レイプなのか合意なのか、注目の小説『生皮』ほかアラフィーにおすすめの本4選

アラフィー女性にこそ読んで欲しい本をピックアップ。抵抗しなければレイプではなく合意なのか、重い問いを投げかけてくる『生皮(なまかわ)』ほか、“今の自分”を大事にしたくなる、ほっこり漫画『火曜日のくま子さん』など、今読みたい一冊をご紹介。

男は「合意」と信じ、女は「レイプ」と感じた

『生皮(なまかわ)』

『生皮(なまかわ)』

井上荒野

朝日新聞出版 ¥1,980

小説講座のカリスマ講師、月島。一時は師と仰いでいた彼との間で起きたことに苦しみ続け、7年後に性被害を告発する咲歩。加害者と被害者であるふたりに加え、それぞれの家族、かつて月島の教えを受けた芥川賞作家、SNSで咲歩をたたく青年の心理までも深く掘り下げていく。熟練の著者ならではの克明な描写に、息がつまる。抵抗しなければレイプではなく合意なのか、生皮をはがされたような被害者の心の傷は再生するのか。重い問いを投げかけてくる、今読むべき一冊。

“今の自分”を大事にしたくなる、ほっこり漫画

『火曜日のくま子さん』

『火曜日のくま子さん』

高橋和枝
中央公論新社 ¥1,430

絵本作家が生んだ漫画の主人公は、熊の姿をした40代シングル女性。かわり映えしない7年間を淡々と描いているだけなのに味わい深いのだ。ちょっとしたことでへこんだり感動したり幸せになったりするくま子さんが、ささやかな日常のかけがえのなさに気づかせてくれる。

“読みたい! 見たい!”本と映画が続々

『月曜日は水玉の犬』

月曜日は水玉の犬

恩田 陸
筑摩書房 ¥1,870

大の読書家・映画愛好家でもある直木賞作家が、おすすめ作品を次々に紹介。例えば〈本好きのための実用料理本〉というエッセーでは、レシピ満載&語り口が絶妙で読み惚れてしまう本たちを。就寝中に見た奇妙な夢と自身の小説との関係をつづる〈夢日記より〉も興味深い。

同じ顔の姉妹が真逆の人生を歩んで得たものは?

『ひとりの双子』

『ひとりの双子』

ブリット・ベネット 友廣 純/訳

早川書房 ¥2,310

どんなに肌が白くても、黒人の血が混じっていれば黒人。そんな定めに抗い、妹は白人になりすまして生き、姉は最も黒い肌の男と結婚して娘を産む。人を序列化せずにいられない人間の業と、運命を乗り越えようとする強さをドラマティックに描く、米文学界期待の若手による感動作。

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