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【50代自由になるかたちとは?】始めるのに”もう遅すぎる”はない。50代で「天命」を見つけた佐東亜耶さん
人生後半に向かって再スタートをきりたいエクラ世代。一般社団法人「泉鳳」「BEAUDOUBLE」代表理事を務める佐東亜耶さんは、自身の子育てを終えてから、子供たちへの支援活動を開始。50代で「天命」を見つけた佐東さんの生き方とは?
【50代自由になるかたちとは?】なぜ、50代になった今、自由を意識するのか?
2023年で50歳になった人の主なできごと
【’73】誕生
・日本円⇔米ドルの為替レートが固定相場制から変動相場制に
・映画『燃えよドラゴン』公開
・第4次中東戦争勃発、オイルショック
【’80】小学校〜中学校時代
・『なんとなく、クリスタル』がベストセラーに(1980年)
・「ファミコン」発売(1983年)
・東京ディズニーランド開園(1983年)
・バブル時代に突入(1985年~)
・『夕やけニャンニャン』放送開始(1985年)
・男女雇用機会均等法成立(1985年)
・女子大生ブーム
・DCブランド隆盛
・アイドルブーム
・バンドブーム
・昭和天皇崩御。平成へ改元(1989年)
・消費税導入(1989年)
’80年代、バブル華やかなりしころも小中学生にとってはさほど恩恵なし
【’90】高校〜大学・社会人に
・宮沢りえ写真集『Santa Fe』発売(1991年)
・トレンディドラマが全盛期を迎える
・バブル崩壊
・女子高生ブーム
・皇太子徳仁親王・小和田雅子さんご成婚(1993年)
・レインボーブリッジ開通(1993年)
・阪神・淡路大震災(1995年)
・地下鉄サリン事件(1995年)
・ドラマ『踊る大捜査線』放送(1997年)
・「モーニング娘。」メジャーデビュー(1998年)
・「ユニクロ」フリースブーム(1998年~)
・携帯電話・パソコンの普及
・育児介護休業法施行(1999年)
・「iモード」サービス開始(1999年~)
中澤裕子が24歳でアイドルデビュー。27歳までの現役続行も当時は画期的だった
深津絵里演じる『踊る大捜査線』の女性刑事、恩田すみれ。カップ麵をすする描写に、働く女子の哀愁がにじむ
【’00】30代に突入
・介護保険制度が始まる(2000年)
・アメリカ同時多発テロ事件(2001年)
・イチローがマリナーズに移籍(2001年)
・SMAP『世界に一つだけの花』大ヒット(2003年)
・地上デジタルテレビ放送開始(2003年~)
・「mixi」サービス開始(2004年~)
・「GU」1号店オープン(2006年)
・ライブドア事件勃発(2006年)
・「Twitter」サービス開始(2006年~)
・ドラマ『ハケンの品格』ヒット(2007年)
・「YouTube」日本語に対応(2007年~)
・「Facebook」スタート(2008年~)
・「iPhone 3G」発売、スマートフォン時代へ(2008年~)
・LOHASブームが起こる
『ハケンの品格』の大前春子は団塊ジュニアのロールモデル⁉ この作品で篠原涼子は働く同世代女子の代表に
【’10】不惑の40代へ
・「Instagram」サービス開始。SNS全盛時代に(2010年~)
・東日本大震災(2011年)
・「アベノミクス」が提唱される(2012年)
・「メルカリ」始まる(2013年)
・ドラマ『半沢直樹』(主演・堺雅人)が大ヒット(2013年)
・柴崎友香『春の庭』が芥川賞に(2014年)
・国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」採択(2015年)
・「TikTok」日本でサービス開始(2017年~)
・#MeToo運動、世界に広がる(2017年~)
・働き方改革関連法成立(2018年)
・#KuTooが新語・流行語大賞トップ10入り(2019年)
・令和に改元(2019年)
女性の足を解放した#KuToo。ひとりの女性の呼びかけで始まったのも象徴的
【’20】そして天命を…知る?
・コロナショック(2020年~)
・リモートワーク、オンライン会議が広まる(2020年~)
・東京オリンピック、延期を経て開催(2021年)
・ジェンダーレスファッションの流行
・LGBT理解増進法施行(2023年)
・Twitterが「X」に(2023年)
ボーダレスでエイジレスなカジュアルファッションは、もはや全世代に定着
「失われた30年」で真に失われたのは、自信
社会で、家庭でそれなりの役割を果たしてきて、50代、これからはもっと自由に……と思いながら、ふと立ち止まる。私たち、そんなに不自由だったんだっけ?
