【私のおすすめ!韓国文学】ライター&コラムニストが選ぶ!書き手の激しい気持ちが伝わる3冊

韓国発のエンタメは私たちの生活に浸透してきたが、文学も今、注目の的。韓国文学好きがチョイスした作品を読むとその理由が見えてくる! ライター&コラムニストがおすすめする韓国文学3冊を紹介。

「主人公は51人。でもちゃんと収拾がついたユニークな小説」
ーー書評ライター 細貝さやかさん

『フィフティ・ピープル 新版』 チョン・セラン 斎藤真理子/訳 亜紀書房 ¥2,420

『フィフティ・ピープル 新版』

チョン・セラン 斎藤真理子/訳
亜紀書房 ¥2,420

「51人の話は日常の一端を短く切り取ったものなのに、そこから人生が見えてくる。なんのかかわりもないと思えた人々の人生が交差し、影響しあっていることに気づかされました。最終話を読み終えたあと、“登場人物が多すぎて収拾がつくの!?と疑ってごめんなさい”と著者に平謝りしたくなったくらい。韓国文学には社会の問題点がダイレクトに伝わってくるものが多いけれど、主張をユーモアやウイットでくるんだこういう小説もぜひ知ってもらいたいです」

書評ライター 細貝さやかさん
ほそがい さやか●エクラで書評ページを担当。特に韓国文学をはじめとした外国文学やノンフィクションに精通。
 

「孤独とは、言葉とはと考えさせられました」
ーー書評ライター 山本圭子さん

『ギリシャ語の時間』 ハン・ガン 斎藤真理子/訳 晶文社 ¥1,980

『ギリシャ語の時間』

ハン・ガン 斎藤真理子/訳
晶文社 ¥1,980

「語り手は突然言葉を失った女性と少しずつ視力を失っていく男性。ふたりの現在と過去が折り重なるように語られた切実な物語です。ふたりともなぜこんなにも孤独なのか――それを読み手に考えさせるように、著者は彼らの内面を繊細に描いていきます。読後に感じたのは“言葉は万能ではなく、そもそも人に圧を与えるような性質がある”ということ。光が見えるラストまでじっくり読んでいただきたい、ハン・ガン入門書としてもおすすめの一冊です」

書評ライター 山本圭子さん
やまもと けいこ●エクラで著者インタビューなど本のテーマを担当。最近は韓国文学を読みふける日々。
 

「主人公の素朴な怒りが伝わり号泣しました」
ーーライター・コラムニスト 渥美志保さん

『滞空女  屋根の上のモダンガール』 パク・ソリョン 萩原恵美/訳 三一書房 ¥2,200

『滞空女 屋根の上のモダンガール』

パク・ソリョン 萩原恵美/訳
三一書房 ¥2,200

「韓国の小説には時に書き手の中の“激しい何か”が感じられます。『滞空女』もそういう作品のひとつ。煙突など高い所に登って行う韓国独特のデモの手法を、女性で初めてやった人がモデル。学も金も家柄もない彼女が、自分や仲間たちへの社会の理不尽な仕打ちに対し何かせずにはいられない姿に号泣しました。“なぜ私たちがこんな目に?”という素朴な怒りは当然だと思え、韓国の民主主義の草の根の力を見せつけられた気がしました」

ライター・コラムニスト 渥美志保さん
あつみ しほ●韓国の映画・ドラマ・文学に精通。著書に『大人もハマる!韓国ドラマ 推しの50本』(大月書店)。

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