「里親」体験談・佐藤浩市さん《前編》20人以上の子供たちと接してきて見えたこと

さまざまな理由があって実の親と暮らすことができない子供を、預かり育てる「里親制度」。親元で暮らしたくても暮らせない事情がある子供たちを、家庭的な環境で預かり、愛情をもって見守る──。そんな社会貢献が、今の日本でも求められている。今回は、短期で子供を預かる「フレンドホーム制度」に参加して5年という俳優・佐藤浩市さんに話を伺った。

施設で育つ子は“特別な子”じゃない

これまで仕事や子育てに夢中に取り組んできたエクラ世代も、ある時点でふと「第二の人生、どう過ごしたいか?」と自分に問いかけるときがあるものだ。そんなとき、里親という選択肢をとる人も。

日本を代表する俳優、佐藤浩市さんもそのひとり。息子・寛一郎さんが独立したあと、夫婦ふたりで過ごす時間が増える中で、社会的な養護が必要な子供たちの現状に目を向けるようになったという。

「妻は、以前海外で恵まれない子供たちの里親支援をしていましたが、あるとき、『日本で施設に暮らす子供たちのお手伝いをしたい』と話をもってきたんです。最初は妻のほうが積極的で、話を聞いて、僕も『うん、いいんじゃないですか』と」

佐藤浩市

「葛藤を抱えながらも、前向きに生きようとがんばっている子供たちに、力をもらいます

東京都のフレンドホーム制度を利用し週末里親を始めたのが、’18年。その数年前から、妻が児童養護施設に通い、彼女から子供たちと接した話を聞くうちに、見える世界が変わってきた、という。

「世間一般的に、施設にいる子供は特殊な事情があり、彼らを預かるのはハードルが高い、というイメージがあるかもしれません。映画やドラマの影響もあるのかもしれないし、僕も最初はそう誤解しているところがありました。しかし、実際に出会う子供たちは、葛藤を抱えながらも、前向きに明るく生きようと力強くがんばっている。そのことに気づかされて、自分にできることはしたいと思うようになっていきましたね」

週末に子供を預かったり、施設を卒園した子供たちを家に招いて食事をしたり、「里親制度」の枠にとらわれず、継続的にたくさんの子供たちの成長にかかわってきた佐藤さん。

「今まで、うちに出入りした子供たちは20人くらいでしょうか。現在はひとり、事情があって住む場所が見つからない大学を卒業したばかりの女の子をわが家に居候させています。外泊したりバイトで帰りが遅くなったりすると、やはり心配ですね(苦笑)」

「フレンドホーム制度」とは?

「フレンドホーム制度」とは、ふだん、乳児院や児童養護施設で生活する子供たち(対象は18歳までだが、主に1〜12歳)と交流し、夏休みや年末年始、週末など学校の休業期間に、数日間預かるもの。

「季節里親・週末里親制度」のひとつで、東京都独自の名称。参加するには、まず施設に直接申し込みをし、担当職員から説明や家庭訪問を受けたあと、「フレンドホーム登録」をする。


希望条件を伝え子供を紹介されたら、まずは施設の行事などに出席しながら交流を深め、お互いの意思を確認してから、家庭での預かりを決める。


決定後も日帰りから少しずつ交流期間を増やしていくので、初めて預かる際も安心。

交流期間中は、家庭内の大人1人以上が子育てに専念できることが求められる。1日当たり2300円(7日が上限)が支給される。

佐藤浩市
佐藤浩市
佐藤浩市
さとう こういち●’60年、東京都生まれ。19歳で俳優デビュー。数々の映画、ドラマへの出演を重ね、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など多くの賞を受賞。最新主演映画『春に散る』が全国公開中。息子・寛一郎は’17年に俳優デビュー。’18年より「フレンドホーム制度」に参加し、夫婦で里親を経験している。

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撮影/露木聡子 取材・原文/玉居子泰子 ※エクラ2023年10月号掲載

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