大人同士の気楽さが心地いい!板谷由夏さんが憧れのご夫婦と過ごす「至福のおもてなし時間」

俳優・板谷由夏さんが日ごろから行き来をし、“東京の親鳥”として慕う小暮さん夫婦。気取りがなくてとびきり居心地のいい、かつ洗練されたおもてなしを紹介。

一緒に楽しく料理をし、食べる、食いしん坊のつどい

「おじゃましまーす」。笑顔で玄関を入ると、まっすぐキッチンに向かい、徹さん、ひでこさんとハグを交わす板谷さん。小暮さん夫婦とは20代のはじめのころから、かれこれ25年以上のお付き合いだとか。

「あのころの小暮家には、毎晩さまざまな職業のイケてる素敵な大人が集まっていて。今の私くらいの年齢のひでこちゃんが料理を作り、切り盛りしていたんです。改めて考えるとすごいことだなぁと」

80人集まったこともあるという、代官山にあった伝説の小暮邸に板谷さんも通い、「まだパリにも行ったことがないころに、パテとか白アスパラガスを食べさせていただいたり、食事のたびにテーブルクロスを敷き、カトラリーやナプキンをセットするといった異文化をたくさん教えてもらいました」。

グラスやカップ類はゲストが好きなときにすぐ飲めるようにセットしてあったりと、人が自然と集まる気取りのないもてなしの姿勢は当時からずっと変わらない。

板谷さん

数年前に偶然再会し、お互い海の近くに引っ越したことが判明。再び頻繁に行き来するようになった。「親子ほど年が離れた友だち」と笑う3人の共通点は?

「食いしん坊ってこと。この食材を組み合わせたらおいしそうとか、手に入れた食材をああしよう、こうしようって一緒に考え、料理するのが楽しい。3人で料理を習いに行くこともあります。お互い飲むのが好き、食べることが好き、人が集まるのが好きってことだと思います」

小暮家のおもてなしは、地元の新鮮な食材を求め、魚は魚屋、卵は卵屋、野菜は道の駅へと買い出しに行くことからスタート。パスタなどの粉物料理は徹さんが、それ以外をひでこさんが担当し、ゲストと一緒に料理をすることも多い。この日は板谷さんの好きなナチュールの泡に合う料理をと、コロッケやイカフライ、タコス、パエリアなどを作ることに。乾杯でのどを潤し、前菜の生ガキや生ハムを堪能すると早速3人でキッチンへ。徹さん主導でタコスを作り、テーブルに運んで、できたてをコロナビールとともにいただく。その後サンルームに移動して、ワイン片手に美しい夕焼けをひとしきり眺め、再びキッチンへ。本日のメイン料理、パエリア作りにとりかかる。

「うれしいなぁ、小暮家のパエリア、ずっと食べたかったの。ひでこちゃん、もうちょっとだしを足してみてもいい?」と板谷さん。完成したパエリアをほおばり「うまっ! ちょっとみんなも食べてごらん、おいしいから」と満面の笑み。そう、小暮家のおもてなしはこんなふうに楽しくおしゃべりをしながら料理を作り、食べ、飲んではまた作るの繰り返し。ずっと続いてほしい幸せのループなのだ。

「ふたりは私にとってとてもスペシャルな存在。大人になり、やっと友だちとして対等に話ができるようになったんだなぁと思うと、しみじみうれしいんです」

本日のメイン料理、パエリアを 堪能する板谷さんと小暮さん夫 婦。ダイニングのテーブルも椅 子もパリの蚤の市で出会い、長 く愛用しているもの。奥がサン ルームになっている。

本日のメイン料理、パエリアを堪能する板谷さんと小暮さん夫婦。ダイニングのテーブルも椅子もパリの蚤の市で出会い、長く愛用しているもの。奥がサンルームになっている。「板谷はいつも突然やってくるの(笑)。朝電話してきて“今日いる?”って。朝ごはんだけ食べて帰ったり、お茶だけのときもあるし、家族でやってきて今日みたいに一緒に作って食べたり」とひでこさん

ふだん使いでもおもてなしでも、使うのはパリの蚤の市で少しずつ集めてきた器

ひでこさん

テーブルセッティングをするひでこさん。「ふだんも来客時もテーブルクロスは必ず敷きます。これはハンガリーのクロス」。

 お酒やグラスを置いたワゴンはパ  リの蚤の市で購入した’60年代の  もの。

お酒やグラスを置いたワゴンはパリの蚤の市で購入した’60年代のもの。

徹さんがパリで大人買 いしたというドームのグラス類

徹さんがパリで大人買いしたというドームのグラス類

食器はひでこさんがパリの蚤の市で少しずつ集めた、 楽しげな絵柄のフランスの古いものが多い。引き出 しの中、手前のブルーの花柄はクレイユ・エ・モン トロー。

食器はひでこさんがパリの蚤の市で少しずつ集めた、楽しげな絵柄のフランスの古いものが多い。引き出しの中、手前のブルーの花柄はクレイユ・エ・モントロー。カウンター上のジャン・コクトーの絵皿はパリの老舗レストランでも使われているもの

作るのも食べるのもおしゃべりも、ワイン片手にゲストと楽しむのが一番のおもてなし

「板谷の料理はきっぷがいいよね。子供たちのためにこのキ ッチンでサッと唐揚げを揚げたりもするの。食材の合わせも うまいなぁと思う」と料理上手なひでこさんも太鼓判

「板谷の料理はきっぷがいいよね。子供たちのためにこのキッチンでサッと唐揚げを揚げたりもするの。食材の合わせもうまいなぁと思う」と料理上手なひでこさんも太鼓判

サンルームの窓辺 に設置したテーブルは 海の見える特等席。刻々 と表情を変える夕日を 眺めながら語らう至福 の時間。

サンルームの窓辺に設置したテーブルは海の見える特等席。刻々と表情を変える夕日を眺めながら語らう至福の時間。

おしゃべ りをしながら手ぎわよ く3人で料理。

おしゃべりをしながら手ぎわよく3人で料理。

誕 生日に板谷さんからも らったエプロンをつけ たダンディな徹さん

誕生日に板谷さんからもらったエプロンをつけたダンディな徹さん

板谷由夏さん

板谷由夏さん

俳優。多くのドラマ、映画に出演し『夜明けまでバス停で』で第32回日本映画批評家大賞主演女優賞受賞。ファッションブランド「SINME」のディレクター。
小暮 徹さん

小暮 徹さん

写真家。’72年に渡仏。帰国後、数多くの広告、雑誌、TVCMなどの写真を手がける。
こぐれひでこさん

こぐれひでこさん

イラストレーター。人気ブログ『こぐれひでこの「ごはん日記」』を一冊にまとめた『こぐれひでこのおいしい食卓』(海竜社)をはじめ、食や暮らしのイラスト、エッセーを多く執筆。
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