【50代の目の不調】目の不調やトラブルが増えるのはどうして?目を悪くしないためにできることは?

「小さな文字が見えにくい」「目がショボショボ」「疲れ目がひどい」など、目の不調やトラブルが増えるアラフィー世代。加齢のせいとあきらめるのはまだ早い。日々のちょっとしたケアやトレーニングで、現状維持はもちろん、機能を回復させることも可能。なぜ、アラフィー世代になると目の不調が増えるのか?眼科医の平松先生に教えていただきました。

 

教えてくれたのは…

眼科医 平松 類先生

眼科医 平松 類先生

二本松眼科病院(東京・江戸川区)に勤務。医者任せではない、患者自身が実践できる目の病気の予防法や緩和法についてわかりやすく伝える。テレビなどのメディア出演のほか、目の健康についての著書も多数。

 

①アラフィー世代の視力、こんなに不便です!

テレビを見ていると目が乾いて涙が出てくる
「じーっとテレビを見ていると、目が乾いて涙が出てきます。別に悲しい内容とかじゃないのに……」
スマホの字が読みづらく、気づくと鼻先にメガネが
「スマホの字が読みづらく、気づくと鼻先にメガネが。おばあちゃんみたいで年を感じます……」
薄暗い室内で文字を読もうとするとかすんでしまう
「薄暗いレストランでメニューを見ようとするもかすんでしまって、ほとんどわからない……」
老眼鏡をはずしたりかけたり、忙しくて疲れる
「仕事中はコンタクト。手元のものを見るときは老眼鏡。はずしたりかけたり、忙しくて疲れます……」

 目の筋力の低下とドライアイがアラフィーの不調の原因です 

なぜアラフィーになると目の不調が増えるのか? その主な理由は「ピント調節機能の衰え」と「涙の質の低下」の2つだそう。

「私たちの目は遠くよりも近くを見るときにより力を必要とします。そのため、目のピント調節機能が衰えると手元が見えづらくなるのです。加齢がひとつの要因ですが、それだけではありません。現代人はパソコンやスマートフォンなどで目を酷使しているため、加齢による自然な衰えに拍車をかけているともいえます」

QOLをも左右する目の不調はセルフケアで改善できる!

もうひとつの『涙の質の低下』は、いわゆるドライアイのこと。「肌と同じで目も加齢によって乾燥しやすくなりますが、単に水分が減るということではありません。涙は本来水と油が混ざっていますが、油が不足してくると涙そのものは出ているのに目が乾く、ゴロゴロする、疲れやすいなどの症状が出てきます。油が減るのは『目の冷え症』とでも呼ぶべき状態で、目の血行不良によってまぶたにある油が冷えて固まり、涙に溶け込まなくなってしまっているのです。

目は一度悪くなったらよくなることはない、と思っている人も多いかもしれませんが、目の筋肉をしっかり休ませ、血流をよくして涙の質を改善してあげれば、必ずよくなります。目の不調は見え方だけにとどまらず、頭痛や肩コリ、疲労、イライラなどその他の部分にも波及してしまうもの。程度が軽いうちに対策を始めれば、効果も出やすく、クリアな視界も戻りやすい。さっそく今日から始めてみましょう」

〈正常な目〉

正常な目
毛様体筋が収縮することでレンズである水晶体の厚さを調節。目の奥にある網膜の中心で像を結ぶことができ、ものがはっきり見える。

〈老眼の目〉

老眼の目
加齢で毛様体筋の働きが衰えたり水晶体が硬くなると、網膜の奥で焦点が合わない。そのためボンヤリとしか見えなくなってしまう。

 

②目にいい「10のこと」始めよう!

目の不調やトラブルが増えるアラフィー世代。でも、加齢のせいと諦めるのはまだ早い! まずは、生活の中にちょっとした工夫や、手軽なストレッチを取り入れてみて。

 できること ① 

「遠近ストレッチ」

近くを見続けて凝ってしまった目の筋肉をほぐす!

「水晶体の両側についている毛様体筋が収縮し、水晶体の厚さを変化させることで目はピントを合わせます。この機能が落ちて水晶体の厚さを変化させづらくなるのが老眼。手元ばかり見ていて毛様体筋が緊張した状態が続くと、疲労によってコリや疲れが出てきて、毛様体筋の働きが落ちます。予防するには、遠くと近くを交互に見る目のストレッチが効果的。目の血流もよくなって涙の質も向上」

〈近くを見るとき〉

近くを見るとき

〈遠くを見るとき〉

遠くを見るとき
遠く(②)と近く(①)を10秒ずつ交互に見るのを10回繰り返す。近くの目標物は指を目の前30㎝に立て、遠くの目標物は2m以上離れた場所にあるものにする。それぞれを見るとき、ハッキリ見ようとせず、目をリラックスさせるつもりでボーッと眺めるのがポイント。仕事の合間など、1時間に1回できればベスト!
目をリラックスさせるつもりで

