「五十肩」を一日でも早くラクにする方法まとめ【エクラ世代のカラダ悩み解消】

肩が痛くて腕が上げられない……。こんなつらい五十肩の症状があるのに、いつかは自然に治るものと思っている人も多いのでは!? 実はそんな思い込みが回復の妨げになっていることも。早く治すための知識や、具体的な治療法&セルフケア法をご紹介。

まずは正しく理解しよう!五十肩、5つの誤解

まずは正しく理解しよう!五十肩、5つの誤解

肩コリがひどくなるとなる

五十肩かなと思ったとき、肩コリのせい?と疑いがちだけれど、実際には別もの。肩コリがひどいから五十肩になるわけでも、肩コリがないから五十肩にならないわけでもないというのが事実。

放っておけば治る

五十肩は年齢的なもので、“放っておいても治る”ともよくいわれる。しかし、現実的には治療をしないと治らないことも多く、何もせずに治ったなら五十肩ではなかった可能性もある。

どうせ治療をしても治らない

五十肩は老化現象のひとつで、どうせ治療しても治らないと思い込んで放置している人も少なくないのでは? でも現在は治療法が進化しているので、適切な治療を受ければ、早く治すことが可能に。

動かさないと固まってしまう

五十肩は症状の進行段階によって対処法が違い、確かに、肩関節が固まらないよう積極的に動かしたほうがいい時期もある。その一方で、無理に動かすと逆に悪化してしまう時期もあるので要注意。

運動不足だとなりやすい

五十肩になると、運動不足だからしょうがない……などと思ってしまうもの。でも実際は、よく体を動かしている人でも五十肩になり、運動をしているかどうかは関係ないという事実が。

謎多き“五十肩”の正体とは?

五十肩を正しく理解している人は少なく、間違った認識も多い。この機会に正しい知識を身につけよう。

教えてくれた人
守重昌彦先生

守重昌彦先生

東京・立川の「ぜんしん整形外科」院長。整形外科専門医、スポーツドクター。五十肩の初診患者だけで月40〜50人、年間約600人が訪れる。著書に『肩関節専門医が解説 最強の五十肩メディケーション』(幻冬舎)。

肩の関節包に炎症が起き、痛みや可動域制限が生じる

50代で肩に痛みが出ると、“五十肩?”とまず思うものだが、実はどんな場合を五十肩というのかわかっていない人も多いのでは? そこで整形外科医の守重昌彦先生にうかがった。

「整形外科では、明らかな原因がないにもかかわらず、肩の痛みや肩関節の動かしにくさなどの症状がある場合に五十肩と診断します。40歳くらいで同じ症状ならば四十肩といいます。医療用語では肩関節周囲炎といいますが、専門家の間ではあまり使われなくなっており、現在は、肩が凍ったように固まるので“凍結肩”と呼んでいます。肩関節では、肩甲骨の受け皿となる関節窩(かんせつか)という部分に、腕の上腕骨が接しています。この2つの骨をつなぐのが関節包と呼ばれる袋で、この部分に炎症が起きるのが五十肩です。炎症が起きると線維化が起き、本来軟らかかった部分が硬くなって、同時に関節包が縮みます。そのため肩の動きが制限されてしまうのです」

守重先生によると、五十肩に多い症状は、肩や腕を動かすと激痛が走る、じっとしていても肩が痛む、夜に強い痛みが起きて目覚めてしまうというような“痛み”の症状。また、腕を上げて洗濯ものを干せない、背中に手を回せない、服の袖に腕を通せないというような可動域制限が特徴なのだそう。自分の肩の痛みが五十肩なのかどうかは、左記で示した方法でチェック可能だから、さっそく確認してみて。

原因ははっきりわかっておらず、突然なる場合も

では、炎症が起きる原因とは?

