なぜ韓国ドラマのセリフは心に響くのか?人工知能研究者の黒川伊保子さんが解説!【どっぷり韓国ドラマ!】

韓流第4次ブームはさらなる上昇ムードで、エクラ世代を虜にする名作韓国ドラマが続々登場。なぜ韓国ドラマのセリフはこんなに心に響くのか、『脳』と『対話』のプロ、人工知能研究者の黒川伊保子さんが解説。
人工知能研究者 黒川伊保子さん

人工知能研究者 黒川伊保子さん

脳機能論の立場から、自然言語解析に取り組む。最新刊は『職場のトリセツ』(時事通信出版局)。’22年春には成熟した大人のための『恋のトリセツ』(河出書房)も発売予定。

相手を思いやる対話のレベルの高さに脱帽!

「対話の成熟度には、自分の感情をたれ流す(レベル1)、自分の事情を言い募る(レベル2)、他人を慰撫するために言葉を紡ぐ(レベル3)という3段階があり、韓流ドラマの何がすごいって、レベル3の対話であふれていること」と黒川さん。例えば『梨泰院クラス』の料理コンテストの決勝直前のシーン。「トランスジェンダーであることを暴露された部下のシェフに、主人公がかけた言葉が秀逸でした。好奇の目にさらされ、それでも歯を食いしばる姿に『逃げてもいい。いや、悪くもないのに“逃げる”のは変だ。お前は、お前だから。他人を納得させなくていい』と。主人公の事業の命運がかかる決戦なのに、彼は部下の魂が汚されることを危惧したのでした。日本のドラマなら、おそらく『自分の存在価値を証明してこい』と背中を押すシーンでしょう。結果、彼女は毅然と舞台に立ち、アナウンサーの『自身を証明する舞台になりますね?』との質問に『証明? 私が私であることに、他人の理解は不要です』とさわやかに答えるのです」

『梨泰院クラス』

『梨泰院クラス』
人気ウェブ漫画原作。パク・ソジュンが正義感あふれる主人公パク・セロイに扮して、大手飲食チェーンの非道に挑む復讐&サクセス物語。Netflixシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中。

ソン・ヘギョ、パク・ボゴム共演の『ボーイフレンド』でも母と息子の対話に胸打たれたという。「愛する女性に別れを告げられボロボロになった主人公の息子は、母親が彼女に別れてほしいと頼んだことを知りますが、大切な母にそんな思いをさせたことをただ悲しがるのです。母を責めずに。そして『彼女のことをどれくらい好き?』とたずねる母親に『母さんのように』と。『どうしてこんなことしたの!』となじって育てれば、子供からもなじられるだけ。『あなたもつらかったでしょう』と育てるから、『悲しい思いをさせたね』と返ってくる。脳は装置です。入力しなければ、出力できません。韓流ドラマにたびたび登場する会話は、時にはひどく感情的ですが、優しいセリフも多く、勉強になります」

『ボーイフレンド』
©STUDIO DRAGON CORPORATION

『ボーイフレンド』
パク・ボゴム演じる年下男子とソン・ヘギョ演じる年上女子のせつなく甘いピュアな恋を描く。初回の美しいキューバロケも話題に。U-NEXTで配信中。

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