【2020春の京都まとめ】来年への楽しみ膨らむ!美しい花々と旬の味覚
元号が変わって、京都が初めて迎える特別な春。古来愛されてきた花々や旬の味、魅力あふれる新しいホテル、おすすめのスポットなど、大人のためのアドレスを厳選。なかなか旅行に行けない今だからこそ、目で見て旅気分を楽しんで。
①雅に味わう「京都の春の花」
古人が愛でたのと同じ場所で花々を観賞できるのが京都の魅力。晩春までの、心浮き立つ花の名所をご紹介!
糸桜(京都御苑)
京都御苑内、近衛邸跡地の春の眺めはとびきりのもの。江戸時代末の孝明天皇も「目が離せない!」と歌に詠んだ枝垂れ桜の名所で、幾本もの大樹が開花すると、薄桃色の霞がかかったような眼福の景色が広がる。早起きして朝一番に訪れるのもいい。例年の開花は3月下旬。ほかに中立売御門近くの「車返桜」、出水(でみず)の枝垂れ桜も必見だ。
写真/環境省京都御苑管理事務所
●DATA
京都市上京区京都御苑
☎075・211・6348(京都御苑管理事務所)
苑内拝観自由
西行桜(勝持寺)
桜をこよなく愛し、「願はくは花の下にて春死なむ~」と詠んだ西行法師。勝持寺は、西行が出家したと伝わる洛西・大原野の古刹だ。「花の寺」とも呼ばれるのは、山麓に段状に開かれた境内に桜の木が多いから。なかでも、鐘楼の隣のひときわ気品ある枝垂れ桜が「西行桜」として親しまれている。見ごろは例年4月上旬。独特なポーズのご本尊・薬師如来像も拝んでおきたい。
●DATA
京都市西京区大原野南春日町1194
☎075・331・0601
9:30〜16:30(16:00最終受付)
拝観料/¥400
御室桜(仁和寺)
門跡寺院の中でも格式高い仁和寺の春は、五重塔と白い御室桜の共演が魅力。市内では遅めの4月上旬〜中旬の開花で、満開時には、中門をくぐった左手が雲霞に覆われるように美しい。御室桜は樹高が低く、地面に巨大なブーケが並ぶような姿が独特で、開花中はその間の通路を歩くことができる。’20年は「御室花まつり」として催行。令和初の花見体験に、ぜひ!
●DATA
京都市右京区御室大内33
☎075・461・1155
[御室花まつり] 3/20~5/6 8:30〜17:30(17:00最終受付)
期間中の入山料/大人¥500(御殿、霊宝館は料金別途。9:00~17:00[16:30最終受付])
山吹(松尾大社)
京の都の西方守護の社であり、醸造のご神徳でたたえられる松尾大社は、古くからの山吹の名所。開花期間中は「山吹まつり」(4/10 〜5/5)としてにぎわう。シーズンに楼門をくぐると、一ノ井川沿いに咲き乱れる黄金色の花が迎えてくれる。山吹を「家にありたき」とした吉田兼好は一重咲き派、「大きにてよきもの」と評した清少納言は八重咲き派だったろうか。境内ではいずれの花も見ることができ、盛りは例年4月中旬から。
●DATA
京都市西京区嵐山宮町3
☎075・871・5016
境内拝観自由(庭園・神像館は料金別途。9:30〜16:00、日曜、祝日は〜16:30)
つつじ(三室戸寺)
本尊は千手観世音菩薩(秘仏)で、西国三十三所第十番札所となっている宇治の古刹。春は石楠花とつつじ、初夏は紫陽花と、境内の谷に造られた「与楽園」の花々を目当てに訪れる人も多い。つつじの見ごろはGW。敷地は広大で、満開を迎えたころには別天地の趣が漂うほど。石楠花はつつじに先駆けて花開く。境内の鐘楼のわきには、源氏物語最後のヒロインに題をとった謡曲『浮舟』の碑があり、そこにも春の花が色どりを添える。
●DATA
宇治市莵道滋賀谷21
☎0774・21・2067
8:30〜16:00(4/1〜10/31は〜16:30。最終受付は閉門30分前)
拝観料/つつじ園(4/18〜5/10)・紫陽花園(6/1〜7/5)の開園中¥800 ※通常期¥500
杜若(大田神社)