「五十肩の原因ははっきりわかっておらず、何の前ぶれもなく突然なる場合もあります。ただ、五十肩の患者さんを診ていると、ちょっと肩をひねったなど何か炎症を起こすきっかけになることがあったケースが多いですね。ちなみに肩コリがひどいと五十肩になると思いがちですが、肩コリは筋肉の問題で、五十肩は関節の問題。首や肩の筋肉のコリや痛みが、関節包に直接影響を与えることはありません。また、運動不足が原因でもなく、スポーツをしている人でも五十肩になります。ですから残念ながら予防法はないのです」

そんな五十肩は、症状の推移によって3つの時期に分かれるそう。

「痛みが強く、じっとしていても痛むのが『炎症期』。その時期が過ぎると、強い痛みはやわらぐものの肩を動かすと痛み、肩の動きが悪い『拘縮期』に。その後、動かしたときの痛みが改善し、動きもよくなってくる『寛解期』になります。それぞれの時期がどれくらい続くかは、治療の有無や症状の度合いによって大きく違います。また、時期によって対処法が異なるので、時期に応じたケアをすることが大切。整形外科での治療で早く治りやすいので、自己判断せず受診することがおすすめです」

(肩関節の構造)

正常な肩関節

正常な肩関節

五十肩

五十肩

その肩の痛みは、五十肩?まずは、セルフチェック!

□バンザイをしたとき、右と左で上がり方が異なる
□あおむけになった状態で床に手の甲がつくまでバンザイができない
□小さな「前へならえ」をして、肘をつけたまま、手のひらを左右に広げられない
□じっとしていても肩に痛みを感じる

上記の4つの動きを行ってみて、ひとつでも当てはまるものがあれば五十肩の可能性がある。ただし、痛みが強いときに肩を動かすのはNG。必ず痛みのないときに行うこと。

症状は時期によって変化する

「五十肩」を一日でも早くラクにする方法まとめ【エクラ世代のカラダ悩み解消】_1_5

炎症期
•症状は痛みがメイン
•じっとしていても痛い
•夜間に特に痛む

「五十肩」を一日でも早くラクにする方法まとめ【エクラ世代のカラダ悩み解消】_1_6

拘縮期
•強い痛みはやわらいでくる
•肩を動かしたときに痛む
•肩の動きが悪くなり、可動域が制限されてくる

「五十肩」を一日でも早くラクにする方法まとめ【エクラ世代のカラダ悩み解消】_1_7

寛解期・回復期
•動かしたときの痛みは改善してくる
•肩の動きは徐々によくなり可動域も広がってくる

五十肩を“正しく知る”ことが楽への近道

五十肩は、症状の段階に合った適切なケアをすることが早くラクになるためのカギ。そのための具体策をご紹介。

症状によって対処法が変わるので要注意!

五十肩は段階ごとに対処法が違うということだが、具体的な方法とは?

「痛みが強い炎症期は、肩を動かすと悪化するので動かさず安静にすることが大事。そして整形外科で治療(治療法は左記参照)を受けるのが賢明です。軽症でないかぎり、自然には治らないことも多く、治るのを待っていると数年かかることも。逆に治療を受けると1回で症状がラクになることが多いです。また、五十肩でなく腱板断裂や石灰沈着性腱板炎といった別の病気のこともあるのですが、近年、MRIやエコー(超音波診断装置)などの画像検査が進化し、肩関節疾患が精密に診断できるようになりました。病気が違うと治療法も変わり、これらも治療で改善するのでまず検査を受けましょう」

では拘縮期や寛解期には?

「拘縮期は関節包とともにまわりの筋肉も硬くなっていることがあり、動かさないでいると可動域が狭まったままになりかねないので積極的に動かすことが大切。ただ、無理に動かすと症状が戻ることもあるため、整形外科の理学療法士のもとでリハビリを受けて適切な方法で動かすのが理想的です。そして寛解期になったら、動きがよくなってくるのでエクササイズをどんどん行いましょう」

ちなみに、鍼灸や整体に行くのはOK?

「鍼灸や整体は筋肉にアプローチするもので、関節包の炎症をとるわけではないため根本改善にはなりません。ラクになるならよいですが、改善した場合、五十肩ではなかった可能性も。早めに治すならやはり整形外科、できれば理学療法士がいて、エコーを置いている病院の受診を」

じっとしていても痛みがツラい炎症期の場合

【主な対処法】
□安静
□鎮痛剤の投薬
□ステロイド注射

五十肩

炎症期の場合、整形外科では鎮痛剤の内服薬の処方や、炎症を抑えるステロイド注射などで治療。「ステロイド注射は最近、エコーを見ながら関節包の中にピンポイントで打てるようになりました。そのため効果が表れやすく、1回打つと格段にラクになります。ですからエコーを見ながら打ってくれる病院を選ぶことが重要。ヒアルロン酸注射も選択肢ですがステロイド注射より効果は低めです。また、炎症が強いときはステロイドの内服薬を用いることも。そのほか、硬くなった筋肉に水分を注射してゆるめるハイドロリリースという治療を行うこともあります」。

