【パリクリエイターたちのインテリア】ヴィンテージや現代アートが共存する“インダストリアル”な空間

クリエイターたちにとって、住まいはいわば作品であり、想像力を培う場所でもある。パリ左岸に住むデザイナー、ジュリー・ドゥ・リブランの家をたずねて、クリエイションとライフスタイルの本質を探った。今回はリビング、キッチンを公開。

“インダストリアル・シック”を楽しむ家

元出版社の倉庫というインダストリアルな構造を生かした家は、まるでニューヨークのロフト。ファッションデザイナーとしてのキャリアと、母から受け継いだインテリアのセンスを生かして構想した家の各所には、数々のヴィンテージと家宝、そして現代アートが共存する。

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リビングルームの主役は、ジュリーのアイデアにもとづいて友人の家具デザイナー、シャルル・ザナが彼女のためにデザインした、その名も「ジュリー」ソファ。窓に向けて座るのは夏、暖炉に向けては冬仕様。モスグリーンのベルベットは、彼女自身がピエール・フレイで選んだ

グリーンは、快適な暮らしに欠かせない。庭の景色も、インテリアの一部に

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リビングルームにて、テラスに通じる窓の前でのジュリー。ジャケットとスカートは自身のコレクションより。右手のリビングとオフィスコーナーの仕切りにもなっている棚は、のみの市で見つけたデンマークのヴィンテージ。

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中庭の手前、玄関を兼ねた通路に設けた洗面台。天井のランプはニューヨークの、元映画セットデザインをしていたデザイナー・デュオ、ローマン&ウィリアムスの作。

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洗面台の手前、壁にグリーンのタイルを張りめぐらした通路には、植物やガーデニング・ツールを陳列。

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食器には人一倍こだわる。左上のティーポットと食器は、ドゥ・リブラン家のお宝。右手2点のシルバーウエアは、ポメラートのヴィンテージ。同ブランドでは今はテーブルウエアは出していないが、ミラノに住んでいたころはよくヴィンテージ・ハントをしていたのでイタリアのレアなアイテムもいくつか持っているそう。テーブルリネンは刺繡入りを特注している

グリーンのタイルとレンガの壁、木の家具がインダストリアルな構造にマッチ

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庭に面したキッチン。奥の壁のレンガは工事中に発見し、修復した。木のテーブルはのみの市、椅子はジャン・プルーヴェ。マイケル・アナスタシアデスによるアーチ型のランプが躍動感を添える

米西海岸の光からアルプスの山小屋まで、着想源は幅広く

「この家以前のインテリアは、常にクラシック。インダストリアルな構造を選び、コンテンポラリーなタッチを加えたのは、初めての冒険だったの。今ではとても気に入っているわ。まわりには緑が多いし」。ジュリー・ドゥ・リブランはこう語りだした。

3フロアにわたる家は、自身のブランドのショーやプレゼンテーションを催す際にはバックステージにもなる多目的スペースの地下、広大なリビングとキッチンが占める地上階、そして寝室とウォークインクロゼット、バスルーム、息子の部屋がある上階から成る。典型的なパリのアパルトマンとはかなり違った様相だ。夫の祖父がディレクターを務めていた大手出版社「ラルース」の元倉庫を買い取って、1年半におよぶ改装工事を終えてここに一家が落ち着いたのは、6年前のことだった。「天井にあった梁をとってもらって天井を高くすると同時に、メタルの構造をむき出しに。既存の壁を削ったら出てきたレンガの壁は、修復して」、とジュリー。技術面では当然建築家を雇ったものの、全体の構想は彼女と夫でアイデアを持ち寄った。デコレーターの叔父と母をもつ彼女には、天性のインテリアのセンスがあったのだろう。

またカリフォルニア育ちだからか、光を求めて自然光を最大限に取り入れるため、外に面した壁は一面窓に。暖炉はよく遊びにいっていた曽祖父のアルプスの山小屋が着想源。自身の思い出が新しい家のつくりに反映された。

Julie de Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)

Julie de Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)

デザイナー。南仏生まれでカリフォルニア育ち。ミラノでファッションを学び、プラダ、ルイ・ヴィトンのデザインチームで経験を積む。’14年より5年間、ソニア・リキエルのアーティスティック・ディレクターに。’19年に自身の名を冠したブランドをスタート。
店
Julie de Libran

Julie De Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)
3, rue de Lyunes 75006 Paris
11時〜19時
休日 月、土はアポイントメント制
byappointment@juliedelibran.com
tel 06 79 76 26 07 M Saint Germain Des Prés
https://www.juliedelibran.com

サンジェルマンデプレにあり、地下にはアトリエも備えた「ジュリー・ドゥ・リブラン」の小さなブティックは、隠れ家的な雰囲気。オーダーメイドのシャツで知られる老舗、シャルヴェのコットンやイタリアの生地メーカーのカシミアなど、余剰生地で仕立てたシャツドレスやチュニックをはじめとするプレタポルテは、シリアル番号入りのリミテッドエディション。ベーシックなブレザーやプリントシルクやシークインのドレスも定番だ。友人のクロゼットをのぞいたかのような店内では、アンティークの家具にジュエリーやヘアアクセサリーも並ぶ。

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