110年前が舞台の、ファッション・ビジネス物語!

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『クッキー』(弊社刊)で連載中の、『日に流れて橋に行く』がおもしろいです。

舞台は、石造りの橋が竣工する明治末の日本橋。近代化に出遅れた老舗呉服店「三つ星」を立て直すべく、英国から帰国した星乃家三男・虎三郎と、切れ者の相棒・鷹頭、そしてファッションオタクの時子らが奮闘する物語で、現在4巻まで発売中。

物語に着物、装身具といったおしゃれアイテムが絡むから楽しいのに加え、時代設定が魅力的です。

今に残る日本橋の架橋は1911年。日本女性はまだ着物中心だけれど、いずれは洋装部門を作りたいと虎三郎たちは目論んでおり、西洋ではようやくコルセットなしのドレスが定着し始め、そこには着物へのオマージュも見出せるという、服飾文化のターニングポイントの頃。また、時子が新しい女性像をリードするあたりも、同年秋には『青鞜』創刊という時代背景を感じさせます。

絵がきれいなのでサクサク読めるのと、深沙大王の看板絵といった当時の美術のエッセンスがにじみ出ているところも個人的にツボでした。

作者の日高ショーコさんは台湾でも人気絶大だそうで、現在、COREDO室町テラスにある「誠品生活日本橋」(台湾発の書籍&セレクトショップ)にてコラボ企画を開催中です(〜9/11)。作中でも言及される"本藍染め"で製作したオリジナルの手ぬぐいやマスク(意匠は京森康平さん)を販売するほか、複製原画等の展示も。日本橋方面(最寄りは「三越前駅」)へお出かけの際は、お立ち寄りください。


さて蛇足になりますが、ジャポニスムに加えて20世紀初頭のパリ・モードに影響を与えたのが、バレエ・リュス。ポワレも「千夜二夜」仮装パーティーなんかを開いて、思い切り乗っかりました。バレエ公演の写真・映像記録はお世辞にも豊富とはいえませんので、1911~14年の数々の初演でタクトを振ったピエール・モントゥーの録音(※リアルタイムではありませんが)から、往時に思いを馳せるのがよろしいかと。モントゥーの紡ぎ出す明晰で気品がある響きには、素敵なお髭と同じく古き良き時代の美学が感じられるようです。
(編集B)

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