五十肩

就寝時は肩や腕が下に落ち込むと痛みが強くなるので、痛むほうの肩の下にクッション(丸めたバスタオルも可)を当て、おなかの上にもクッションを置いて腕をのせるのがおすすめ。また、冷やすより温めるほうが痛みを感じにくく筋肉の緊張もやわらぐ。

痛みはやわらいだが動かすと痛む拘縮期の場合

【主な対処法】
□セルフケア
□リハビリ

拘縮期は、以下のようなエクササイズで筋肉をほぐし可動域を広げることがポイント。「エクササイズはひとつだけでもよいですが、複数行うとより効果的。気づいたときに、できるものから痛みが出ない範囲で行いましょう。関節包の硬さがとれにくい場合は、整形外科ではステロイド注射をする場合も。これによって関節包が軟らかくなり可動域も広がります。また、拘縮が強い場合はマニピュレーションという治療(以下「“マニピュレーション”」参照)を行うこともあります。なかなか改善しなかったり、症状が戻った感じがしたら医師に相談しましょう」。

基本のセルフエクササイズ

基本のセルフエクササイズ

テニスボールを背中と壁の間で転がす
壁を背に立ち、背中と壁の間にテニスボールを入れ、痛いほうの肩甲骨の下に当て、背中を動かして転がす。筋肉がほぐれる感覚を意識。気持ちよく感じる程度の強さで行う。これを5分×2セット。

腕を上げ、頭の上で手を組む

腕を上げ、頭の上で手を組む
両腕を上げ、頭の上で手を組む。これを10回×2セット。腕は無理に上げないこと。痛みが出ず、このあたりまでなら大丈夫と思う範囲で、上半身の筋肉が伸びている感じを確かめながら行って。

肘を枕に当てて下に押しつける

肘を枕に当てて下に押しつける
机の上に枕やクッションなどを置き、その上に両肘を直角に曲げて当て、下に押しつけるように力を入れたら、力を抜く。10回×2セット。わきの下の筋肉に力が入り、力を抜いたとき血流がよくなり筋肉がほぐれる。

関節包に直接アプローチして早期改善が期待される注目の治療法“マニピュレーション”とは

五十肩の治療法として注目されているのがマニピュレーション。「これは関節包がなかなか軟らかくならない場合などに行うもので、硬化した関節包を体の外側から破ったり伸ばしたりして可動域を取り戻す方法。メスを入れることなく、医師が患者の肩や腕を慎重に動かし、硬くなった関節包を破きます。関節包は少し力を加えれば容易に破れたり伸びたりします。エコーを見ながら局所麻酔薬による神経ブロック注射をして行うので痛みはほとんどありません。関節包が破れると、その瞬間から可動域が一気に広がり、腕を自由に動かせるようになって痛みも治ることが多いので、患者さんはとても喜ばれます。入院は不要で、診察から事後の処置まで含めて2時間以内で終わります。破れた関節包は時間がたてば再生されるので問題ありません。費用は保険適用で、3割負担の場合で10000円程度。五十肩の痛みが残っていて仕事に支障を来す人や、リハビリに通い続けられない人、スポーツをする人など早くもとの状態に戻したい場合にすすめる方法です」。

読者発!私はこんな工夫で、そのツラさを乗り越えました!

「あずきのチカラ」で肩を毎日温めていました。気持ちがよくて痛みを忘れられました(57歳・主婦)

「あずきのチカラ」で肩を毎日温めていました。気持ちがよくて痛みを忘れられました(57歳・主婦)

中身が100%あずきの温熱ピロー。あずきは水分含有量が多いのが特徴で、ピローを電子レンジで温めると蒸気が放出され、首肩にのせておくとじわ〜っと温まる。効果は30分間持続。250回繰り返し使うことができる。あずきのチカラ 首肩用 ¥1,996/小林製薬 お客様相談室

枕は体全体を覆うタイプの「ハグモッチ」に買い替えて現在も使用中。ベッドには寝ながら見られるスマホホルダーを100円ショップで購入し、万全の睡眠環境を整えています(56歳・パート)

枕は体全体を覆うタイプの「ハグモッチ」に買い替えて現在も使用中。ベッドには寝ながら見られるスマホホルダーを100円ショップで購入し、万全の睡眠環境を整えています(56歳・パート)
「五十肩」を一日でも早くラクにする方法まとめ【エクラ世代のカラダ悩み解消】_1_15