大田神社は、上賀茂神社から徒歩10分ほどの距離にある境外摂社。「天の岩戸伝説」で知られる天鈿女命(あめのうずめのみこと)を祀り、芸事上達を願う人々から信仰を集める。「大田の沢」を埋めんばかりの杜若(かきつばた)は平安時代から名高く、藤原定家の父・俊成が「神山やおほたの沢の杜若ふかきたのみは色にみゆらむ」と詠んだ。現在は天然記念物に指定されており、例年5月上旬に咲きはじめ、中旬が盛り。「葵祭」とセットで覚えておきたい、京の風物詩だ。
●DATA
京都市北区上賀茂本山340
☎075・781・0907
境内拝観自由(※杜若開花時期は育成協力志納金¥300。社務所9:30〜16:30)
②魅力あふれる「京都の最旬ホテル」
旅の楽しみのひとつ、宿選び。魅力あふれる新しいホテルを厳選してお届けします。
パーク ハイアット 京都
京都の魅力とハイアットブランドのエレガンスを融合させた、今、京都で最も旬なラグジュアリーホテル。東山三十六峰を背にする高台に4つの低層棟が重なるように立ち、その間に配した庭と一体となり京の風情を漂わせる。
部屋に入った瞬間に目に飛び込んでくるのは、八坂の塔を中景にする京都市街。ぬくもりのあるタモ材と色みを極力抑えたインテリアの中でこの景趣に向き合え、心や体を休めることができる。さらなる絶景を求めるならば、ぜひバー「琥珀」へ。春にはオリジナルジンをベースにする桜色のカクテルが用意され、グラスを傾けながら見る夕景は圧巻。春の風趣に間近で触れたければ敷地内にある料亭「山荘 京大和」の庭もおすすめ。3月後半からさまざまな花木が一気に芽吹く。どこにも行かず、ここにいるだけで京の静寂、都の春を体感できそうだ。
東山のくつろぎのひとときを過ごせる、68㎡の「ビューデラックスツイン」。インテリアデザインは世界的デザイナー、トニー・チーが担当。“京都の静謐”をコンセプトにラグジュアリーさが表現されている。
「山荘 京大和」の茶室や庭、シグネチャーダイニング「八坂」からも瓦屋根越しの八坂の塔を一望。ホテル内をめぐりながら京都の四季を五感で体感できる。
障子や屋根の庇(ひさし)、瓦屋根などの和建築の要素とモダンにして控えめなデザインの家具を調和させた静寂の空間。
自然の素材、職人が手がけた調度品をバスルームにも置き、さりげなく京都らしさやぬくもりを創出
絶景とともに非日常の時へといざなうバー「琥珀」。
限定カクテル「春霞」¥2,000。京都産クラフトジン「季の実」とのコラボレーションで生まれたオリジナルジン「青龍」とハーブティーがベース。
二寧坂からエントランスを経てホテル内に入ると広がりを見せるロビーラウンジ「ザ リビングルーム」。
アートや本、暖炉を備えたゲストハウスのような空間の中、朝から晩まで食事やドリンクを提供
創業143年の「大和屋」が昭和24年にこの地に開業した料亭「山荘 京大和」。幕末の志士の活躍の舞台となった「翠紅館」や茶室、庭園からなる。
【DATA】
京都市東山区高台寺桝屋町360
☎075・531・1234
全70室(うちスイート9室) ¥110,000前後~(1室2名利用の1泊1室料金、朝食つき) http://www.parkhyattkyoto.jp/
バー「琥珀」は宿泊者およびシグネチャーレストラン「八坂」の利用客のみ入店可能。
アマン京都
京都・鷹峯の山あいにオープンした日本で3軒目の「アマン京都」。約2万4000㎡の広大な敷地や自然林に誰もが圧倒されるが、早くも注目を集めているのが「アマン京都 スパ」のトリートメント。さまざまなメニューが用意されている中、“アマン京都 シグネチャー ジャーニー”は京都限定。温泉につかったあと、金箔、酒粕、米ぬか、日本の海塩などを使って足浴を行い、トリートメントが始まる。高い技術をもつセラピストの施術と季節ごとに替わるオイルを駆使し、春は桜や緑茶、
マンネンロウ(ローズマリー)の香りを閉じ込めたシーズンオイルで身心を浄化し、春の趣向で深いリラクゼーションへと導く。
客室や料理でも古都の春を楽しめ、新緑に包まれた和モダン空間、和菓子に見立てたアフタヌーンティーなど、楽しみはつきない。
