2つの時刻表、悩ましきその選択。

JR時刻表とJTB時刻表を比較

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大型の情報を集約したJTB小さな時刻表

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『JR時刻表』は交通新聞社刊、『JTB時刻表』はJTBパブリッシング刊の月刊誌。ともにB5判です。
右は季刊の縮刷版、『JTB小さな時刻表』。文字は極小ながら、B5判の情報量をコンパクトに持ち歩けるのが魅力。
判型も価格も発売日も同じ、内容も同じはずの2つの時刻表。先日、延々読むのはしんどいInstagramの投稿で、両者の違いについて説明を試みました。大まかなところを箇条書きにしてしまえば、わかりやすいことなのですけれど(;^_^A

【JR時刻表】
・JR公式版。みどりの窓口で使われている
・路線掲載順はJR各社のエリアおよび中核都市のネットワーク重視
・2色刷りで優等列車が一目瞭然
・新幹線・特急ページが見やすく、新幹線から特急への乗り替え情報も掲載
・路線図がすっきりしている
・カラーページは幅広い層への鉄道旅行案内

【JTB時刻表】
・「国鉄監修 交通公社の時刻表」が前身
・幹線の通し掲載を重視。その後で支線をおよそ地図通り追う
・路線の区切り方がJR版より細かい場合がある
・単色刷り(優等列車等の識別の工夫あり)
・本文の数字の視認性がいい
・新幹線や特急の車両形式が載るなど情報が豊富(私鉄特急、国際航空便も網羅)
・路線図は私鉄等含め全路線全駅を掲載。日本地図として竹島も掲載
・ときどき付録がつく。カラーページは鉄道ファン向けの味つけ

で、私はどちらのユーザーかと申しますと、『JTB時刻表』(※ただし季刊の縮刷版。上写真スライドの2枚目)です。眺めるには単色刷りのほうが目が疲れず、在来線での長距離移動に適した台割構成であることが大きな理由ですが、ニッチな部分での「使い勝手のよさ」も見逃せません。

時刻表の路線図は索引地図とも

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篠ノ井線の手前、中央線の謎な線形

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特急おおぞらは根室本線ルートから石勝線経由に

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黒いラインが幹線の奥羽本線。青いのが秋田県の東能代から海岸沿いを走ってくる五能線。観光列車の運行も多い。
ちょっと複雑な中央本線の中心部。路線図のページをまたいでいるため、書き出してみました。
かつては道東への特急も走った根室本線。今やその役割は、短絡ルートとして1981年に開業した石勝線が担う。
ふだん何気なく利用されている方が大多数だと思いますが、複数路線の列車が合流(および並走)する区間というのが、各地に存在しています。路線ごとに列車時刻を分けて掲載すると、重なる区間の時刻はあちこちのページを見なくてはなりません。仕方のないことではあるけれど、これがけっこう面倒くさい。しかし「ダブらし掲載」がしてあれば、その区間の駅にある時刻表のように全貌を把握できます。このダブらしの細やかさで一歩リードしているのが、『JTB時刻表』だと思います。

たとえば上写真の、奥羽本線の川部~弘前間。五能線は定義上は東能代~川部ですが、東端のターミナル駅は弘前です。奥羽本線の列車時刻に弘前駅発着の五能線の列車をすべて含めているのはJTB版のみ。これが小さなことながら、大衆温泉目当てに川部へ行くときなんか、しみじみありがたいんですね(ちなみに秋田~追分間については、両時刻表とも奥羽本線の列車時刻に男鹿線の列車も含めています)。

また、篠ノ井線の塩尻~松本間についてもJTB版のほうが便利です。ここは名古屋~塩尻の「中央西線」、東京~塩尻の「中央東線」、豊橋~辰野の「飯田線」の3路線から乗り入れる列車が行き来します(写真2枚目参照)。それぞれ順に①、②、③としますと、このように掲載されています。

【JTB時刻表】
中央西線のページ:①の全列車、②の普通列車、③の普通列車
中央東線のページ:②の全列車、①の普通列車、③の普通列車

【JR時刻表】
中央西線のページ:①の全列車、②の普通列車、③の普通列車
中央東線のページ:②の全列車、③の普通列車

さすがに煩雑になるので特急まではダブらせられませんが、JTB版は中央東線・西線のページの両方で、塩尻~松本間を走るすべての普通列車を網羅する姿勢がステキ✨ ここ2年以内くらいで中央東線のページに高尾から大月方面への乗り継ぎ時刻が入り、さらに完成度が高まりました。

最後にもうひとつ、北海道で巨大な鉄のY字路となっている根室本線と石勝線について(写真3枚目)。2016年の水害以前は、根室本線には滝川から釧路を結ぶ"日本最長距離の鈍行列車"が走っていました。現在、被災した東鹿越~新得はバス代行となっています。根室本線ルートで移動する人がいったいどれほど存在するのかという状況ではありますが、今も『JTB時刻表』はその乗り継ぎがわかりやすいよう両路線を併記しています。

これらをして"普通列車への愛ある編集"と見るのは、贔屓目でしょうか。老眼が始まるまでは、『JTB小さな時刻表』を手放せそうにありません。
(編集B)

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