寝ているときの、肩や腕が下に落ち込むことによる痛みを抱き枕で防ぐのもあり。このハグモッチはあおむけ、横向き、うつ伏せで使える全身を包む枕。左右に抱きつくことができ、睡眠中の体の負担を軽減。シルクのような肌ざわり。ハグモッチ¥8,888/ラキスプリード

優しいタオル生地で心地よく、肩が落ち込まずラク。肩の下にはさんだり、腕の下に置いたりもできて便利(50歳・会社員)

優しいタオル生地で心地よく、肩が落ち込まずラク。肩の下にはさんだり、腕の下に置いたりもできて便利(50歳・会社員)

くるくる巻いたタオルが首もとにフィットする、頭を持ち上げすぎない超低めの今治産のタオル枕。タオルの層によって、優しく支えられているような寝心地。首の後ろにできるすき間を埋めて首もとをしっかりサポート。枕を使わない人の枕 くるくる¥6,980/まくらお客さまセンター

ぬるめのお湯に「パパヤ桃源S」を投入し、ゆっくりつかり、肩をそおっと回したり、ストレッチしたり。湯あがりには肩の動きが改善したようでした(50歳・会社員)

ぬるめのお湯に「パパヤ桃源S」を投入し、ゆっくりつかり、肩をそおっと回したり、ストレッチしたり。湯あがりには肩の動きが改善したようでした(50歳・会社員)

昭和30年に“くすりの町”富山で生まれた薬用入浴剤。ホウ砂、炭酸水素ナトリウム(有効成分)が温浴効果を高め、血行を促進。荒れ性や湿疹、あせもなど17の症状緩和の効果効能がある。香りはジャスミン、ユズ、れもんなど6種類。パパヤ桃源S 70g缶 各¥550/五洲薬品お客様相談室

もみ玉の入ったクッションマッサージ器がとても心地よくラクになりました(50歳・主婦)

もみ玉の入ったクッションマッサージ器がとても心地よくラクになりました(50歳・主婦)

首・肩、腰・背中、脚などに使えるクッションタイプのマッサージ器。4つのもみ玉が回転し、コリをほぐす。クッションマッサージャ H M-350-BW ブラウン¥8,778(編集部調べ)/オムロン ヘルスケア

温めると痛みが緩和されるので、温熱低周波治療器は手放せませんでした(51歳・会社員)

温めると痛みが緩和されるので、温熱低周波治療器は手放せませんでした(51歳・会社員)

温めてから低周波で刺激する「温治療Proコース」、温熱と低周波で交互に治療する「温治療コース」、30分間低周波で治療する「低周波治療コース」が選べる。温熱低周波治療器 HV-F313¥19,980(編集部調べ)

とても暖かく、伸縮性もあるので肩が上がらなくても脱ぎ着がスムーズ。本当にこのインナーがあってよかった!(48歳・自営業)

とても暖かく、伸縮性もあるので肩が上がらなくても脱ぎ着がスムーズ。本当にこのインナーがあってよかった!(48歳・自営業)

スエード調の柔らかな素材を使用したホットインナー。膨らみがある特殊起毛で、保温性が高く暖かさをキープ。なめらかで心地よい肌ざわり。ネックラインがやや広めなので、あらゆるデザインのトップスと好相性。ホットインナー/ショート丈(グレージュ)¥7,480/ヴィリーナ

▼こちらの記事もチェック!
  • 50代から増える「体の不調」、知っておきたい「健康維持」対策まとめ

    50代から増える「体の不調」、知っておきたい「健康維持」対策まとめ

    加齢や女性ホルモンの減少により、さまざまな不調が現れ始めるアラフィー世代。更年期症状だけではなく、倦怠感や胃の不調、足腰の痛みや不眠など筋力の低下や体の衰えを実感する人も多いのでは?最近話題の50歳以上が対象の予防接種や50代に多い体の不調や健康維持に役立つ情報をさまざまな専門家が詳しく解説します。

  • 50代、避けて通れない「つらい更年期の不調」総まとめ

    50代、避けて通れない「つらい更年期の不調」総まとめ

    閉経を迎えるアラフィー女性は、女性ホルモンの分泌量が大きく変化し、さまざまな不調が起こりがち。アラフィー世代の更年期による体や心の不調って?更年期世代のアラフィーは更年期をどのように乗り切っているの?

What's New

Feature
Ranking
Follow Us