桃井かおり、絶好調の70代。スペシャルインタビュー「50代の“エクラな”妹たちへ」

50代半ばで日本の演劇シーンを離れ、アメリカに拠点を移した。そして今私たちに見せてくれるのは、ヴィヴィッドな70代の素顔。こんな生き方、こんな美しさもある。桃井かおりさんが私たちに語るのは……。

「その時その時の美しさって、あるのよ。私なんてシワシワになって、若いころよりカッコよくなってる(笑)」――桃井かおり

桃井かおり

このままの自分じゃイヤだなって思った

潔い人だ。その生き方も、心根も。約20年前、アメリカに拠点を移した。

「このへんで苦労しなきゃダメじゃないかなと思ったの。19歳でデビューして、ずっと好き勝手に仕事させてもらった。でもなんか、このまま〈桃井かおり〉をやるのイヤだなと思いはじめて」

タイミングよく、アメリカ映画『SAYURI』への出演オファーが。迷わずひとりで、飛び込んだ。

「あっちに行ったら言葉が不自由だから、現場で口答えできない、演技をやってみせるしかない。芝居だけで納得させるのが俳優の本来の姿のはずだから、そっち側に一度行かないとね」

1年半かけて撮影を終えたころには、今までとは違う自分がいたという。

「芝居には苦労しなかったし、ハリウッドのシステムをすぐそばで体感できたから、それはよかったの。でもスタジオ近くのアパートでひとり暮らしは、不慣れだし自由がないし。サンタモニカの夕焼け見ながら泣いたよね。つらい環境に耐えている自分に酔っていたかもしれない。今までは毒リンゴを作る役を究めてきたけど、今なら私、白雪姫がやれるわ!って(笑)」

ヒリヒリ、ドキドキ。日本でのキャリアをかなぐり捨てた瞬間から、人生は冒険になった。アメリカでは無名の新人。オーディションに落ちることも。

「でね、私を落とした作品を見て、いうの。『ほーら、私を使わないから、こんなつまらない作品になっちゃったじゃないの!』って(笑)」

苦労話は笑い飛ばす。豪快に。

そして今、出演した海外ドラマ『Too Much(邦題:イカれてる?!)』がNetflixで世界同時配信中。演じているのは、ミステリアスでちょっとクレイジーな日本人の老婦人。「ぴったりでしょ? 私以外いないよ、こういう役が演じられるのは(笑)」

桃井かおり
桃井かおり
桃井かおり

年を食うのはすごく楽しかった!

ご覧のとおり、絶好調の70代だ。

「年をとるのはつらいのよ、特に日本人は旬が好きだから、大人の女に失礼というか。大事にされないよね」

だけど、と、言葉は続くのだ。

「私は、年を食うのはすごく楽しかった。30代のときに『賢いオッパイ』という本を書いたの。10代20代でシャツのボタンを3つ開けるのはこれ見よがしでイヤらしいけど、30代になっておっぱいが下がると、平気で3つ開けられるようになる。年をとれば、それまでとは違う魅力が見つかるものなの」

だから70代の彼女は今、無敵だ。

「私もね、顔なんて若いときよりだいぶシワシワになって、カッコよくなってる。若いときの、ふくらんでいるだけの体じゃなくて、最善の努力をした、オリジナルの自分がそこにいるから。その時その時のビジュアルっていうのが、あるのよ。90歳でゆで卵みたいな肌だったら、変でしょ?(笑)」

年齢に抗(あらが)うことなく、その年齢を武器にして、桃井かおりは生きていく。

「もう私ね、ヴィンテージと呼ばれたい。エクラ女子もね、この先目ざすのは、そこかもしれないよ(笑)」

ブルゾン¥104,500・クラッチバッグ(ハリネズミ)¥148,500・(カナリア)¥159,500/JW アンダーソン 渋谷店(JW アンダーソン) パンツ¥151,800/ウールン商会(マーロ) その他/スタイリスト私物
桃井かおり

桃井かおり

ももい かおり●’51年、東京都生まれ。俳優、歌手、映画監督、プロデューサー、エッセイストなど、各方面で多彩な才能を発揮。世界同時配信中のNetflixドラマ『Too Much(邦題:イカれてる?!)』に主人公の母親役で出演。
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