【50代からの口臭の原因と対策】コロナ生活3年で口が臭くなった!?消す方法はある?【小田ユイコ×木津康博先生対談】

ずっと気になっていたマスク内で感じられる自分の息のニオイ。これからマスクを外した生活がメインになったとき、自分の口臭で人に迷惑をかけるのでは?と、ふと心配に。口臭が気になるようになったのはマスク生活のせい? どうすれば口臭はなくなるの? 口内環境に詳しく、口臭の治療にも積極的に取り組む木津康博先生にお話をうかがいました。
木津康博先生

木津康博先生

木津歯科 オーラル&マキシロフェイシャルケアクリニック横浜 総院長。歯学博士。東京歯科大学卒業。カナダ・アルバータ大学ミゼリコルディア病院 顎顔面インプラント補綴リハビリテーション科 クリニカル・リサーチフェローなどを経て、東京歯科大学口腔腫瘍外科学講座/口腔インプラント学講座 臨床准教授。2012年に木津歯科 オーラル&マキシロフェイシャルケアクリニック横浜を開院。ドライマウスなどの治療に積極的に取り組む。
小田ユイコ

小田ユイコ

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEBメディアで美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。
口臭が気になる女性
マスクをしていると呼気がこもり、自分の口臭がダイレクトに嗅覚へ。口臭が気になると、マスクの着脱が自由意志になっても、人前ではずすのがはばかられてしまう。

口臭には「真性」と「仮性」が。「仮性」の場合、本人が気にしすぎているケースも

小田:マスクをしていると、自分の呼気から感じられる口臭が気になって、人前でマスクをはずすのがはばかられることがあります。

木津先生:口臭には、本当に発している「真性」と、実際には発していない「仮性」があって、「真性」には生理的な口臭と、病的な口臭があるんですよ。小田さんは、マスクをはずしたときに、口臭をだれかから指摘されたことはありますか?

小田:いえ、ありません。でも、ずいぶん以前に夫から指摘されたことがあって、口臭が気になるとそのときの記憶がよみがえってきます。だれかに迷惑をかけるのではないかと。

木津先生:そういう方は多いんですよ。今は臭っていないのに、気にしすぎな方が。

小田:実際に臭いがないケースも?

木津先生:口臭を発することは、生きていればだれでもあります。女性の場合、ホルモンバランスの変化でも口臭は変わります。もちろん食事の直後や、食べたものがまだ胃にあるとき、ニオイがでてくることも。これらは時間の経過とともにおさまりますが、その後も口臭を発していると気にしてしまうのは、「仮性」の口臭です。

「真性」口臭は、ドライマウスが原因だった

一方、「真性」の生理的な口臭は、口内が乾くドライマウスで起こります。たとえば、朝起きたときに感じる口臭。寝ている間は唾液の分泌量が減りますので、口内が乾燥して細菌が繁殖しやすく、それが臭いのもとに。「真性」の生理的な口臭は、食事を取って咀嚼したり、歯磨きやマウスウォッシュで消えます。

小田:マスクをしているとき気になるのは、「真性」の生理的な口臭?

木津先生:その可能性はあります。マスクをしていると息苦しくて口呼吸をしている方が多い。そうすると口内が乾燥するドライマウス状態になり、口臭のもとである細菌が増えてしまいます。ただ、「仮性」の口臭でもマスクをしていると増幅して感じられるので、気になりやすくなります。

小田:仕事中、慌てたり、緊張したりすると、ふと口臭が気になることがあるのですが。

木津先生:その場合、「真性」の生理的な口臭の場合が多いですね。自律神経のうち交感神経が優位になる、つまり緊張や戦闘モードになると唾液の分泌が減り、ドライマウス状態となって細菌が増え、口臭が出やすくなります。いつも肩に力が入っている人、ストレスを感じやすい人に多い傾向です。

小田:ホルモンバランスの変化で口臭が出るのはなぜですか?

