「社会をよくするために、私たちができること」忙しくてもコロナ禍でも、できることはきっとある!

「子育てや仕事が一段落したらボランティアをやりたい」。でも、いつ「一段落」する? いつかじゃなくて、今できることを。ボランティアや社会貢献について、AllAboutボランティアガイドの筑波君枝さんが教えてくれた。

教えてくれたのは

筑波君枝さん

筑波君枝さん

AllAboutボランティアガイド。ライターとして、自らのボランティア体験をもとにwebや雑誌で執筆を行う。著書『わたしにできること。』(メディアファクトリー)など。

できる人ができるときにできることをする

私たちが暮らす社会にはさまざまな問題が山積している。きっと誰の心の中にも、「自分も何かをしたい」という気持ちはあるはず。ただ、「どこで何をすればいいかわからない」「寄付をしてもそれがちゃんと生かされるか不安」などと思うのが正直なところ。

ボランティアや社会貢献とは何か? 何のためにやるのか? どんなことをすればいいのか? そんな疑問を、ボランティアをテーマに取材を続け、AllAboutボランティアガイドを務めるライターの筑波君枝さんに聞いた。

筑波さんがボランティアにかかわるようになったのは20代のころ。在日外国人支援団体での活動が始まりだ。

「当時はオーバーステイで違法に働く外国人が多く、なぜ日本に大勢の外国人が来ているのかと興味をもったのが、活動に参加したきっかけでした」

当時、オーバーステイの外国人を悪条件で働かせ、労災隠しや賃金未払いなども多発していた。そこで筑波さんが感じたのは、「当事者は外国人だけど、これは日本の問題」ということ。

「近年、日本でもいわゆる“ブラック企業”についてよくいわれるようになりましたが、弱い立場の日本人が同じように苦しんでいます。社会問題とは、めぐりめぐってどこかで自分にもかかわってくる問題なのではと思いました。弱い立場の人が生きづらい社会は、中間層も生きやすくないもの。逆に弱い人が幸せで生きやすくなれば、社会全体も生きやすくなるはず。みんなが少しでも意識することで、よりよい社会を形成できると思うのです」

日本でボランティアに注目が集まったのは、1995年の阪神・淡路大震災。ボランティアとは無縁だった人々が災害支援にかかわるようになり、“ボランティア元年”といわれている。そもそもボランティアの語源は、「自由意思・自ら進んでやること」という意味をもつラテン語の「ボランタス(voluntas)」というもの。

「強制ではなく、自分が主体性をもって行うのがボランティア。そして大切にしたいのは、できる人ができるときにできることをする、ということ。使命感も大切ですが、楽しく参加できることをやったほうがいいですから」

筑波さんは、インターネットの普及もボランティアの広がりに大きな影響力をもっていると考えている。

「インターネットによってボランティア情報が格段に集めやすくなりました。『ワンクリックで1円寄付』など、インターネットを活用した募金や、途上国と先進国が対等な立場で貿易を行うフェアトレード商品のネット通販なども活発化しました」

ワンクリック募金のように、家に居ながらにして貢献できるのはインターネットならでは。活動に参加するにしても、団体を検索したり、活動内容をチェックしたりするためにはインターネットが欠かせない。

「サイトで活動内容を明記し、毎年の活動報告書や会計報告書を掲示しているかどうかで、しっかりした団体かどうかをチェックできます。また、サイトから問い合わせをしてみて、ていねいな返事が速やかにくるかどうかも判断基準のひとつになります」

どんな活動に参加するかについては、やはり「興味のあること」「好きなこと」「得意なこと」などから探すのがいいと筑波さんはいう。

イラスト1

「社会貢献というのは、結局は、私たちが住みやすい社会を作ることにつながっているんです」

「好きじゃないと続かないので。メイクが好きなら高齢者施設を訪問し、高齢者にメイクを施すメイクボランティア、園芸が好きなら緑化活動に参加してみるとか。お試し的にその活動に参加して、『違うかも』と思ったらすぐやめていい。参加すると約束しておいて行かないのは論外ですが、ボランティアはあくまで自主的な活動なので、無理してまで続けなくてもいいんです」

ボランティアの内容によっては研修費用などが発生する場合もある。それも、自分がその負担に納得ができるかどうかで決めればいいという。

「メイクボランティアは人の肌に触れるので、それなりの知識が必要です。高齢者の話に耳を傾け、熱心に聞く傾聴ボランティアも人の話を聞くための技術があります。お金を払ってまでボランティアをやれるかどうかは自分で判断するしかありません」

ボランティア団体探しは、インターネット上だけではない。筑波さんは、地域のボランティアセンターや社会福祉協議会の活用をすすめている。

「こういうところは地元の情報をたくさんもっています。担当者が相談に乗ってくれますし、どんな団体かも第三者の立場から教えてくれます。参加する側も地元のほうが、近くて参加しやすいというメリットもあります」

よりよい社会の実現のために、できることをやるボランティアだが、参加する側にとってもプラスになることがたくさんあるという。

「『誰かのために何かをしていたつもりが、結局は自分が助けられていた』と思われる人はすごく多いですね。活動を通しての新たな発見、豊かな気持ちなど“心の報酬”がたくさんあるからと、長く続けている人もいます」

自分が何かをしたいと思ったら、選択肢は無数にある。家に居ながらにしてできることもたくさんある。あとは自分が実際に行動に移すのみ。「いつか落ち着いたら……」ではなく、今、できることを何かしてみては?

イラスト2

[ボランティア4原則]

1.自主性、主体性
2.社会性、連帯性
3.創造性、開拓性、先駆性
4.無償性、無給性


①は自分の意思に基づいているか。②はみんなが暮らしやすい社会を築くためのものか。③は時代ごとに求められるものが変わるため、創造性も必要。④は基本は報酬を目的としない。これらに則ったものがボランティア。

エクラ読者に聞いた 関心のある社会貢献

1位 「自然や環境のこと」
2位 「子供のこと」
3位 「地域社会のこと」
4位 「被災地ボランティア」
5位 「世界の貧困問題」

“チームJマダム”に社会貢献に関するアンケートをとったところ、一番関心が高かったのは「自然や環境のこと」。自然由来の洗剤を使う、ゴミを減らす、衣類をリサイクルする、食材をたくさん買わない、ヴィーガンコスメに切り替えるなど、日々の生活で実践している人も少なくなかった。「地域社会」に関しては、孤立しがちな子育て世代の女性支援、高齢者や障害者サポートに関心が集まった。ランク外では、保護犬・保護猫活動や動物福祉があがった。ペットとして迎えるだけでなく、餌や使用済みのタオルなどを保護団体に寄付している人もいた。

イラスト3

私たちができること、ネットでも探せます

Yahoo! ボランティア
https://volunteer.yahoo.co.jp/
Yahoo! JAPANが社会貢献事業の一環として提供しているwebサイト。ボランティア活動をしたい人、人手を求める人を結ぶ場になっている。自分に合ったボランティア探しに役立つ情報も掲載している。


activo
https://activo.jp/
国内最大級のNPOや社会的企業のボランティア、職員、アルバイト、インターンなどの情報サイト。社会問題や活動テーマが幅広いのが特徴で、チャリティイベント、物品寄付などの情報も多数紹介している。

サービスグラント
https://www.servicegrant.or.jp/
仕事で培った経験やスキルを生かした社会貢献活動「プロボノ」への参加を希望するビジネスパーソンやクリエイターと、そのサポートを求めるNPOや地域活動団体をつなぎ、社会問題の解決に取り組んでいる。

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