富士山というと、このお皿のようになだらかな末広がりのイメージですが、『聖徳太子絵伝』などの古いやまと絵では、傾斜がきつくてカヌレ風。絵師に富士山の視覚体験がないのかなと思われますが、何だかぬぼーっとして、それはそれで得体の知れない神威を感じさせます。
「新古典主義」と称される近代の画家・小林古径も、おそらくそうした古画の描写に学んだのでしょう(2枚目、『生誕110年記念 小林古径展』図録より)。ただ、渡欧経験のある古径さんのこと、ひょっとしたらフランス滞在中にカヌレを見ていて……、なんてことはないか(´-`)。
(編集B)