【お墓どうする?】お墓の素朴な5つの疑問に専門家が回答!

介護や相続など、年を重ねるにつれて考えなくてはいけない問題が続々と増えてきます。その中のひとつに「お墓の問題」も含まれるのではないでしょうか。「自分たちのお墓はどうしよう!?」と思っても、わからないことばかり。そこで今回は、お墓に関する素朴な疑問について、専門家に聞いてみました。
教えてくれたのは…
シニア生活文化研究所所長 小谷みどりさん

シニア生活文化研究所所長 小谷みどりさん

第一生命経済研究所を経て、’19年から現職。著書に『お墓どうしたら?事典』(つちや書店)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。

Q1.実家のお墓に入ることはできる?

A.六親等までOKというお墓が大半

お墓には、「どのお墓に、誰と入るか」を明確に定めた法律はありません。なので、嫁ぎ先ではなく、実家のお墓に入ることは可能です。一般的な墓地や霊園は、『使用者から見て六親等以内の血族、配偶者、または三親等以内の姻族までしか納骨できない』とされていますが、それでも、自分から見た曽祖父母や甥・姪、ひ孫とその配偶者、いとことその子供・孫まで含まれるなど範囲はかなり広いんですよ。ただし、『自分とその配偶者、実子のみ』など独自ルールを設けているところもあるので、まずは、実家のお墓のルールを確認しましょう。

 

Q2.そりの合わない長男ではなく次男にお墓を継いでほしい

A.承継者は誰でも大丈夫

民法では、お墓や仏壇などの先祖を祀る財産を引き継ぐ「祭祀承継者」をひとり決めなくてはならないのですが、誰にするかという規定はないんですよ。ですから、次男や嫁いだ娘、孫や甥・姪が継ぐのも問題ありません。本人や家族が同意し、墓地が許可するなど条件はありますが、友人が承継するケースも出てきたほどです。

 

お墓や仏壇といった祭祀財産は相続財産とは区別されているので、相続税はかかりません。とはいえ、墓地の年間管理料の支払いやお墓の手入れなどが発生するので、そのあたりを承継者にしっかり理解してもらったうえで、託すことをおすすめします。

お墓の疑問

Q3.お墓を放置していたらどうなってしまう?

A.無縁墓として撤去されることも

年間管理料が発生する墓地や霊園にお墓があり、管理料の支払いが何年も滞ってしまうと、無縁墓とみなされ、撤去されるケースもあります。もっとも、無縁墓と認定されるには、行政上煩雑な手続きが必要になるうえ、墓石を撤去する費用はお墓の管理者の負担に。しかも、お墓を撤去したあと、新たな使用者の応募が見込まれるのは、アクセスのいい都心部のごく一部の墓地にかぎられます。それ以外の墓地は、採算が合わないため、そのまま放置されることも珍しくありません。

 

Q4.遠方の父母のお墓を近くに移したい

A.「墓じまい」をしたうえで新たなお墓を

まずは、遠方のお墓の「墓じまい」を。家族や親族など関係者の同意が得られたら、墓地管理者に連絡し、改葬の手続きを行います。同時に、次のお墓をどうするか、納骨の仕方や場所なども考え、準備しましょう。お墓の移し方にも、「埋蔵されている骨壺と石碑をすべて移す」「骨壺だけをすべて移す」など複数の方法があるので、最適なものを選んでください。親族の遺骨も同じお墓に納められている場合は、墓じまいはせず、「父母の骨壺のみを移す」「父母の骨壺から一部の遺骨のみを取り出して移す」といった方法もあります。

 

Q5.お墓を承継する人がいない場合は?

A.永代供養墓を選ぶのが安心

承継者問題が年々深刻化する中、注目が高まっているのが永代供養墓。遺族にかわって墓地の管理者が供養と管理を行う、承継を前提としないお墓です。子供がいない人やシングルだけでなく、子供がいても、遠方に住んでいたり、嫁いでしまった娘だけなど、墓守をさせたくないという人に支持されています。承継を前提にしないため、入れる人数には制限があり、夫婦のみとか、その子供までなど、せいぜい4名程度というのが多いようです。なお、永代供養墓には、「個別安置型」「集合安置型」「合祀型」の3種類があるので、それぞれの特徴を知ったうえで、慎重に検討してください。

 

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