【パリクリエイターたちのインテリア】サステイナブルなヴィンテージ家具をメインに

クリエイターたちにとって、住まいはいわば作品であり、想像力を培う場所でもある。パリ左岸に住むデザイナー、ジュリー・ドゥ・リブランの家をたずねて、クリエイションとライフスタイルの本質を探った。サステイナブルな視点からも、家具はヴィンテージ優先という。

グリーンは、快適な暮らしに欠かせない。庭の景色も、インテリアの一部に

1

2匹の愛犬が寝そべるのは、家に通じる緑にあふれた中庭。まるでスカルプチャーのようなコロンとした形の石の椅子は、パリ2区のギャラリー・デプレ・ブレエレで。正面奥がリビング、左手がキッチン、蔦が生い茂る壁の上階が寝室

2

ベッドルームは、壁をセージグリーンでペイント。緑が生い茂る外観とリンクさせ、無機質な白壁よりもぬくもりを大切にした。ベッド頭上のサークル状の作品は、羽根を使うことで知られるアーティスト、ケイト・マグワイアによる。右手の壁にはアートフェアで見つけたディスプレイ・ボード。コッパー色のメタルが光を反射して、部屋をさらに明るく見せてくれる。

3

バスルームと寝室のブラインド状の仕切りは、のみの市で見つけた床板を使って特注した

4

ブラインド式の、バスルームとの仕切り板を回転させ、オープンにしたところ。バスタブは表面をシルバーでペイント。

5

寝室の棚には、写真や本、アンティークのオブジェなどを、思うがままにディスプレイ。上段右の写真は、シルヴィー・ランクルノーが撮影した子供のころのジュリー。のちに有名になったカメラマンだが、母の友人だったことからよく家族を撮ってくれていたとか

6

リビングの一角にあるオフィスコーナー。ここでもオリジナルのレンガやメタルの構造が顕わに。机と椅子はともにオークションで手に入れた、ピエール・ジャンヌレの作品。鏡は家族から受け継いだ。トルソーには、彼女のコレクションから定番チュニックが

サステイナブルな視点からも、家具はヴィンテージ優先で

ヘリテージとモダンさの両方を大切にするジュリーの住まいでは、新旧のアートや家具が混在する。有名・無名にかかわらず好きなアート作品が見つかると追求し、アーティストと友人になることも多いとか。羽根を使ったオブジェで知られるケイト・マグワイアがその例だ。リビングにはウーゴ・ロンディノーネのスカルプチャーやウィリー・リッツォのランプなど市場価値の高いピースもあれば、マルセル・デュシャン賞をとったばかりの若手のデザイナーの椅子も。またクリエイティブな家系なだけに、彼女は親戚にもアーティストを数える。南仏にアトリエを構えるいとこ、オーレリアン・レノーによる動物を主題としたデッサンやオブジェもここでは数多く飾られている。

室内に飾る写真ではモノクロを好み、リビングの壁を覆うモジュラー式の棚には、主にフランスの女優のポートレートを。一方でモダニズム建築が好きだから、ル・コルビュジエによるインドのチャンディガールの建築の写真は宝物だ。

またヴィンテージ家具を取り入れるのはデザインの嗜好はもちろん、サステイナビリティへの意識から。自身のブランドも、オーダーメイドのシャツで知られる「シャルベ」やイタリアの生地メーカーから、コットンやカシミヤの残り生地を買い取っての少数生産を基本としているとか。

「新しいものを買うよりも、古くていいものに価値を見出せば、環境保護につながると思うの」。こう語るジュリーの一見折衷主義に見えるインテリアには、実は明確なコンセプトがあった。

Julie de Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)

Julie de Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)

デザイナー。南仏生まれでカリフォルニア育ち。ミラノでファッションを学び、プラダ、ルイ・ヴィトンのデザインチームで経験を積む。’14年より5年間、ソニア・リキエルのアーティスティック・ディレクターに。’19年に自身の名を冠したブランドをスタート。
店
Julie de Libran

Julie De Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)
3, rue de Lyunes 75006 Paris
11時〜19時
休日 月、土はアポイントメント制
byappointment@juliedelibran.com
tel 06 79 76 26 07 M Saint Germain Des Prés
https://www.juliedelibran.com

サンジェルマンデプレにあり、地下にはアトリエも備えた「ジュリー・ドゥ・リブラン」の小さなブティックは、隠れ家的な雰囲気。オーダーメイドのシャツで知られる老舗、シャルヴェのコットンやイタリアの生地メーカーのカシミアなど、余剰生地で仕立てたシャツドレスやチュニックをはじめとするプレタポルテは、シリアル番号入りのリミテッドエディション。ベーシックなブレザーやプリントシルクやシークインのドレスも定番だ。友人のクロゼットをのぞいたかのような店内では、アンティークの家具にジュエリーやヘアアクセサリーも並ぶ。

Follow Us

What's New

  • 最注目の歌舞伎俳優・尾上右近 「春興鏡獅子への熱き道のり」【衣裳編】

    尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々、「尾上右近の鏡獅子の初演を観た」と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、弥生役の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? ここでは松竹衣裳部にお邪魔し、その衣裳制作の最終段階を見せてもらった。

    カルチャー

    2025年3月31日

  • 文体はクリスタルのよう、その純粋さは輝き(エクラ)をもたらすーLe style est comme le cristal, sa pureté fait son éclat. 【フランスの美しい言葉 vol.9】

    読むだけで心が軽くなったり、気分がアガったり、ハッとさせられたり。そんな美しいフランスの言葉を毎週月曜日にお届けします。ページ下の音声ボタンをクリックして、ぜひ一緒にフランス語を声に出してみて。

    カルチャー

    2025年3月31日

  • 最注目の歌舞伎俳優・尾上右近「春興鏡獅子への熱き道のり」【手獅子・後編】

    尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々「尾上右近の鏡獅子の初演を観た」と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、演じる弥生の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? 後編は、いよいよ右近さんが制作途中の手獅子と対面!

    カルチャー

    2025年3月30日

  • 最注目の歌舞伎俳優・尾上右近 「春興鏡獅子への熱き道のり」【手獅子・前編】~この手獅子を観るためだけに行く価値あり!~

    尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」(しゅんきょうかがみじし)。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々、”尾上右近の鏡獅子の初演を観た”と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、弥生役の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? まずは手獅子が作られた過程に密着する。

    カルチャー

    2025年3月29日

  • 【雨宮塔子 大人を刺激するパリの今】パリで人気のヴィンテージショップ『THANX GOD I ’M A V.I.P.』へ

    雨宮塔子さんによる連載「大人を刺激するパリの今」。11回目のテーマは「ヴィンテージショップ」。パリのヴィンテージショップの中でも特に人気を集めているお店を紹介。

    カルチャー

    2025年3月29日

Feature
Ranking
Follow Us