『柚木沙弥郎 life・LIFE』展、躍動する文様たち。

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立川のPLAY! MUSEUMで開催中の『柚木沙弥郎 life・LIFE』展。布と色の持つ力が感じられる展示「布の森」がユニークです。

染められた文様はとてもいきいきとしていて、部分でもあるいは全体としても躍動感があり、実に楽しげ。そんな50点近い大きな染布の作品が密集するように吊るされていて、空気の動きによってわずかに揺らめいています。まるで大きな生き物が呼吸するように。

展示室では大げさな結界を控える代わり、床に白い砂利が州浜状に敷き詰めてあり、見る人はその周りを回遊するという趣向。布を吊る向きはさまざまなので、歩きながら見ていると、さっき見ていた図柄が消えて奥から新しいものが現れるという具合に、色や文様が目の中で混ざり合うような楽しさがあります。写真OKなので、あちこちで撮影したくなるほど。この贅沢な展示手法ゆえに会期はやや短め、1/30までです。

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1922年生まれの柚木沙弥郎さんは、現在、御年99歳。美術史を学んでいた東京帝国大学時代に学徒動員に応召。終戦を迎え、父の郷里の倉敷で復員した後、大原美術館に勤務します。柳宗悦との出会いから、型染カレンダーに惹かれていた芹沢銈介に1947年に弟子入り。静岡の職人もとでの修業を経て、その才能が花開きました。

きもの地やのれん、風呂敷、屏風といった実用完成品から汎用性の高い広巾布まで手がけ、2000年以降は後者が中心に。60代からは版画、70代以降には絵本の分野でも活躍し、最近では、「エースホテル京都」のために製作したロゴやフォント、タペストリ―作品がよく知られています。各地の民芸店のロゴも、思い返せば柚木さんの作品が多いですね。

会場では多数の絵本原画、人形作品、ポスターなどのグラフィック、そして柚木さんの集めた世界各地のおもちゃやフォークアートなども展示。収集品はご自宅にあるように並べられているのがおもしろいです。

こちらの展覧会、東京国立近代美術館で開催中の『民藝の100年』(~2/13)の"続編のひとつ"としてご覧になるとよろしいかと。柚木さんの作風は、民藝運動の初期メンバーのそれとは明らかに異なっています。自在でモダンでユーモラスで、土着性を超えた原初的な人間らしさも感じさせます。ただ、染色にせよ絵本にせよ生活全般を覆いうる美を作っている点では、根っこは同じ。『民藝って何だろう?』なんて大げさに頭で考えなくてもいいんじゃないの、あなたの目の前にもあるでしょう、という微笑みを感じさせる作品の数々でした。時代の変化を軽やかに楽しむ、そんな心地いい空気が会場に流れているようです。
(編集B)

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