天文学的な回数で「巨人」「巨匠」と形容されてきたお二人ですが、剛健勇壮、威風堂々、強靭なメンタルといったイメージに気圧され、惰弱な私は昔から敬遠しておりました。
がしかし。顔真卿の若書き『王琳墓誌』に人間味を感じたように、最近初めて聴いたリヒテルによるモーツァルトのピアノソナタ第4番(kv282)が、もうこれしかない!ってくらいに好みだったことにビックリ…。背筋は伸びているけれどあたたかく愛らしく、しかも玄妙です。何より弾かれているピアノのほうも心地よさそう。
平均律以外にも寄る辺はあったのかと悔い改めて、購入してみたのが左のボックスです。躊躇なくCDをポチッてしまう20世紀原人、届いてビックリの33枚組でした。ひい。。
怯みはしたものの、仏教的には観音三十三応現身、須弥山の頂上の三十三天にちなむナイスな数字、がんばりましょうぞ。中を開けて収録曲のリストに目を通し、リヒテルのレパートリーと見比べる…。うーむ、グリーグの『抒情小曲集』やチャイコフスキーの『四季』などの小品系がない。モーツァルトの緩徐楽章の弾きぶりからして、これらは別途購入する価値ありと思います。
(編集B)