【私のおすすめ!韓国文学】作家 金原ひとみさんのおすすめ小説

「ここ10年ほどは女性作家が元気」といわれる、韓国の文学界。韓国文学好きがチョイスした作品を読むと、元気の理由が見えてくる! その魅力とは? 作家 金原ひとみさんのおすすめ本とともに韓国文学の魅力を探る。

「ふんわりとしたさわり心地の中にある恐ろしさ、底の知れなさがやみつきに」ーー作家 金原ひとみさん

作家 金原ひとみさん

作家 金原ひとみさん

かねはら ひとみ●’83年、東京都生まれ。’03年『蛇にピアス』(集英社)でデビュー。翌年同作で芥川賞を受賞。『ナチュラルボーンチキン』(河出書房新社)など著書多数。

金原さんが韓国文学に興味をもったのは『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んだのがきっかけ。『もう死んでいる十二人の女たちと』は新聞の書評委員をやっていたときに取り上げた本で「非現実的な設定もあるけれど、リアルな感情から生まれていることがわかる物語ばかりだった」という。「地に足がついていないようでありながら、実際には別の世界に足をつけ、つま先立ちになって現実をのぞき込んでいることで“こんな角度から見るとこんなものがこんなふうに立ち現れてくるのか”と思わせる感じ。トリックアートや3Dのような、酔うのに似た読書体験をさせてもらいました。物語と現実との関係性が、日本の小説とも欧米の小説ともちょっと違う、独特の雰囲気が著者の小説にはあって、ふんわりとしたさわり心地の中にあるおぞましさ、恐ろしさ、底の知れなさがやみつきになります」

韓国文学を読むと「日本とは問題意識や精神性、想像力にとてもよく似ているところとまったく違うところがあるのを実感できる」とその魅力を分析。

「わかるようで意外とわからない、わからないようでよくわかる、という絶妙な近さと遠さを感じられるところが味わい深いと思います」

『もう死んでいる十二人の女たちと』

『もう死んでいる十二人の女たちと』 パク・ソルメ 斎藤真理子/訳 白水社 ¥2,200

パク・ソルメ 斎藤真理子/訳
白水社 ¥2,200
光州事件や福島第一原発事故、女性殺人事件などがモチーフになった、8編からなる短編集。過酷なできごとや暴力が描かれているが、どこか幻想的な味わいも。独特の想像力が駆使された、著者の代表的な作品。

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