木津先生:年齢とともに女性ホルモンのエストロゲンが減ると、口内が乾燥しやすくなるという研究報告はあります。ただし、私の治療における実感では、50代の女性が、女性ホルモンが減った影響だけで口臭が増すことは少ないですね。むしろ、20代、30代など、女性ホルモンがたくさん出る世代は、口内の歯周病原細菌が活発に。歯周病による口臭に悩むケースも多いのです。

口臭が気になるなら、口は積極的にすすぐべき

小田:先生、そもそも口内が乾くと、なぜ臭うんですか?

木津先生:唾液が減って口内が乾くと、自浄性が下がり、免疫活動も低下。臭いのもととなる細菌が増え、舌苔(ぜったい)が舌につきます。舌苔とは、舌に付く細菌のかたまりで、灰白色、黄白色をしています。

小田:どこから臭っているのかと思っていましたが、舌からも発していたんですね。生理的口臭の場合、どうやったら効果的に消せますか?

木津先生:マウスウォッシュや、マウススプレーで増えてしまった細菌を減らしてみましょう。手元にそれらがなければ、口をすすぐだけでもOK。皆さん、案外口をすすがないので。

小田:そういえば、口をすすぐってあまりしないかも。

木津先生:皆さん、歯磨きは熱心にするんですが、そのあとあまり口をすすがない。歯ブラシを当てるだけだと歯の汚れを取っているだけで、舌などの粘膜に付着した口内細菌のケアにはなっていないんですよ。

小田:歯磨きペーストのせいでさっぱりした気になって、あまり口をすすいでいませんでした。すすぐって大事なんですね。

木津先生:はい、洗い流すことが大事です。

小田:舌苔はどうすればケアできますか?

木津先生:うっすらついている程度の軽度なものなら、うがいやマウスウォッシュで十分です。ただし、口内環境がかなり乱れて舌の2/3くらいにびっしりついていたら、舌苔専用のブラシでかき出す方法も。しかし、あまりゴシゴシやりすぎると味覚をつかさどる舌乳頭(ぜつにゅうとう)が炎症を起こしますので要注意。1日に1回、かき出す回数は2~3回にとどめて。それで改善しないようなら、歯科医に相談しましょう。

【50代からの口臭の原因と対策】コロナ生活3年で口が臭くなった!?消す方法はある?【小田ユイコ×木津康博先生対談】_1_4
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唾液は口内の美容液! ”唾液出し”マッサージで口臭解消

小田:唾液不足による口臭はどうすればケアできますか?

木津先生:まず、朝起き抜けの唾液不足による口臭には、朝食を食べることをおすすめします。食べ物を咀嚼することで唾液がでて、口内の乾燥がおさまります。

また、”唾液出し”マッサージもおすすめ。舌下と顎下、耳下にある唾液腺を手で刺激することで、簡単に唾液が出ます。朝食を取る時間がないとき、日中ストレスを感じて口内が乾いたなと感じたとき、ぜひ行ってみてください。また寝る前に行えば、寝ているあいだの口内の乾燥が軽減され、翌朝の口臭予防になります。

唾液を分泌して口内を潤し、ドライマウスによる口臭をケア

舌下腺を刺激する口臭ケアマッサージ

舌下腺を刺激するマッサージ。両手の親指をそろえて。あご下の柔らかい部分に当てる。親指の腹で突き上げるようにジワーッとプッシュ。10回繰り返す。

 顎下腺を刺激する口臭ケアマッサージ

顎下腺を刺激するマッサージ。親指の腹をエラの内側の柔らかい部分に当て、ジワーッと優しくプッシュ。少しずつ場所をずらしながら5回ずつ押さえる。

口臭ケアマッサージ

人差し指から小指までの4本の指の腹を耳の前に当て、上の奥歯のあたりをうしろから前に向かってプッシュ。10回繰り返す。

「病的」口臭の主な原因は、歯周病菌

小田:「病的」口臭とは、病気が原因で常に臭いを発している口臭ですよね。なぜ起こるのでしょうか。

木津先生:多くの場合は、歯周病が起こっていて、歯周病菌が揮発性の臭い物質を出すことによって起こっています。歯周病菌は空気を嫌う菌なので、歯周ポケットの中にいます。

小田:歯周病を治さないと、口臭は消えない?

