館の顔たる看板文字。

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これを見て、「ああ、あれね!」と言える方は素晴らしい。そうですあれです、戦前からの。

答えは、日本民藝館の門柱にある看板の、「藝」の字。芹沢銈介の書です。「云」のところが人間の体っぽい感じがして、私はこの字ばかり撮っていました。写真1枚目は初代のもので、今では2枚目の通り、ピッカピカの2代目が就役中(昨冬、交換されたそう)。

現在開催中の『洋風画と泥絵』(~9/6、※8/11現在、事前予約制になりました)については『エクラ』9月号で少し紹介していますので、ご覧ください。作品からは、西洋画を見て「いいね!」と素直に感じた在野の画家たちの心もようが伺えます。

モチーフでいえば「帆船」が人気ですが、青い空、線遠近法、水平線や地平線がある構図、広角レンズのような広大な絵画世界など、グッと来たポイントはひとそれぞれ。技術は拙いものの、よ〜く見るとじわじわ来る絵が多いです。誌面に掲載した『異国風景図』(写真3枚目)は、ただちに絵ハガキを準備すべき名作だと思います。個人的には右端のおじさんが好き。

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民藝館を訪れるたび感じ入るのは、柳宗悦の視野の広さとモノへの愛情の深さです。氏が考案した作品の表装、額装も独特で、作品に素敵な着物を着せるように心から楽しんでいることがわかります。1Fの売店にオリジナルの野帳(¥350)がありますので、気になるものは存分にメモして帰りましょう。

これほど創設者の美意識の"保存状態"が良好な施設って、世にありそうで滅多にありません。それは所蔵作品にも共通していて、類品が存在しそうで存在しないところがまた素晴らしく(※選び抜かれている)、「これは私が見つけたかった…」と嫉妬交じりに眺めることもしばしばです。
(編集B)
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