拓本に一番なじみがあるのは、書を嗜まれる方々だと思います。初唐の三大家など、古いお手本はたいてい碑文から採ったものなので、文字と地が白黒反転していますね。
拓本は凹凸については精度の高い原寸大の記録方法であるため、文化財の調査・修復に際して採られたものが数多く存在します。目的は"記録"とはいえ、「原寸大」というのは侮れません。作品のオーラが宿り、現物から目で捉えるのとはまた別の美しさを引き出すこともあるほど。
そんな拓本の魅力を知ることができるのが、現在、奈良大学博物館で開催中の『東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展 ―大和古寺の国宝・重要文化財―』(~8/31)です。前期・後期で一部を入れ替え、計91件の拓本を展示。平日と土曜午前の開館ですので、「避密」の旅の目的地としておすすすめします。