 できること ② 

「目にいい呼吸」

細く長い呼吸の繰り返しでリラックスして目を休ませる

「まぶたの開閉やピント調節機能を担うのは自律神経。スマホやパソコンで常にブルーライトを見ていたり、ストレスがたまっていると交感神経優位の緊張した状態が続き、自律神経の働きが乱れて目の機能にも影響を与えます。深~い呼吸で副交感神経優位の状態にし、自律神経のバランスを整えましょう」

目の前にあるろうそくの炎を消すイメージで
3秒かけて鼻からゆっくり息を吸い、6秒かけて口からゆっくり吐き出す。このとき、目の前にあるろうそくの炎を消すイメージで、口をすぼめて腹式呼吸で細く長く吐き出すのがポイント。目を開けたままだと光が入ってきて交感神経が刺激されてしまうので、目をつむって行う。

 できること ③ 

「100均の老眼鏡でリラックス」

ボーッと見ることで目の筋肉の緊張を解く

「目に入ってくるものをしっかり見ようとすると目が疲れます。そこで、あえて度の合わない老眼鏡をかけ、2mほど先を見ましょう。度が合わないので目が見ることをあきらめ、毛様体筋がリラックスします。100円ショップで+プラス2程度の老眼鏡を買って使うのがおすすめ。一日1回、5分程度でOKです」

ボーッと見ることで目の筋肉の緊張を解く

 できること ④ 

「目の油出しマッサージ」

まぶたにある分泌腺から油を出し「質のいい涙」にする

「ドライアイもエクラ世代の代表的な悩みですが、多くの場合は涙の量が少ないのではなく、涙の油の不足によるもの。油が少ないため目にとどまることができず、また蒸発しやすいために目が乾いたりまぶしく感じたりするのです。油はまぶたのふちにあるマイボーム腺から分泌されるので、マッサージで血流をよくして油の分泌を促しましょう」

質のいい涙に
マイボーム腺はまぶたの縦方向に走っているので、それに沿ってまぶたの表面を上→下、下→上に10回なでる。次に、目のまわりの血流に沿ってまぶたの内側→外側に10回なでる。仕上げに、上下のまぶたを軽く数回つまむ。強くマッサージするとまぶたの下垂の原因になるので、あくまでソフトに。
上下のまぶたを軽く数回つまむ

 できること ⑤ 

「ギュッとまばたき」

道具がなくても簡単にできる!まばたきの圧で油の分泌を促進

「強くまばたきをすると、その圧でマイボーム腺から油が出るのを促すことができます。また、スマホやパソコンの画面を見ていると自然とまばたきの回数が減り、ドライアイなどのトラブルのもとに。それを補うためにも、意識的にギュッと強いまばたきをしましょう。疲れ目による肩コリや頭痛の解消にも◎」

ギュッとまばたき

 できること ⑥ 

「目を温める」

目のまわりを温めて血流UP! リラックス効果も

「目が冷えて血流が悪いと、油が固まってしまい分泌がうまくいかず、さまざまな目のトラブルのもとに。目を休ませるついでに温めてあげると、老廃物が流されると同時に油の分泌が促されて『いい涙』に。40℃ほどに温めたホットタオルを当てるのも効果的ですが、自分の手を使っても簡単にできますよ」

目のまわりを温めて血流UP
両手のひらを10秒間こすり合わせて温める。目をつむり、温まった手のひらで目を覆ってしばらくキープ。このとき、直接目に当たらないように手はカップの形にする。優しい熱でじんわりほぐれるのを感じて。

 できること ⑦ 

「ダメージにいい食べ物」

目にいいスペシャルな栄養素で新陳代謝を助けてダメージを除去

「私たちの体は毎日の食事からとる栄養素でできていますが、目もしかり。目の健康維持にはバランスのいい食事が基本ですが、なかでも積極的にとりたい栄養素はビタミンA、C、Eとルテイン。これらは目の細胞膜を修復したり、酸化物質を除去するなどの働きがあり、目のアンチエイジングに不可欠です」

ビタミンC

ビタミンC

強い抗酸化作用をもつビタミンの代表で、目のダメージ回復や老化防止に期待大。多く含む果物や緑黄色野菜を積極的にとって。

ビタミンE

ビタミンE

強い抗酸化作用で体内の活性酸素を除去。体内の細胞膜をダメージから守る。上記のほかにアボカド、ひまわり油などにも。

ルテイン

ルテイン

植物性色素のカロテノイドの一種で、抗酸化作用が高く目に優先的に働く性質が。ほうれん草をはじめ緑黄色野菜に多く含まれる。

ビタミンA

ビタミンA

網膜の細胞をつくる働きがあり、ビタミンの中でも目の機能維持に特に重要。含有量が多いのはレバー類、うなぎやあなご、銀ダラなど。

 できること ⑧ 

「脳を鍛えて見る力アップ」

目で見たものを情報処理する脳の「視覚野」を刺激する!

