【春の京都グルメ】花紀行へといざなう和菓子・「亀屋良長」のきんとん

京都で人気の和菓子の中でも最もシンプルにして表情豊かな“きんとん”。微妙な色やあん衣の陰影で無限の表情を見せ、春の花と化す。この季節にしかない風情を目と舌で味わいたい。

亀屋良長

春の京都は、桜に始まり、花のたよりとともに一気に華やぐ。色と形、銘でさまざまな自然や節気を表現する和菓子も、春は優雅、華麗、清新な趣へとうつろう。

 享和3(1803)年に京菓子司「亀屋良安」より暖簾(のれん)分けされ、創業した『亀屋良長』の菓子もいつもに増してはんなりとして華やか。“きんとん”ひとつとっても色合わせやそぼろあんの扱いで、春のさまざまな表情を多彩に表現する。いずれも貴重な備中産白小豆と手め)を用いた白あんを淡い色に染め、そぼろはとおし目を変えて大小をつけている。淡い色使いに、優しい甘味、ふんわりとした食感で桜や山つつじ、菜種などの花々や春景色を表わし、銘で春のうつろい、花紀行へといざなう。味わえばさらに心和み、目も舌も心豊かにしてくれる。

春のきんとん

3月後半から5月中旬にかけて作られる春のきんとん。手前から奥に向かって、川辺に咲く桜を表わした「らんまん」(一番手前)、蝶が舞う愛らしい「菜種」(手前左)、春の野の情景をかたちにした「野遊び」(中央中)、細かいそぼろ製の「春うらら」(中央右)、桜が終わると出はじめる「山つつじ」(中央左)、母の日にちなんだ「花束」(奥右)、風薫る五月の菓子「薫風」(一番奥)。

家伝の銘菓から洋菓子素材を使った現代的な和菓子まで扱う老舗

家伝の銘菓から洋菓子素材を使った現代的な和菓子まで扱う老舗。喫茶スペースを併設し、京菓子作りの体験教室も開催。

●DATA

京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17の19

☎075・221・2005 9:00~18:00

無休(1/1〜2を除く)

※ご紹介のきんとんは予約がベター。「花束」¥400、それ以外はすべて¥370

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