「自分たちの親世代と比較すれば、朝方までNetflix見てたりする今の生活は、めちゃくちゃ自由だと思いますよ」というのは、カルチャーやメディアを独自の視点で俯瞰する速水健朗さん。最新著書『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』では、自身の半生で体験、目にした社会の事象をザッピングしながら、団塊ジュニア、ロスト・ジェネレーション世代の本質に迫った。
「働き方も家族観も、自分たちの親のころとは比べものにならないほど自由。でも決定的に違うのは、僕らの世代は世に出た当初からずっと不況で苦労してきたということです。しかもその自覚がずっと薄く、気づいたのは’00年代に入ってから。非正規雇用や低賃金が知られるようになり、ロスジェネ、失われた30年といった名前がつけられてようやく“僕ら、不遇だったらしいよ?”と。人口も多いし、なんだか自分たちのせいで社会が悪くなったような気がしていて」
悪者ではないにせよ、前後の世代と比べて影が薄かったこともしみじみ思い出される。中高時代はバブル景気と女子大生ブームを遠くに眺め、大学生になったらコギャル化した女子高生に注目が。
「時代にのりきれなかったという感覚は、女性のほうがより強いんじゃないかと思います。男女雇用機会均等法で注目されたバブル世代は女性活躍の象徴の時代だし、自分たちより若い年代は女子高生のころからずっとキラキラしている。時代の中心になったことがなく、ずっと日陰にいる感じ」
羽ばたけなかった不全感が、拭い去れない不自由さの原因なのか……。そして、速水さんにとって世代的不遇を決定的に感じたできごとが、’06年のライブドアショックによる時代の寵児・堀江貴文(’72年生まれ)の失脚だった。
「’90年代に押し寄せた、ITやドットコムバブルといった新しい波。それにのった新興企業が、伝統や権威をかざす大企業に噛みついて敗北した。自分たちも30歳を過ぎてそれなりに社会に定着したと思っていたけれど、結局、日本を変えるにはいたらなかった。それを突きつけられた事件でした」
ただし、そんな中でも時代のヒロインとして輝いた’73年生まれは確かにいたと、速水さんは続ける。
「国民的大ヒットとなったドラマ『踊る大捜査線』のヒロインは、’73年生まれの深津絵里。彼女が演じた恩田すみれは、女性刑事でありながらOLに近く、旧態然とした会社で働く女性を象徴する役柄でした。’00年代には、やはり’73年生まれの篠原涼子が職業ドラマの女王として君臨し、特に非正規雇用を扱った『ハケンの品格』でのスーパーキャリアウーマンぶりが光った。ほかにも、24歳でアイドルデビューしたモーニング娘。の中澤裕子は、20代で結婚、引退していた昭和のアイドル観を打ち砕いたし、柴崎友香が書く、声高に主張できずにいる同世代の物語にも、すごく共感を覚えました」
自分を縛っているのは実は自分自身だった?
とまどっている間にも時は過ぎ、ついに大台にのった’73年生まれは、そろそろ下から旧世代と位置づけられるポジションに。「時代の壁を打ち砕くはずが、もはや打ち砕かれる側になった。下手に経験を語ると、今はマウントだと思われてしまう」と速水さんも嘆息する。
不自由を抱えたまま、私たちは倒されるしかないのか? しかし、「大丈夫。世の中は確実に自由になってきています」というのは、心理カウンセラーの大美賀直子さん。’71年生まれ、これまで幅広い年代の女性たちから相談を寄せられてきた中で「50代は最後の“縛られ世代”」と、その実感を語る。「メディアから“こうすればモテる女になれる”“素敵な大人ってこんなふう”と、自分が考える前に次々と理想像を提案され、必死にそれを追いかけ、合わせようとしてきた。でも、今はSNSの時代。行動も何も人それぞれでいいじゃんという時代です」
ファッションにはそれが如実に表れていると、大美賀さん。ユニクロ、GUなどファストファッションが世代を超えて共有される、ボーダレスな時代だ。
「かつては“9号が着られなくなったら女じゃない”といわれていたのに、ユニセックスに着られるファストファッションならメンズのSサイズが余裕で入ります。そもそもシンプルなアイテムは、サイズ感なんて関係なく、好きなものを好きなように着られる。誰かが決めた女性らしさ、大人らしさに、もうとらわれなくていいんです。#KuTooが広まったのも大きかったですね。今やスーツにもスニーカーがあたりまえですから」
古い価値観から解き放たれた今、「あとは、自分が縛っている自分を解放するだけ」と大美賀さん。この先、さらに自由な60代、そして老後を生きていく過程で、「親世代と同じではない、独自のロールモデルが現れるはず」と速水さんも期待を寄せる。
「“余裕ができたから老後はどうしようか”という経済状況には、僕らはたぶん一生置かれない。どこまでも現役でいる、そのプレッシャーはすごいですよ。でも、自然体でエイジレスな……例えば、少し上世代の藤井フミヤや小泉今日子が見せるあの雰囲気は、参考になるんじゃないかと」
いっそ自分がロールモデルに?そう、迎えるべきは、きっとそんな時代なのだ。
『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』
速水健朗
東京書籍 ¥1,540
ライター・編集者 速水健朗さん
心理カウンセラー 大美賀直子さん
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