「ものを見るというのは、目から受け取った情報を視神経が大脳に伝え、それを情報処理してまた目にフィードバックするという一連の流れ。つまり、目と同時に脳の機能がとても重要なのです。目を動かしながら脳を鍛えるトレーニングをすることで、視力が上がり老眼の予防や回復も見込めます。なかでも『ガボール・アイ』という縞模様を探すトレーニングは、視力が回復したという研究結果が出ている信頼できるトレーニング。ゲーム感覚で楽しくできて時間もかからないので、一日何回かやってみてください」

話題の「ガボール・アイ」にトライ

話題の「ガボール・アイ」
上の図のひとつひとつの縞模様が「ガボール・パッチ」と呼ばれるもの。まず、一番右上のガボール・パッチと同じものをもれなく、この中から見つけていこう。次にその隣(左でも下でもOK)と同じものを見つけ、またその隣と同じものを……と繰り返していき、トータル3分間程度続ける。テストではないので間違えても気にせずトライ!
1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる
『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』
脳を刺激する視力回復法「ガボール・アイ」の解説と問題を掲載。
『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』SBクリエイティブ 本体¥1,200+税

 できること ⑨ 

「寝る前は間接照明」

副交感神経優位の状態をつくり自律神経のバランスを整える

「一見、目に悪そうな間接照明ですが、自律神経を整えて眠りの質を上げるのに効果的。寝る際に部屋をいきなり真っ暗にしたり、ベッドの中で寝落ち寸前までスマホを見ていると、興奮状態が鎮まらず睡眠の質が落ちます。目に入る光を徐々に減らして自然な入眠モードになるよう、寝る少し前から間接照明に」

寝る前は間接照明

 できること ⑩ 

「目のきわシャンプー」

油の分泌を妨げないようアイメイクは徹底的にオフ!

「マイボーム腺は、まぶたの粘膜ギリギリのところにあります。クレンジングをしてもアイメイクが落ちきっていない人も多く、まつ毛に炎症を起こしたり汚れが目に入って目のトラブルのもとに。クレンジングの仕上げに、水でぬらした綿棒でまぶたのきわまできれいにすることを習慣に」

アイメイクは徹底的にオフ

 

③目に不調を感じたときのおすすめのアイテム

目は、生活の中でできるちょっとした工夫や手軽なトレーニングで改善に向かうことも。今回は、編集部がピックアップした「目の不調を感じたときに取り入れたいアイテム」をご紹介。

《編集部Select!》

クリアな視界をサポート

ぼやけを緩和してクリアな視界をサポート

日本初の目の機能のためのサプリメント。ルテインやアスタキサンチンなど目にいい成分を配合し、手元のぼやけをやわらげ、ハッキリ見る力を助ける。一日2粒が目安。

えんきん 約30日分(60粒)¥2,000/ファンケル
目もとにハリ感と明るさを

スチーム×温熱×アロマで目もとにハリ感と明るさを

スチームと温感ヒーターで目もとを温め、選べる3段階のリズムタッチで気持ちよいエステ感。アロマタブレット(別売り)をつければ、いい香りに包まれながらリラックスできる。

目もとエステ EH-SW57(オープン価格)/パナソニック
目のかすみや乾きによる

目のかすみや乾きによる眼精疲労を緩和!

加齢による目の乾きや、それに伴う眼精疲労にアプローチ。涙の保持、ピント調節機能の改善、角膜の代謝を促進する成分を配合。しっとりしたなめらかなさし心地。

Vロートアクティブプレミアム 13ml ¥1,500/ロート製薬
パソコンやスマホのブルーライトから目を守る

パソコンやスマホのブルーライトから目を守る

抗酸化物質ルテインを、一日摂取目安量(1粒)当たり16mg配合。ブルーライトの刺激から目を守り、ぼやけを改善して目の調子を整える。クリアな視界のサポートに!

ルテイン 光対策 30日分(30粒)¥1,143/DHC
温熱で目もとを気持ちよく包み込む

40℃のじんわり温熱で目もとを気持ちよく包み込む

目もと専用の蒸気温熱シート。約40℃の温熱が20分程度続き、心地よい蒸気が目もとを温かく包み込み気分がほぐれる。会社のデスクや移動時などでも便利な使いきりタイプ。

めぐりズム 蒸気でホットアイマスク5枚(オープン価格)/花王
取材・原文/遊佐信子 イラスト/松元まり子 ※エクラ2020年5月号掲載
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