静になり、心が整って、日々を生きるのがもっとラクになりますから」

メモを書いたことで満足してしまう人が少なくないが、何回か見返してみることが大事だと一田さんはいう。

「自分のメモを見返すと、『そういえば今日やった仕事と、3日前に経験したあのことがリンクしている』ということが少なからずあるんです。年齢を重ねると、新しい!と感じる出会いが減ってきますが、それなら、今ある自分の経験や思考を掘り下げて、AのアイデアとBの出会いを結びつけて何かを生み出すようにしたらどうだろう?と考えるようになりました。メモを書くことが、一見、関連性がないように見える物事や人を結びつけるブリッジになってくれるので」

なかには、何を書けばいいのかわからない、という人もいるが、「すごいことを書かなきゃと思わず、日常のごく身近なことから書きはじめてみては」と一田さん。さっそく今日からメモ活に取り組んで!

心が動いた瞬間をメモにすると、自分の心のありさまが見えてきます

書くメモは3種類。すぐやることはメモ紙(写真右上)に書いて目につく場所に置く。右下は、よく作る料理の材料&調味料を書いたレシピメモ。左は、日々の経験や考えをメモする思考系のノート

書くメモは3種類。すぐやることはメモ紙(写真右上)に書いて目につく場所に置く。右下は、よく作る料理の材料&調味料を書いたレシピメモ。左は、日々の経験や考えをメモする思考系のノート

ここ数年で書きためたメモ活ノート。一日の終わりに浴室に持ち込んで読み返し、6色ボールペンでメモに対する分析や新しいアイデアなどを書き込むのが日課になっている

ここ数年で書きためたメモ活ノート。一日の終わりに浴室に持ち込んで読み返し、6色ボールペンでメモに対する分析や新しいアイデアなどを書き込むのが日課になっている

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