3つのトリートメントルームを備えるスパ。自然の景観を楽しめる露天風呂と内湯の天然温泉を併設
足浴には松井酒造の大吟醸の酒粕や24K純金箔などを用い、春は桜も使用。
日本旅館に受け継がれるお茶のセットもモダンに昇華。
すべての照明や家具はアマン京都オリジナルの特注品。
自然豊かで広大な森を美しくデザインした安息の地。
苔と水が生む日本独特の自然美や造形に出会える。
ゆったりとした空間の中、非日常へといざなう檜(ひのき)風呂。
畳と床の間で構成された和モダンな客室は全26室。
壁一面の窓の向こうは四季折々の木々。春は緑一色に。
アフタヌーンティーも春限定のメニューに。宿泊ゲスト¥5,200、外来ゲスト¥7,500(シャンパンつき) ※各税・サ別
部屋のどこにいてもミニマルな造りと景観に癒される。
【DATA】
京都市北区大北山鷲峯町1
☎075・496・1333
全26室(うちパビリオン棟2棟) ¥111,000~、パビリオン棟¥550,000 ~(ともに1室2名利用の1泊1室料金)
アマン・スパのトリートメントは宿泊者のみ。要予約
アマン京都シグネチャー ジャーニー 60分 ¥26,000~
③わざわざ食べに行きたい「京都グルメ」
【室町和久傳】
古い町家のたたずまいにモダンな趣を取り入れた空間、野趣の味わいに独自の洗練を加えた料理が人気の料亭「和久傳」。春の名物のひとつ、牛肉の花山椒鍋は丹波地方の鶏鍋をヒントにアレンジしたのが始まり。肉のうま味や甘味をピリッとした香りの花山椒が引き立て、スープも飲み干せる絶妙の味かげんだ。食感のよい雄花の花山椒、口に含むとすべるように溶けだす京都産黒毛和牛の平井牛、かつおだしとテールスープを合わせただしの三味がひとつとなり、春の野趣味を奏でる。
もうひとつの名物が筍の炭火焼き。京都北西部の大原野産を用い、料理長の松本進也さんが毎朝農家に出向いて吟味し、厳選している。「アクがないのでぬかを使わずにゆがき、焼いて独特の甘味を引き出し、軟らかさも味わってもらえます」。ピークには1㎏超えの大筍が登場し、春の滋味を堪能できる。
牛肉は、フィレは塩で、サーロインはたっぷりのだしで味わう。
丸のまま30分ほど焼き上げる筍。
割烹の自在さを取り入れた料理をライブ感たっぷりに提供する松本進也料理長。
花山椒は口当たりのよい雄花を使い、鍋は4~5月に楽しめる。
皮をむいて焼き色をつけ、しょうゆの漬け焼きにした筍。とうもろこしのように甘くて香ばしく、天ぷらやごはんなども味わえる。
堺町通沿いにある町家を改装したお店。
調理風景を楽しめるカウンターや庭を借景にするテーブル個室などがあり、茶菓席やおもたせを販売する「紫野和久傳堺町店」を併設。
●DATA
京都市中京区堺町通御池下ル東側
☎075・223・3200
11:30~13:30(入店)、17:30~20:00(入店)
㊡火曜 昼¥11,000、夜¥22,000~、蟹のコース(11月~3月)¥44,000(すべて税・サ込) 要予約
撮影の料理は夜の¥22,000~のコースでいただけ、昼も同額のコースで楽しめる
【美山荘】
町中から北へ30㎞。山深い里・花背に百二十余年続く「美山荘」は京都の奥座敷として知られる料理旅館。一年を通して野山や川の幸を楽しめ、春は本領発揮ともいえる山菜や香草を存分に味わえる。自家山菜農園や近郊の農家で摘んだものを合わせると50~60種類がそろい、「菜籠」は春の野山をそのまま表現したかのような美しさ。ふきのとう、うるい、タラの芽、のびるなどをていねいに下処理して作ったあえ物や酢漬け、田楽などを盛り込み、春独特の香りと苦味がひと籠に凝縮される。
筍は1月から使いはじめ、4月、5月がピークに。「大きさも食感も出はじめと終わりでは違うので、月ごとに調理法を変えています。ぐんと大きくなる4月は焼いて食感を楽しんでもらいます」とご主人の中東久人さん。焼きたての筍に唐墨をのせた、贅沢な仕立てに、思わず歓声が上がる。
¥25,000のコースから。ふきのとう白あえ、うるい甘酢ゼリー寄せ、タラの芽田楽、のびる甘酢漬けなどを盛った「菜籠」。
