ぎっくり腰になりやすい姿勢と生活とは?【ぎっくり腰の対処法】

いきなり襲いかかる激痛と固まる腰。ぎっくり腰を引き起こす原因と、ぎっくり腰になったとき体の中で何が起きているのかを、腰痛のエキスパート・松平浩先生にお聞きしました。
お話をうかがったのは…
東京大学附属病院特任教授 松平 浩先生

東京大学附属病院特任教授 松平 浩先生

東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任教授。『腰痛ケア.COM』でオンラインの腰痛教室を開催予定。
https://yo2care.com/

ぎっくり腰は“腰痛借金”が引き寄せる腰痛の事故!

あの、いきなり襲いかかる激痛と固まる腰。ぎっくり腰になったとき、体の中ではいったい何が起きているのだろう。

「いろいろな状況がありますが、最も典型的なのは、背骨の腰部分の椎間板(ついかんばん)の中で髄核が後方へずれて、髄核を囲む線維輪が傷つき、痛みが出ている状態でしょう」

ぎっくり腰は腰痛の事故ともいえ、それまでにため込んだ“腰痛借金”が事故を引き寄せているようだ。

「“腰痛借金”とは、腰痛につながる蓄積された負担のこと。例えば、背骨の椎間板に偏った負担がかかったり、背中の筋肉が疲労し硬くなっていたり。また、精神的ストレスの身体症状として腰痛が現れることもあると、長年の研究で明らかになっています」

悪い姿勢とネガティブ思考がぎっくり腰のきっかけに

背骨と背筋にたまる“腰痛借金”の大きな原因は、悪い姿勢にある。

「ねこ背など本来の背骨のS字カーブがくずれた姿勢だと、椎間板に過度な負担がかかるし、背中の筋肉が収縮しつづけて疲労がたまります。そんな悪い姿勢のまま、デスクワークを長時間続ける、急激に前かがみになる、重い荷物を持ち上げるなどの動作が、ぎっくり腰のきっかけになります。また、加齢も背骨や筋肉を消耗させるので、年齢が上がるほど腰痛やぎっくり腰のリスクが上がります」

さらに心理的なストレスがあると、脳内の痛みを抑える働きが低減してしまうという。

「ぎっくり腰を恐れず楽観することも大切。胸を張りよい姿勢で日常生活を送れば、気持ちが前向きになりストレスに強くなります」

これが痛みの原因のひとつ!

痛みの原因のひとつ
腰椎の椎間板にある髄核が、なんらかのきっかけで後ろへずれ、髄核を囲む線維輪が傷ついて痛みを引き起こす。髄核をもとへ戻せば痛みは引く。
 

ぎっくり腰になりやすい姿勢と生活

ぎっくり腰

●くしゃみ・せき

くしゃみは急激に腹筋と背筋に負荷を与え、最大300kg重の負荷がかかった例も。せきの負荷はそれほどではないが回数が多いのが難点。

●急な前かがみの姿勢

うがいをしたりソックスや靴をはくときなど、ふいに前かがみになったときが危険。特に肥満傾向だと腰にかかる負担は大きい。

●重い物を持ち上げる動作

物(重さ関係なく)を持ち上げるという動作をしたときの腰の椎間板にかかる負担は、よい姿勢でも310kg重。ねこ背など悪い姿勢だと420kg重にも!

●長時間、悪い姿勢を続ける

背中が丸まったまま座りっぱなしはNG。柔らかなソファも姿勢が悪くなりやすいので注意して。悪い姿勢での立ち仕事も危険。


●精神的ストレス

ネガティブな考え方をしたり、「また繰り返すかも」と不安な気持ちがぎっくり腰の遠因になるし、痛みにも敏感になりがち。

次回はぎっくり腰になってしまった直後の対処法をご紹介します。

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