"まっさら"になったフェルメールの名作が来日中!
開催延期となっていた『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』がめでたく開幕となりました。制作当初の姿に戻すという大々的な修復を経た『窓辺で手紙を読む女』が、所蔵館以外では世界で初めて東京都美術館で公開されています。
展示室では、修復後の実作品と修復前の状態の模写作品がほぼ同時に視界に入るのですが、脳が「待ってました、フェルメール!」と反応してしまったのは模写のほう……。それもそのはず、修復された本物は色が鮮やかで全体にメリハリがつき、以前の金の額縁ではなくオランダ絵画らしいシンプルな額装に替わっていたので、「最近描かれた作品」(≒模写)っぽく見えなくもないのでした。
一度慣れてしまえば、370年前の絵がぴっかぴかのまっさら状態で目の前にあることが何とも新鮮。壁に塗りこめられていたドヤ顔のクピドが復活して、ここまで完璧に当初の姿に戻せてしまうのは、油彩画ならではです。「今、描かれたばかりのよう!」とはまさにこのことという、楽しくも不思議な鑑賞体験でした。
展示室では、修復後の実作品と修復前の状態の模写作品がほぼ同時に視界に入るのですが、脳が「待ってました、フェルメール!」と反応してしまったのは模写のほう……。それもそのはず、修復された本物は色が鮮やかで全体にメリハリがつき、以前の金の額縁ではなくオランダ絵画らしいシンプルな額装に替わっていたので、「最近描かれた作品」(≒模写)っぽく見えなくもないのでした。
一度慣れてしまえば、370年前の絵がぴっかぴかのまっさら状態で目の前にあることが何とも新鮮。壁に塗りこめられていたドヤ顔のクピドが復活して、ここまで完璧に当初の姿に戻せてしまうのは、油彩画ならではです。「今、描かれたばかりのよう!」とはまさにこのことという、楽しくも不思議な鑑賞体験でした。
他の展示作品で気になったのは、ヘラルト・テル・ボルフの『白繻子のドレスをまとう女』。フェルメールの一歩先を行った風俗画の名手ながら、これまで今ひとつ愛着が湧かなかったテル・ボルフ。この絵はヴィルヘルム・ハマスホイのご先祖みたいな感じという、現代の視点丸出しの感想ではありますけれど、シンプルでほどよく謎めいた画面が好みです。
とはいえこのシンプルさは、習作もしくは切り出し的作品ゆえのことかもしれません。実際、『艶めいた会話』(アムステルダム国立美術館)の中に、同じ女性、同じ小道具が描かれています。両作品をまじまじと見比べますと、微妙な角度の違いを反映してドレスの描写をきっちり調節しており、テル・ボルフの画力の高さに驚きます。
もうひとつ、ヨセフ・デ・ブライの『ニシンを称える静物』も興味を引きました。食卓の上に、安価で栄養のあるニシンは最高!と謳う詩を刻んだ銘板が載せられ、オランダのソウルフードたる「塩漬けニシン」を称えているのだとか。
この地味な絵に爽やかな彩りを添えているのは2つの陶磁器です。オランダらしい焼き物としてまず思い浮かぶのはデルフト陶器。が、しかし。碗のほうにちょっと違和感が。オランダの静物画に描かれた「網手」も初見なら、そもそものデルフト陶器でも網目文を見た記憶がないような……。この小碗は中国産、なのでは?
右の皿のほうは「芙蓉手」と呼ばれる意匠で、幅広のリムが花弁状に区切られ、そこに吉祥文が描かれます。中国(および後にそれを模倣した伊万里)の本格的なものは、フェルメールの『窓辺で手紙を読む女』に描かれた大皿のように青が多く華やかで、デルフトでもよくコピーされました。一方、デ・ブライの絵の中の皿は白地が多く、民窯風の随分ゆるい絵付けです。粗略な筆づかいはかえって写しにくいこともあり、こちらも中国産なのかな?と眺めました。
陶磁器の類は割れて捨てられないかぎり、永遠に現役です。フェルメールが生きていた時代の中国の磁器はたくさん残っていて、今でも買って使えないこともありません。一口に300ウン十年前というと遠い昔のようですが、絵に描き込まれた"モノ"に親近感が湧くと、時空の隔たりがギュッと縮まるもの。陶磁器のように今も昔もさほど変わらない生活道具は、風俗画や静物画を見るときの手がかりになってくれます。
この地味な絵に爽やかな彩りを添えているのは2つの陶磁器です。オランダらしい焼き物としてまず思い浮かぶのはデルフト陶器。が、しかし。碗のほうにちょっと違和感が。オランダの静物画に描かれた「網手」も初見なら、そもそものデルフト陶器でも網目文を見た記憶がないような……。この小碗は中国産、なのでは?