山野草を知りつくす、中東さん。
白筍のたれ焼き・唐墨焼き。
里山の四季のうつろいを料理やしつらいで描き出す料理旅館。
筍は洛西エリアの向日市・物集女産。皮つきのまま焼いた筍はえぐみがなく、ほのかな甘味が感じられる。筍料理は月によって内容が変わる。
●DATA
京都市左京区花背原地町大悲山375
☎075・746・0231 12:00~19:00(入店)
㊡毎月2日間不定休、12/26〜1/1
昼夜とも食事だけの利用ができ、¥15,000~ 宿泊¥45,000~(税・サ別) 要予約
④美しい花とともに楽しむ「京都スイーツ」
大極殿六角店 甘味処 栖園
季節の気配を感じながら月替わりの風味が楽しめる、美しくなめらかな寒天製の「琥珀流し」(¥750)。
3月はみかんゼリーを散らした甘酒、4月は桜の塩漬けと粒あん入りに。
●DATA
京都市中京区六角通高倉東入南側
☎075・221・3311
10:00~17:00(物販は9:30~18:30)
㊡水曜
京都中心街のビルの谷間、六角堂に咲く枝垂れ桜。人を包み込むように枝を広げる桜は圧倒的な存在感。
茶菓(さか) 円山
はんなりとした手作りの甘味や軽食を提供し、春は桜にちなんだ心和む一菓が楽しめる。「苺汁粉」(¥1,400)はあまおうのさわやかな後味、春限定の「春霞」(¥1,000)は見た目も味にも雅趣が漂う。
●DATA
京都市東山区円山公園内
☎075・551・3707
11:00~19:00
㊡火曜
京都を代表する花見の名所。桜守の佐野藤右衛門さんゆかりの枝垂れ桜を見るなら、早朝がおすすめ。
フルーツ&カフェ ホソカワ
昭和23年創業のフルーツショップ。春限定の苺パフェ(¥2,000)はあまおう1パック分、ミックスフルーツサンド(¥1,000)は5種類のフルーツを使用。
●DATA
京都市左京区下鴨東本町8
☎075・781・1733
10:00~18:00(カフェ17:00LO)
㊡水曜
京都人がこよなく愛する散策路。川の東岸に約70本の紅枝垂れ桜が咲く「半木(なからぎ)の道」は春風にそよぐ桜色のカーテンのよう。
亀屋良長
春の京都は、桜に始まり、花のたよりとともに一気に華やぐ。色と形、銘でさまざまな自然や節気を表現する和菓子も、春は優雅、華麗、清新な趣へとうつろう。
享和3(1803)年に京菓子司「亀屋良安」より暖簾(のれん)分けされ、創業した『亀屋良長』の菓子もいつもに増してはんなりとして華やか。“きんとん”ひとつとっても色合わせやそぼろあんの扱いで、春のさまざまな表情を多彩に表現する。いずれも貴重な備中産白小豆と手亡豆(てぼうまめ)を用いた白あんを淡い色に染め、そぼろはとおし目を変えて大小をつけている。淡い色使いに、優しい甘味、ふんわりとした食感で桜や山つつじ、菜種などの花々や春景色を表わし、銘で春のうつろい、花紀行へといざなう。味わえばさらに心和み、目も舌も心豊かにしてくれる。
3月後半から5月中旬にかけて作られる春のきんとん。手前から奥に向かって、川辺に咲く桜を表わした「らんまん」(一番手前)、蝶が舞う愛らしい「菜種」(手前左)、春の野の情景をかたちにした「野遊び」(中央中)、細かいそぼろ製の「春うらら」(中央右)、桜が終わると出はじめる「山つつじ」(中央左)、母の日にちなんだ「花束」(奥右)、風薫る五月の菓子「薫風」(一番奥)。
家伝の銘菓から洋菓子素材を使った現代的な和菓子まで扱う老舗。喫茶スペースを併設し、京菓子作りの体験教室も開催。
●DATA
京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17の19
☎075・221・2005 9:00~18:00
無休(1/1〜2を除く)
※ご紹介のきんとんは予約がベター。「花束」¥400、それ以外はすべて¥370
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