日々の疲労感にお悩みを感じているアラフィー女性も多いのでは? 実はその原因は脳にあるかも! 脳の老化にもつながるという“脳疲労”をためないアドバイスを、専門医がお教えします。
「体」が疲れているのではなく、実は脳が疲れていた!
「なんとなく体がだるい」「ぼーっとする」というような慢性的な疲労感に悩むのが現代人。
「焼き肉で疲労回復しよう!」などと思いがち。でも、「それは大間違い!」と主張するのが、“脳疲労”のエキスパート、梶本修身先生。
「現代人の疲労は、筋肉などの体組織の疲れではなく、脳の疲れが原因です。多少の運動なら筋肉自体が疲れるということはなく、運動時に脈拍や体温の安定を保とうと働く、脳の自律神経に負荷がかかっているのです。
また、同じ作業をずっと続けるなどして脳の特定の部位を使い続けたりする場合も、同様。そのとき、脳内で活性酸素が発生し、脳細胞の酸化がすすみます。この状態を、“脳疲労”と呼びます」
そういう状態を、私たちは体の疲れだと誤解しているということ?
「そのとおり。ですから、疲れているのは脳なのに、焼き肉で疲労回復というのはナンセンス。効果にも科学的根拠はありません。でも、人はスタミナがついて回復したように思い込み、本来の疲れに気づかない。それが人間の脳の厄介なところでもあるんですね」
✔今すぐcheck! 脳疲労度チェックリスト
□もっと休んでいたいと思うことがある
□ 日中、眠くてぼーっとすることがある
□ なかなか物事を始められない
□ 仕事でもなんでも、途中で気力がなくなる
□ 筋肉の衰えを感じる
□ 最近、集中力が低下した気がする
□ 話すときにうまく考えをまとめられない
□ 記憶力が落ちてきたように感じる
□ 何事にも興味がわかなくなってきた気がする
ひとつでも思い当たる人は「要注意」というシビアなチェックリスト。現代人がなんとなく引きずっている疲労感は、実は筋肉や末梢神経などの末端ではなく、「脳」の自律神経の疲れが原因なのだそう。
加齢で疲れやすくなるのは自律神経にも一因が
脳疲労との関係で見逃せないのは、加齢による自律神経の機能低下。
「自律神経のパフォーマンスは、年齢が進むと男女とも確実に下がります(下グラフ)。それなのに、若いころのペースでがんばるのは脳疲労をためるもと。また、女性の場合は更年期障害の影響もあります。
交感神経と副交感神経のバランスがくずれ、集中したいときに集中できなかったり、リラックスしたいときにリラックスできなくなったりする、自律神経失調症が起きやすい。」
加齢による自律神経の機能低下は、実は筋肉量の低下よりも大幅なもの。若いころのような生活・行動が徐々につらくなるのはこのせいで、無理を続けると、脳疲労がたまることに。
一度低下した自律神経機能の回復はむずかしいので、日々質のよい睡眠を心がけ、疲労回復に努めよう。
自律神経に優しい生活で脳疲労をためない!
睡眠時も注意が必要。
「更年期には女性ホルモン分泌量の低下によってのどの筋肉がゆるみがちになり、女性もいびきをかきやすくなります。女性のいびきは男性に比べれば音は小さめ。しかし女性は肺活量が少なく、男性よりも脳の酸欠状態になりやすいのです」
ただでさえ自律神経のキャパが減っているのに、夜も眠れなくなるなんて……。
「日中の活動で酸化した脳細胞を修復する唯一の方法は、その日の夜にしっかり睡眠をとることです。脳疲労が“疲れ”のうちは睡眠で回復できますが、それが修復不可能な“サビ”になるのが老化。脳が老化すると脳梗塞や心疾患などの生活習慣病発症のリスクにつながりますから、日々の睡眠の質を高めて、しっかり脳を休めましょう」
疲れたときの定番行為が、脳疲労の上乗せに?
■精がつく食べ物… 消化が悪く、自律神経へ負担大。
■デスクワーク後の激しい運動… 自律神経フル稼働。
■温泉旅… 旅疲れやのぼせで脳疲労が起こるケースも。
「元気になるはず」「気分転換」というマスキングによって、疲労を自覚しないのがかえって怖いので、注意。では、そもそもの日中の脳疲労の蓄積を少なくする方法はある?
「まずは脳からのサインをしっかり受け止めてください。疲れの段階として、“飽きる”“パフォーマンスが下がる”“眠くなる”というのがあります。飽きを感じたら、休憩したり、作業内容を変えて、使う脳の部位を変えてあげましょう。
また、加齢によって自律神経が機能低下しているのは事実ですから、エクラ世代のかたは、若いころのようにがんばりすぎず、要領よく“手抜き”することも大切です。これまでの経験を生かして、うまく力の配分ができるようになるのが理想ですね。
また、抗酸化物質“イミダペプチド”を積極的にとるようにしましょう。」
24時間フル稼働の自律神経を疲労から守るべし!
意識的に体を動かすときに使われる体性神経と違って、内臓器官の機能維持にかかわるのが自律神経。体が安定した状態にあるよう、24時間目まぐるしく気くばりしている。
「自律神経は交感神経と副交感神経に分かれ、活動時には交感神経優位、休息時には副交感神経優位というように、バランスをとりながら働いています。交感神経優位から副交感神経優位になるほうが時間がかかるため、睡眠前には時間をかけて副交感神経が優位になるよう心がけましょう」。12月にしがちな暴飲暴食も自律神経にはNG!
東京疲労・睡眠クリニック院長
梶本修身先生
大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授、「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」総括責任者。疲労回復の大切さを説く『すべての疲労は脳が原因』など著書多数。