右の皿のほうは「芙蓉手」と呼ばれる意匠で、幅広のリムが花弁状に区切られ、そこに吉祥文が描かれます。中国(および後にそれを模倣した伊万里)の本格的なものは、フェルメールの『窓辺で手紙を読む女』に描かれた大皿のように青が多く華やかで、デルフトでもよくコピーされました。一方、デ・ブライの絵の中の皿は白地が多く、民窯風の随分ゆるい絵付けです。粗略な筆づかいはかえって写しにくいこともあり、こちらも中国産なのかな?と眺めました。
陶磁器の類は割れて捨てられないかぎり、永遠に現役です。フェルメールが生きていた時代の中国の磁器はたくさん残っていて、今でも買って使えないこともありません。一口に300ウン十年前というと遠い昔のようですが、絵に描き込まれた"モノ"に親近感が湧くと、時空の隔たりがギュッと縮まるもの。陶磁器のように今も昔もさほど変わらない生活道具は、風俗画や静物画を見るときの手がかりになってくれます。
さて、フェルメール関連の展覧会では定番となりつつある、ミッフィーのぬいぐるみが今回も登場しております。入荷すぐの状態(写真手前)では手紙が近すぎて「手紙で言わざる状態のミッフィー」みたいですが、ちゃんと調整できますのでご安心ください。
(編集B)
(編集B)
●ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと 17 世紀オランダ絵画展
【会期】2 /10(木)~4/3 (日)
【会場】東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園 8-36)
【開室時間】9:30~17:30 ※入室は、閉室の 30 分前まで
※金曜日の夜間開室は、展覧会公式サイトでご確認ください。
【休室日】月曜日(ただし 2/14、3/21は開室)、3/22
【観覧料】一般 ¥2,100ほか ※本展は、日時指定予約制です。
オンライン・プレイガイドで発売中。 詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。
【展覧会公式サイト】https://www.dresden-vermeer.jp/
【お問い合わせ】050-5541-8600(ハローダイヤル)
なお、東京都美術館での開催後は、北海道立近代美術館(4/22〜6/26)、
大阪市立美術館(7/16〜9/25)、宮城県(会場、会期ともに調整中)へ巡回予定。
What's New
Feature
-
ビタミンC+Dを効率よく届けるサプリとは
Lypo-Cと出会って変わった亜希さんのインナーケアを公開
-
読者モデル 華組のZARAコーデ
50代はどう着こなす?ファッションブロガーコーデ集
-
上質を纏う、大人のデニム「G-FRANCO」
直営店がオープン!名古屋・栄に広がる新しい世界観を体感したい。
-
読者モデル 華組のユニクロ・GUコーデ
真似したい!50代ファッションブロガーの着こなし集
-
松井陽子の「エクラ ゴルフ部へようこそ!」
松井陽子さんが50代におすすめのゴルフウェアやゴルフの楽しみ方をご紹介。
-
大人の秋は「レキップ」の洗練アウターで
深まる秋、英国調ムードのアウターで着こなしをアップデート。
-
「モラビト」この秋パリのエスプリとともに
この秋、大人の日常に上質な華やぎと品格を添えるウェア登場。
-
「ポール・スチュアート」の上質エレガンス
深まりゆく季節に俳優・月城かなとが着こなす最新のワードローブ
-
最新のテクノロジーで女性の体と心をケア
フェムテックで女性の不調に寄り添う。株式会社MTG SIXPADの施策とは
-
エクラ公式通販の人気アイテムランキング
もう迷わない!50代が買うべき秋の服
-
大人のためのヘアスタイル・髪型カタログ
髪のお悩み解決!若々しく見えるヘアスタイル
-
お疲れサインを感じた日のレスキューマスク
大人の肌にいきいきとした艶を与える「お助けマスク」をご紹介
-
板谷由夏「セオリーリュクス」で秋の装い
この秋、レイヤードスタイルで装いに上質感と奥行きを。
-
一度は泊まりたい!高級ホテル・旅館
日常を忘れて至福のときが過ごせる極上の旅へ
-
50代におすすめの最新アイテム
人気ファッションアイテムを厳選してご紹介
Ranking
-
【40代・50代に人気のヘアスタイル・髪型カタログ】髪型次第でおばさんぽくならない!手入れが楽なショート・ボブ・ミディアム・ロング別ヘアスタイル
最近同じ髪型でも以前と比べてスタイルが決まらない…。髪のうねりや薄毛、白髪など40代、50代の気になる髪悩みを解消するおすすめヘアスタイルを提案。ショート、ボブ、ミディアム、ロング別ヘアスタイルから知って…
-
【50代に人気のショートヘア60選】働く50代におすすめ!大人かっこいい雰囲気が叶う脱おばさんショートヘア
ヘアスタイルに気を遣っているかで印象が大きく違ってくる50代。そこで今回は大人のかっこよさと上品な雰囲気を引き出し、若見え効果も叶うショートヘアをご紹介。白髪や薄毛、うねりのお悩みもカバーするへスタイ…
-
パンツにもスカートにも合うおしゃれな靴って?50代の秋は「ローファー」であか抜ける!
パンプスではかしこまりすぎるし、スニーカーではカジュアルすぎる、そんな50代の私たちにこそ似合うのが、ローファー。きちんと見えて、でも堅すぎず、おしゃれにあか抜けて見える今年のローファー特集。
-
10月におすすめの服装は?50代に似合う服が見つかる!最新ファッションコーデ・アイテムカタログ
40代50代女性におすすめのブラウスやパンツ、ワンピースなどの最新ファッションアイテムや話題の美容アイテム、生活雑貨など、今買うべきアイテムを厳選してご紹介。トレンドを上手に取り入れ、自分らしく上品なス…
-
【50代に人気のミディアムヘア60選】手入れが楽なヘアはこれ!おばさんにも見えない洗練ミディアムヘア
老けて見えない40代・50代におすすめのミディアムヘアをご紹介。まとめ髪やハーフアップなどのヘアアレンジを楽しめたり、スタイリングや手入れが楽なミディアムヘアで、品のよい若見えと大人の女らしさを叶えて。
Keywords