謎の言葉とワインオープナー。

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以前、「ヘリクソフィルなのですか?」と訊かれたことがあります。一度も耳にしたことのなかったその言葉。「ムカ着火ファイアー」みたいな、やがて消えゆくギャル語かなと思ったのですが、ワインオープナーのコレクターの事だそう。

その時、話題にしていたのが、写真のワインオープナー。イタリアの名門自転車部品メーカー、カンパニョーロ製の"BIG THE CORKSCREW"です。普及率は低そうですけれど、自転車愛好家ならご存知のはず。「ツール・ド・フランスのお供はワイン」という方への贈り物にはぴったりです。

もともとは創業者のトゥーリオ・カンパニョーロ氏が、祝杯の場面で確実かつ安全に抜栓できるようデザインしたもの。古き良き時代の美しきコンポーネントの趣きがあります。

ワインボトル並みの巨大さと重量はご愛嬌。その剛性と加工精度は折り紙付きで、基本的な機構部分は300年くらいは保ちそうです。クランクのチェーンリングボルトと同じのが使われているだけでニヤニヤしてしまう奇特なご友人がいらっしゃれば、何かのお祝いの折にぜひ。


さて、再びヘリクソフィルに戻りますと、helixophileと綴り、helix(=螺旋状のもの)とphile(=愛好家)からなる合成語です。英語読みならヒーリクソファイルになろうかと。「ワイン、栓抜き要素がゼロではないか」と軽くショックを受けますが、スチールバイク好きなら、この表現は当たらずとも遠からず。高級なフレームチューブには、軽量化と剛性強化のため、銃身のライフリングのような加工が施されていたりします。

余談ながら、銃と自転車は歴史的に切っても切れない関係にあり、初期の自転車ビルダーには鉄砲鍛冶出身者が少なくありません。有名どころでは、日本のミヤタは宮田製銃所が前身で、スペインのオルベアも創業時は拳銃やライフル銃のメーカーでした。

振り返ってみると私は銃というメカも嫌いではなく、深層心理的にはヘリクソフィル…、なのかもしれません。ただし、oenophile(=ワイン愛好家)ではないため、手持ちのワインオープナーはこれひとつだけ。今の抜栓のペースなら1000年は保ちそうです。
(編集B)

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