木津先生:歯磨きやマウスウォッシュなどで一時的に歯周病菌が減っても、歯周ポケットが深ければそこに歯周病菌は潜んでいますので、すぐに増えて臭いを発します。歯肉を引き締め歯周ポケットを浅くすることが大事です。

小田:丁寧に歯磨きしているつもりでも、歯石がたまれば歯周病をおこしやすくなるんですよね?

木津先生:その通り。歯石は自分では取れないですから、歯科クリニックで除去してもらう必要があります。50代の方なら、かかりつけの歯科クリニックで3~6か月に1回は歯石除去をしてもらいましょう。

小田:口内ケアに乳酸菌がよいと聞いたことがありますが、口臭には効くのでしょうか。

木津先生:なめて口内で溶かす歯科用の乳酸菌タブレットなどは、口内の善玉菌を増やすという点ではよいと思います。ただし、善玉菌を増やしても、それだけで歯周病菌が減るわけではありません。歯石除去と毎日の歯磨きで歯肉を引き締め、悪玉菌である歯周病菌を減らすことが先決です。

小田:歯周病以外にも、「病的」口臭を引き起こす原因はありますか?

木津先生:そのひとつとして女性の場合、全身由来のシェーグレン症候群が引き起こしている可能性があります。シェーグレン症候群とは免疫のバランスが崩れることで涙や唾液をつくる臓器などに炎症が起こる病気で、口内などさまざまな部位が乾燥します。その乾燥で口臭が出やすくなるのです。リュウマチや手足のこわばりなど関節にも症状が現れたり、疲れやすくなって首がはれたり、歯周病治療で口臭がよくならない場合は、シェーグレン症候群を疑ってみる必要があります。

「仮性」か「真性」かを見分ける、唾液による口臭検査も

小田:お話をうかがって、口臭のことがよくわかってきたのですが、気になるのは自分の口臭が「仮性」なのか「真性」なのか。そして真性だとしても「生理的」なのか「病的」なのかをはっきりと見極める方法はありますか?

木津先生:「SillHa(シルハ)」という唾液検査で口臭をチェックできますよ。導入している歯科クリニックは、「SillHa」のホームページで確認できますのでご参考になさってください。この唾液検査では、口内の清潔度をアンモニアの量で検知します。これで「少なめ」と出れば「仮性」の口臭といえます。アンモニアの量が多い「真性」の場合は、歯周病などの口内チェックを歯科クリニックで行ってもらいましょう。

小田:木津歯科 オーラル&マキシロフェイシャル ケアクリニック横浜で行っている「オーラルドック」では何がわかりますか?

木津先生:虫歯、歯周病、口臭、顎関節症、口腔がんなど口腔関連の疾患を精密検査して、口内の現状と口腔疾患のリスクを把握できます。口臭検査はもちろん、歯周病の進行具合がわかり、口腔の病気を未然に防ぐことができますので、口臭をきっかけに口内を整えたい方におすすめです。

検査をして口臭が少なければ気持ちも晴れ晴れ!人前で堂々とマスクをはずせる

木津先生に唾液検査をしていただいたところ、口臭を示すアンモニアの量は、平均値53のところ18という少なめな結果で、ホッ。マスクの中で気になっていたのは、「仮性」口臭だったんですね。わかってしまえば気分も晴れ晴れ。これで人前で堂々とマスクをはずせます。

皆さんも、口臭が気になったら「シルハ」で唾液検査を行ってみるとよいかも。もし「真性」口臭だったとしても、歯周病やその他の病気が進行する前に、治療に取り組むきっかけとなりますよ。
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