更年期世代が悩みがちな、耳の不快感。私たちを突然おそう「耳鳴り」の正体は?

キーンと高い音、ズーンと低い音……アラフィーになって、常につきまとう異音に悩まされるようになった人が多数。なぜ起こるの? 治すことはできる? 耳鳴りの原因と対策を医師の神尾友信先生が解説。

教えてくれたのは

神尾友信先生

神尾友信先生

耳鼻咽喉科専門「神尾記念病院」(東京・神田)院長。同院では耳鼻科診療、聞こえの検査や手術、人工内耳手術後のリハビリ、補聴器外来など、聞こえに関するトータルな医療を提供。

耳鳴りは難聴のひとつの症状。発症したら即受診を

聞こえにくさとあわせてアラフィーに多い耳の不調である「耳鳴り」。実際には音が鳴っていないのに聞こえる症状のことで、原因となる病気によってキーンと高い音だったり、ズーンと低めの音だったり。大きさや感じ方も個人差が大きいものの、アラフィーになると増えてくるのには理由も。

「ひとつには加齢性難聴があります。加齢によって有毛細胞が劣化し脳に届く信号が減ってくると、脳は減った分を補おうとして過活動を起こします。その結果、耳鳴りが発生すると考えられます。

ほかにも、めまいと難聴、耳鳴りを繰り返すのが特徴のメニエール病、ある日突然高い音が聞き取りづらくなる突発性難聴なども、耳鳴りの原因となることがあります。いずれにしろ耳鳴りは難聴のひとつの症状と考えていいでしょう。

加齢性難聴の進行、メニエール病、突発性難聴、すべてにいえることは、ストレスが大きくかかわるということ。エクラ世代は心身の変化が大きい更年期であることに加え、家庭や仕事、親のことなど心配事やタスクが多く、ストレス要因が多い。それが難聴の発症や進行の要因となったり、耳鳴りに過敏に反応して、ストレスをよけいに募らせる悪循環に陥ってしまうことにもなるのです。

突発的な難聴に伴う耳鳴りの場合、耳鳴りを感じてすぐなら薬物療法が効くことがありますが、時間がたってしまうと根治はむずかしくなります。突発性難聴も発症から1週間以内に治療をしないと治りにくくなるという特性があるため、耳鳴りを感じたらできるだけ早く病院を受診するのが鉄則。

でも、耳鳴りが起きてから時間がたってしまっている人もあきらめないでください。今の耳鳴り治療のスタンダードは、耳鳴りを“なくす”ことではなく、気になりづらくすること。ほかの音が聞こえづらいために耳鳴りにばかり意識がいってしまうという側面を逆手にとり、耳鳴りから意識をそらす。こうした治療法は『音響療法』と呼ばれるもののひとつです。

治療は専門の医療機関を受診する必要がありますが、何が原因の耳鳴りにしろ、難聴とセットであることは確か。生活習慣の改善を通して耳をいたわるなど、耳鳴り緩和のためにできるセルフケアもあるので、ぜひ取り組んでほしいと思います」

主な症状

主な症状

•低音から高音にいたる、さまざまな耳鳴り
•聞こえにくさ
•大きな音が割れたり響いたりなど

【メニエール病】

内耳のむくみのせいでめまいが発生
回転性のめまいが数十分~数時間持続し、耳鳴りや耳詰まり感、めまいからの吐き気が出ることも。特に低音域が聞こえづらくなる。聴覚とあわせて平衡感覚をつかさどる内耳がむくみを起こすことでめまいが起きる。

【突発性難聴】

突然片耳の聴力が低下。高い音が聞こえづらく
原因はハッキリとわかっておらず、ある日突然聞こえづらくなる。片耳だけに起こることが多く、めまいはある人とない人に分かれる。放置すると難聴が固定されてしまうため、早い受診が不可欠。

治療法

メニエール病には むくみをとる漢方が有効

メニエール病にはむくみをとる漢方が有効
「メニエール病の治療には、薬を使用します。薬の種類もいくつかありますが、体内の余分な水分を排出する利尿作用のある漢方が有効なこともあります。ただし、漢方だからといって自己流で服用するのではなく、医療機関を受診して処方してもらうことが大事です」

補聴器で聞こえを補うと 耳鳴りが緩和することも

補聴器で聞こえを補うと耳鳴りが緩和することも
「補聴器でさまざまな音が聞こえるようになると、耳鳴りが気になりにくくなる効果が。集音器はもともと聞こえている周波数帯の音まで大きくしてしまい、うるさすぎてストレスに。補聴器外来を受診し、自分に合った補聴器を作って」

合わせて読みたい
Follow Us

What's New

Feature
Ranking
Follow Us