新酒を寿ぐ季節がやってきた! 進化する“日本のヌーヴォー”にも注目を【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】

ボジョレ―・ヌーヴォーの解禁日は毎年11月の第3木曜日。現地からは「今年の出来は最高!」という声が届き、時勢柄、例年のような盛り上がりは見られないものの、自宅でゆっくりと楽しむ人は多いようだ。実は、日本ワインにも“ヌーヴォー(新酒)”の解禁日があるのをご存知だろうか。
丘の上から畑を望む。甲府盆地の広がりや南アルプスの山々が見渡せる。天気がよい日には遠くに富士山が顔を出す。
丘の上から畑を望む。甲府盆地の広がりや南アルプスの山々が見渡せる。天気がよい日には遠くに富士山が顔を出す。
山梨県は日本のワイン産地を牽引してきたことで知られるが、山梨県ワイン酒造組合では、山梨県で収穫される「甲州」、「マスカット・ベーリーA」で造られた新酒ワインの解禁日を11月3日としている。先日、日本を代表するワイナリーのひとつ「登美の丘ワイナリー」が主催する「登美の丘ワイナリーつくり手による2020年新酒トークLIVE」がYouTubeで配信され、参加した。
最初に画面に映ったのは、ドローンの撮影による美しく広がるブドウ畑や収穫したブドウの粒をていねいに選定する人々。これだけでも、「登美の丘ワイナリー」のワインがていねいに造られていることが伝わってくる。
選果は、ブドウを一粒一粒ていねいにチェックされる。果汁を酸化させないよう、優しく搾汁される。
選果は、ブドウを一粒一粒ていねいにチェックされる。果汁を酸化させないよう、優しく搾汁される。
この日、テイスティングしたのは「ジャパンプレミアム 甲州 新酒 2020」と「ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ 新酒 2020」。甲州はレモンの香りとフレッシュな酸味が印象的。すっきりとした味わいで、すっと体になじむような優しさを感じる。マスカット・ベーリーAのロゼは、ラズベリーや綿あめのような香りと少し甘めの味わいがチャーミング。どちらも飲みやすく、誰からも愛される味わいだ。フレッシュ感が際立つのも新酒ならではの魅力。
栽培技師長の大山弘平氏が、今年のブドウの出来について語ってくれた。
「今年は、“私たちの腕が試された年”でした。冬が長く続いたあと、開花は順調でしたが、梅雨も長く続きました。8月からは暑い日が続き、雨が降らなかったことで、8月から9月にかけて成熟が必要な時に乾燥してくれました。どこで収穫を見極めるか考えましたが、結果、“いい年“になりました」。品質グループの遠藤有華さんは「皆の努力が実って、今年は最高の出来です」と満面の笑顔を見せる。
「登美の丘ワイナリーつくり手による2020年新酒トークLIVE」の登壇者。(左から)商品開発グループの吉野弘道氏、栽培技師長の大山弘幸氏、品質グループの遠藤有華さん。ライブは2020年11月30日までYouTubeで配信されている。   https://youtu.be/2S6lg5sGF6A
「登美の丘ワイナリーつくり手による2020年新酒トークLIVE」の登壇者。(左から)商品開発グループの吉野弘道氏、栽培技師長の大山弘平氏、品質グループの遠藤有華さん。ライブは2020年11月30日までYouTubeで配信されている。 https://youtu.be/2S6lg5sGF6A
その大きな理由は、なんといっても「登美の丘ワイナリー」の素晴らしい立地にある。南アルプスや甲府盆地を見渡す丘の上に位置し、遠くに富士山も見える。「登って美しい丘」というワイナリー名そのものの感動的な美しさだ。畑は最も高いところで標高600メートル、南向きの斜面で風通りもよく、ブドウは太陽を十分に浴びて育つ。さらには、その健康に育ったブドウを半分くらい落として、残されたブドウに栄養を集中させている。(落としたブドウは飼料として活用される。)
このトークライブで楽しかったのが、「マリアージュの提案」だ。視聴者も参加し、チャットで甲州とマスカット・ベーリーAのロゼとに相性の良さそうな料理のアイディアが次々と寄せられ、盛り上がりを見せた。たとえば、「ジャパンプレミアム 甲州 新酒 2020」にはサラダやピッツァ、塩の焼き鳥、そして桃の缶詰など。「ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ 新酒 2020」にはたれの焼き鳥やオムライス、そしてかりんとうなど、意外なものも。商品開発グループの吉野弘道氏は料理とのマリアージュについてこう語った。
「甲州も、マスカット・ベーリーAも日本の固有品種なので、日本料理にはぴったり。ほのかな渋みもあるので、料理を引き立ててくれます。これはまさに、日本料理のための品種ですね」。
“ヌーヴォー”はフランスの文化だが、元来、日本には新酒を寿ぐ文化があった。“ボジョレー・ヌーヴォー”が外国から来た、たとえばハロウィンのようなお祭り的存在なら、“日本のヌーヴォー”は土地に根ざした村祭りのような“ハレ”の感覚だろうか。収穫に感謝し、今年の平穏を祈る。そんな古来の空気感が感じられる。日本でしか味わえない“ヌーヴォー”は、私たちだけの文化。1年の締めくくりに、“日本のヌーヴォー”とともに過ごす1日があってもいい。
ジャパンプレミアム 甲州 新酒 2020。甲州種100%。レモンや桃などのフルーティーな香りとすっきりした酸味。お造りや天ぷらなど、日本料理との相性は抜群! 750ml 1,800円(参考価格)

ジャパンプレミアム 甲州 新酒 2020

甲州種100%。レモンや桃などのフルーティーな香りとすっきりした酸味。お造りや天ぷらなど、日本料理との相性は抜群! 750ml 1,800円(参考価格)

ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ 新酒 2020。ラズベリーやチェリーなど華やかなベリーの香り。果実味豊かでやさしい甘さ。煮物や肉じゃがなど醤油味とよく合う。お好み焼きなどにも。750ml 1,800円(参考価格)

ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ 新酒 2020

ラズベリーやチェリーなど華やかなベリーの香り。果実味豊かでやさしい甘さ。煮物や肉じゃがなど醤油味とよく合う。お好み焼きなどにも。750ml 1,800円(参考価格)

【お問い合わせ】
サントリーワインインターナショナル■0120-139-380(お客様センター)
取材・文/安齋喜美子

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