先日閉幕した、向田邦子さんの展覧会の器の中にもそれらしき瓶を見つけて驚きました。展示されていたのは、より胴が短く首が長いタイプです。
さて、向田家ではその瓶を何に使ったのか?
猫がいる部屋で一輪挿しに使うには少々危なっかしい。食卓に上るとしたら、徳利がわり…? しかし食事シーンの写真を追う限りご本人はビール党のようだし、富山の銘酒「立山」がお好きだったにしても、これほど小さな瓶にわざわざお酒を移して、またその細い口からチビチビ注ぐ姿はあまり想像できません(※私は平気)。
展示で見た美意識からして侘び寂びがかった酒器とは無縁だったでしょうし、第一義的には戦前の子供時代を懐かしむアイテムだったのかなあ…、と一通り思案して帰りました。
ケースにちょこんとたたずむ粗末な空き瓶の存在に、今はなき偉人との距離が少し縮まったような気がして、作品のどこかに登場してないかな?という些か不純な読書欲が湧きました。
(編集B)